久しぶりに新潟室内合奏団の演奏会に参加です。土曜日の夜は、私にとりましては都合がよさそうで良くない時間であり、なかなか聴きに行けないのですが、今回はソリストとして小黒亜紀さんが出演されますので、都合をつけて駆けつけました。
大ファンである小黒さんのコンチェルト演奏は、以前から聴きたいと思っておりましたが、ついに実現しました。今年2月のリサイタルでのラフマニノフのピアノ協奏曲第2番(2台ピアノ版)の熱演も記憶に新しいですが、あれから4ヶ月、オケをバックにしての本当のコンチェルトを聴くことができます。
北区文化会館から大急ぎで駆けつけました。ホールに着きますと既に開場が始まっていました。今回は小黒さん目当てですので、前方左よりの席を確保しました。
時間となり、拍手の中に団員が入場。弦五部の編成は6-6-6-5-3、コンマスは小島さんです。カッコいい高橋さんが登場し、ゲーゼのスコットランド序曲で開演です。
ゲーゼという作曲家は始めて聞く名前ですが、デンマークに生まれ、メンデルスゾーンと親交があったのだそうです。今年生誕200年だそうですが、この曲の日本初演は3年前とのこと。こういう曲をよく見つけてきたものですね。なかなかいい曲で、どうしてこれまで日本で演奏されていなかったのか不思議です。
続いてピアノがセットされ、いよいよ小黒さんの登場です。今日はメンデルスゾーン特集ということですが、ピアノ協奏曲というのは何とも渋い選曲です。これまで聴いたことはなく、曲目の発表があってからCD(シフ、デュトワ、バイエルン放送響)を買って勉強しましたが、悪くはないですが、どうしてこの曲を・・、というのが本音です。
赤いドレスの小黒さんが登場して演奏開始です。オケの序奏に続いてピアノが入るとともに、小黒ワールドに突入。激しく燃え上がる第1楽章で虜にされました。第2楽章のゆったりとした聴かせどころで、弦楽のアンサンブルの乱れが小黒さんの足を引っ張っていたのがちょっと残念でしたが、第3楽章での切れの良さ、畳み掛けるような盛り上がりに高揚感を感じました。
音楽の神が乗り移ったかのような小黒さんのピアノ。そのクオリティの高さと溢れ出る情熱に、さすがの新潟室内合奏団も負けていたかもしれません。それにしましても良い音楽を聴かせていただきました。
休憩後の後半は「イタリア」です。いかにも“イタリア”というような、明るく颯爽とした演奏でした。スピード感あふれる演奏は、さすがに新潟室内合奏団とうなりました。各パートとも良かったですが、リズムを支えていたティンパニの見事さに感服しました。
アンコールもメンデルスゾーン。「春の歌」を爽やかに演奏して終わりかと思いましたが、「夜想曲」もサービスしてくれました。
ちょっと席が前方過ぎて、オケのサウンドは直接音ばかりで、残響を感じられず、豊潤さに欠けてしまいました。もう少し後方にすれば良かったと反省しました。
“室内合奏団”ということで、小編成であり、個々の奏者の音がダイレクトに聴こえてきます。小型な分だけ機動力があり、躍動感を生み、大きなオケにない魅力も感じます。明るく快活で、今日の天気のように爽やかでした。
次は11月11日(土)。本多優之さんの指揮で、モーツァルトの交響曲第29番、バルトークのヴィオラ協奏曲、ドヴォルザークの交響曲第8番が演奏されます。ヴィオラ独奏は羽柴塁さんです。これも期待できそうですね。
(客席:5-9、¥1000) |