チェロを聴く春の音楽会
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2017年3月11日(土)14:00 巻文化会館
 
新潟チェロカルテット: 宇野哲之、片野大輔、渋谷陽子、星野由美
 
(追悼演奏)カタルーニャ民謡:鳥の歌

テレマン:ソナタ 変ロ長調

ゴルターマン:ロマンスとセレナーデ

ポッパー:演奏会用ポロネーズ

クレンゲル:4つの小品
 第1曲:無言歌、第2曲:ガボット、第3曲:子守歌、第4曲:マーチ

(休憩10分)

パッフェルベル:カノン
サティ:ジュトゥウ

アンデス民謡:コンドルは飛んで行く
サンサーンス:白鳥
ルビンシュタイン:猫ふんじゃった変奏曲

ピアソラ:リベルタンゴ
井上陽水:少年時代

谷村新司:いい日旅立ち

(アンコール)
ピアソラ:天使の死
早春賦

 新潟市西蒲区の巻地区まちづくり音楽教養講座のコンサートです。以前もこの講座のコンサートを聴いたことがありますが、今回は結成間もない新潟チェロカルテットの出演です。

 新潟チェロカルテットは、新潟で活躍するチェロ奏者である宇野哲之さん、片野大輔さん、渋谷陽子さん、星野由美さんの四人により2016年秋に結成 されたユニットです。チェロの四重奏団は全国的にも珍しく、どんな演奏を聴かせてくれるのか大変興味深く感じられました。以前男だけの四重奏の公演があったように記憶していますが、今回は男女混成です。
 来月の4月14日に、りゅーとぴあ・スタジオAで結成記念演奏会が開催されますが、それに先立って、最初のコンサートが今日の演奏会となります。4月の演奏会は平日で行けそうもありませんし、最初のコンサートに立ち会える貴重な機会でもありますので、聴かせていただくことにしました。

 会場の巻文化会館は、巻市街の中にあり、アクセス道路が狭くて分かりにくいのが難点ですが、以前来た記憶を頼りに無事到着できました。開場時間前でしたが、既に開場されていて、当日券を買って入場しました。
 私が入場したときには1000席の大きなホールに客は数人しかいませんでしたが、開演時間が近付くに連れ地元の方々で賑わいをみせ、最終的には大盛況となりました。

 主催者の挨拶の後、今日は「3.11」ですので、カザルスの演奏で有名な「鳥の歌」をしっとりと演奏し、そのまま黙祷が捧げられました。
 ちょっと暗い雰囲気になりましたが、犠牲者に思いを馳せ、元気に音楽会に来れている自分の幸せをかみ締めました。以後は最年少の片野さんの軽妙なMCで演奏が進められました。

 テレマンのソナタで開演です。最初は宇野-渋谷-星野-片野という並びでしたが、以後曲毎に並びが変わってせわしなさそうでした。前半はテレマンからクレンゲルへと時代をたどっての演奏が進められました。日頃聴かない曲ではありますが、曲も親しみやすく、各奏者の見せ場がたっぷりある編曲も良く、チェロの奥深さを感じさせ、大いに楽しませていただきました。

 後半はポピュラーな名曲が並びました。片野さんのユーモアあふれるMCや他のメンバーへのインタビューもあって演奏以外にも楽しませていただきました。曲目は多彩であり、懐の広さを感じました。

 地元の子供による微笑ましい花束贈呈の後、アンコールを2曲演奏し終演となりました。総じて、演奏はソリストとして、ユニットのメンバーとして活躍されている皆さんですので卒のないものでしたが、低音域の美しさは良かったものの、高音域の不安定さを感じないでもありませんでした。チェロで高音も奏でなければならないチェロ四重奏の難しさかもしれません。
 出演者のうち、宇野さん、片野さん、渋谷さんは何度も演奏を聴かせていただいていますが、星野さんはあまり聴いたことがなかったように思います。東京のご出身で、結婚を機に新潟に来られたそうですが、4人の中にあって、安定した演奏が特に際立っていたように感じました。

 来月、おそらくは今日と同じようなプログラムで結成記念演奏会が開催されます。これから1ヶ月、さらにブラッシュアップされ、新潟のファンに素晴らしい演奏を届けてくれるものと思います。今後の発展を楽しみにしたいと思います。
 

(客席:8-15、当日券:¥700)