新潟市西区と新潟大学が連携してのプロジェクトも今年が10年の節目を向かえました。今年のテーマは「西区から世界へ、世界から西区へ、〜いま、音楽で、つながる〜」であり、8月の公演は私も楽しませていただきました。
そして、今年度の最終公演がこのコンサートです。西区出身で世界に羽ばたいた山宮さんは、最後を飾るにふさわしいですね。
山宮さんの演奏を聴くのは、2013年7月のリサイタル以来です。あれから3年が過ぎ、今日はどんな演奏を聴かせてくれるか楽しみです。
今日から10月。今年も後残すところ3ヶ月です。月日の移ろいの速さに驚きを感じます。猛暑の夏からすっかり秋になり、今日は天候にも恵まれ、過ごしやすい陽気となりました。一年中こんな天気だと良いのですけれど・・・。
開場時間が少し過ぎたところで入場。前方に空席がありましたので、正面2列目に席を取りました。このホールには音響反射板はなく、仮設の反射板が並べられていました。
最初に西区長の挨拶があり、その後松本さんの司会進行で演奏が進められました。使用されたハープは、リリー・ラスキーヌ国際ハープコンクールに優勝したときの贈られた黄金のハープです。新潟に置いてあったこのハープを久しぶりに使おうとしたら、湿度のためにガット弦が切れていて、張替えが大変だったそうです。
おなじみのヘンデルのハープ協奏曲で開演し、宮廷にいるかのような、優雅な気分にさせてくれました。その後は、しっとりと繊細な「朝に」で優しい気持ちにさせ、対極的に躍動感のある「ロシア農民の踊り」で盛り上げたところで、松本さんによる山宮さんのインタビューが行われました。この辺の進行は良いですね。
続く「大幻想曲マンドリン」は、前回聴いたリサイタルでも演奏されましたが、グランドハープの魅力を知らしめる曲であり、演奏だったと思います。ハープの音色の美しさに酔いしれました。
ここで再び山宮さんへのインタビューがあり、グランドハープについての解説がありました。次に演奏する「ROKUDAN」で駆使される奏法についての説明もありました。
その「ROKUDAN」は、技巧を駆使した曲で、弦をこすったり、胴の部分をたたいたりと、緊張感も感じさせる音楽でしたが、音楽的にも視覚的にも楽しませてくれました。
その後の「スペイン舞曲」では、ノスタルジックでちょっと切なさも感じるメロディに、うっとりと聴き入りました。そして最後は「モルダウ」です。この曲も前回のリサイタルで演奏されましたが、オーケストラ演奏とは違った魅力を感じさせ、最後を締めくくるにふさわしい熱演だったと思います。
アンコールに「月の光」をしっとりと、繊細に演奏し、終演となりました。休憩なしで1時間15分ほどのコンサートでしたが、内容的には十分だったと思います。
演奏については、素人の私が言うことなどなく、うっとりと聴き入るばかりでした。どの曲も、どの演奏も音楽性にあふれ、優雅な時間を過ごすことができました。
このようなハープだけのリサイタルとしては、昨年11月に行われた山宮さんの師であるメストレのコンサート以来ですが、師の演奏に負けない演奏ではなかったでしょうか。
西区出身でこのような演奏家がいるなんて、西区民として誇らしく思います。ミュンヘン国際音楽コンクールで2位になったときは予想しなかったそうですが、リリー・ラスキーヌ国際ハープコンクールは始めから優勝を目指していたそうです。たいしたものですね。
ドイツから帰られて、現在は日本で活発な活動をされています。新潟市でも11月20日にリサイタルがありますし、12月16日に奥村愛さんとのデュオ・リサイタルが予定されています。今後のますますの活躍を期待したいと思います。
(客席:B-14、¥1500) |