フォリエと歌うオペラの世界
←前  次→
2017年5月21日(日)14:00 新潟市秋葉区文化会館
 
カウンターテナー/指揮:弥勒忠史
ソプラノ:鈴木愛美
エレクトーン:清水のりこ
 
第1部
グノー:ロメオとジュリエット より 私は夢に生きたい (鈴木)
ヘンデル:リナルド より 私を泣かせてください (弥勒)
プッチーニ:ジャンニ・スキッキ より 私のお父さん (鈴木)
モーツァルト:フィガロの結婚 より 恋を知るご婦人方 (弥勒)
ヴェルディ:リゴレット より 愛しい名前 (鈴木)
オッフェンバック:ホフマン物語 より ホフマンの舟歌 (鈴木/弥勒)

(休憩15分)

第2部
J.シュトラウスII:喜歌劇「こうもり」 より
  歌え、踊れ、今宵も楽しく (合唱)
  侯爵様、あなたに教えましょうか (鈴木)
  僕が酒を飲むその時には (弥勒)
  田舎娘を演じる時は (鈴木) 
  シャンパンの歌 (鈴木/弥勒)

(アンコール)
  歌え、踊れ、今宵も楽しく

 秋葉区文化会館のレジデンス合唱団として3年前から活動しているフォリエですが、私はこれまで聴いたことがありませんでした。今回、大ファンである鈴木さんが共演するとのことであり、初めて聴きに行くことにしました。

 ここ数日、好天が続き、初夏のような陽気です。今日も快晴の空が広がり、気温がうなぎ登りです。ゆっくりと昼食をとり、車を運転し、30分ほどでホールに到着し、開場待ちの列に並びました。
 客のほとんどが熟年女性で、男は数えるほど。ちょっと肩身の狭さを感じました。列は長くなり、予定より早めに開場となり、正面2列目に席を取りました。チケット完売で満席の大盛況となりました。ステージ中央にはヤマハのエレクトーン STAGEA が置かれていました。

 開演時間となり、弥勒さんとエレクトーン奏者の清水さんが登場し、挨拶と案内があり、開演となりました。ドラえもんブルーのドレスが麗しい鈴木さんが登場し、コンサートのスタートです。
 清水さんのエレクトーン演奏に載せて歌われる鈴木さんの余りに美しいソプラノに観客は魅了され、歌い終わると共にため息まで聞かれ、大きな拍手が贈られました。

 続いて弥勒さんの歌です。見事なカウンターテナーが声量豊かにホールに響き渡ります。弥勒さんの素晴らしさは話には聞いていましたが、これほどのものとは知らず、口をあんぐりとしながら聴いていました。

 交代して鈴木さんの「私のお父さん」。あまりにも有名なアリアですが、この曲は昨秋の私の娘の結婚式のチャペルで、ソプラノの某歌手さんが歌ってくれて、涙を流した曲です。そのときを思い出しながら聴いていました。この曲を聴くたびに、娘の幸せを祈らずにいられなくなります。

 その後も、弥勒さん、鈴木さんが交代で歌い、最後はホフマンの舟歌の二重唱で前半を占めくくりました。歌の素晴らしさのほかに、特筆すべきはエレクトーン演奏の素晴らしさ。
 最初の挨拶で弥勒さんが清水さんは日本の第一人者と紹介していましたが、さすがというべき演奏で、まさにオーケストラが眼前にあるかのような印象でした。エレクトーンはここまで進化しているのですね。弦や管楽器のほか、打楽器のサウンドまで作り出しており、これを一人で演奏しているのは驚異的に感じました。

 後半はエレクトーンが左端に移動され、合唱団フォリエの皆さんが登場です。喜歌劇「こうもり」が日本語の歌詞で歌われました。夜会の場面を表現するとのことで、合唱団の皆さんは夜の舞踏会に合わせた衣装で登場。色とりどりのドレスや着物でステージが華やかになりました。

 合唱だけで1曲楽しく歌い、その後鈴木さん、弥勒さんが交互に歌い、オペラの名場面を繰り広げました。鈴木さんは鮮やかな赤いドレスに着替えて登場し、華やかさを際立たせていました。

 二人のアリアの素晴らしさ、楽しげな合唱、そしてオーケストラさながらのエレクトーン演奏。お見事としかいえません。合唱団の歌が少なかったのはちょっと残念でしたが、二人の歌手の素晴らしさで大いに満足できました。

 アンコールとして最初の合唱をもう一度歌い、最後は合唱団が1列ずつ前に出て挨拶して退場し、感動のステージは終演となりました。この最後の演出は良いですねえ・・・。感激してしまいました。

 合唱団の実力を知るには曲数は少なかったですが、弥勒さんの指導の下に素晴らしいパフォーマンスを見せてくれました。歌声もさることながら、合唱団員のニコニコした表情が素晴らしかったです。今後のますますの発展を期待し、陰ながら応援していきたいと思います。

 見事なコロラトゥーラ・ソプラノを聴かせてくれた鈴木さんは、可憐な容姿で華があり、今日も魅力全開でした。その実力を再認識させられました。
 今日始めて聴かせていただいた弥勒さんは、トークもユーモアがあって良かったですし、安定感のある声量豊かな歌声でカウンターテナーの魅力を知らしめてくれて、すっかりファンになってしまいました。

 終演時刻は15時15分と早く、ボリュームとしては少なかったかもしれませんが、内容の濃さで十分に満足できました。期待以上の内容に気分良く家路に着きました。
 

(客席:2-15、¥1000)