Noism1 Liebestod 「愛の死」/「Painted Desert」
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2017年5月27日(土)17:00 新潟市民芸術文化会館 劇場
 
Noism1
芸術監督:金森 穣
 
「Painted Desert」 (レパートリー)

  演出振付:山田勇気、衣裳:山田志麻、映像:遠藤 龍
  出演:中川 賢、石原悠子、池ヶ谷奏、リン・シーピン、浅海侑加
      チャン・シャンユー、坂田尚也、井本星那

(休憩15分)

「Liebestod−愛の死」 (新作)

  演出振付:金森穣
  衣装:宮前義之(ISSEY MIYAKE)
  音楽:R.ワーグナー《トリスタンとイゾルデ》より Prelude & Liebestod
  出演:井関佐和子、吉崎裕哉
  1.《前奏曲》:Duo 歓喜の女:井関佐和子、末期の男:吉崎裕哉
  2.《愛の死》:Solo 歓喜の女:井関佐和子

 新潟市が誇る舞踊集団・Noism。その活発な活動は目を見張るものがありますが、私はなぜか観に行く機会は乏しく、ほんの数回のみです。今回の公演はかなり力を入れているらしく、地元のマスコミでも盛んに取り上げられ、公開リハーサルの様子がテレビ放映されていました。たまにはということで、観に行くことにしました。

 今回の公演は、2014年に Noism2 で初演された「Painted Desert」と新作の「Liebestod−愛の死」の2本立てです。26日、27日、28日の3回公演で、6月2日、3日、4日は埼玉でも公演されます。私は中日の27日の公演に行きました。

 入場しますと、左手に芸術監督の金森穣さんがお出迎えし、写真撮影にも応じておられました。市民の Noism という感じで良いですね。

 舞台全体を観たかったので、後方の席を選択しました。1階席はほぼ満席でしたが、2階席部分は空席もあり、ゆったりと公演を楽しむことができました。

 まずは「Painted Desert」。真っ白なステージに白い椅子がひとつ。キャンバスに投影される映像。シンプルな舞台です。砂漠の砂嵐を感じさせるノイズ音。男女4人ずつ8人で演じられる抽象的な世界。精神的集中をしながらも夢の世界へと誘われました。唐突に現れる「ミスターロンリー」に現実感を感じたりもありました。
 男女がつながったり、離れたり。ステージ前をゆっくりと無表情に往復する人影。「千と千尋の神隠し」の「カオナシ」のよう。真っ白な世界をどんな色にペイントするかは、観る者にゆだねられているのでしょうか。

 休憩後は新作の「Liebestod−愛の死」。題名のごとく、ワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」の「前奏曲」と「愛の死」を題材にした作品です。
 「Painted Desert」のときの真っ白な舞台とは反対の黒い世界。ステージ後方には巨大な金色の幕。ほかに舞台装置はありません。演じるのは井関さんと吉崎さんの二人だけ。
 官能的で濃厚な愛の世界を、二人はシンプルな舞台で存分に表現していました。揺れ動く感情を、波打つ黄金の幕が示現し、観る者の感情も揺り動かしました。
 絶命し、黄金の幕の中に消えたトリスタン。悲しみと絶望に打ちひしがれるイゾルデ。黄金の幕は舞台に落ち、イゾルデも後を追って幕の中に消え、その中で二人は結ばれる・・。
 ワーグナーの名曲に載って、私のような凡人にも分かりやすい舞台だったと思います。金森さんが創作を始めて25年にして完成したという作品を、二人が見事に具現化しました。

 コンサート通いばかりしている私ですが、たまにはこういうのも良いですね。Noismの素晴らしさを再認識し、埼玉公演の成功を祈りつつ家路に着きました。
 

(客席:2階17-25、A席:¥2700)