仕事で京都へ出張しました。夜の観光を一人で楽しむのも寂しいですし、酒より音楽ということで、京都コンサートホールで開催された宮田大さんのリサイタルを聴くことにしました。
宮田さんといえば、新潟が誇る横坂源さんと並んで、日本の若手チェロ奏者の中で抜きん出ているのではないでしょうか。個人的には2012年1月に天皇皇后両陛下をお迎えしての小澤征爾指揮水戸室内管弦楽団との共演、そして昨年8月の沼尻竜典さんとの東響新潟定期を聴いて以来3回目となります。
地下鉄烏丸線・北山駅から屋根付き通路を通ってすぐの場所にホールがあります。1階エントランスから円形のスロープを上っていきます。
エレベーターがありますが、スロープの壁に過去に来演した演奏家の写真が飾ってありますので、見ながら歩いていくのが気分が盛り上がって楽しいと思います。
このスロープの2階に大ホール(1833席)の入り口があり、さらに上った3階に小ホール(アンサンブルホール ムラタ)の入り口があります。
ここからさらに階段・エスカレーターで上がった4階に、広いホワイエとホールがあります。
ホールは正六角形をしており、バルコニー付きで510席で、室内楽やリサイタルには最適な空間ですが、床が木製で、足音が賑やかに響くのはちょっと難点です。
親しみやすいメロディーの開演チャイムが鳴り、いよいよ開演です。前半はヴィヴァルディとサン=サーンス、後半はプロコフィエフという、時代も国も違うチェロソナタの3本立てです。
驚いたのはチェロの鳴りの良さ。1698年製ストラディヴァリウス“シャモニー”だそうですが、ぴかぴかに磨かれて、外見上の古さは感じられません。ふくよかに響く低音は温かく、高音も刺激的ではありません。豊潤な響きは熟成されたワインか吟醸酒のようです。音量豊かで、ホールいっぱいに浪々と響き渡りました。
時代も性格も異なる3曲ですが、卓越したボウイングから繰り出される緩急自在な音楽は、作曲家の垣根を越えて、宮田大の音楽として心に迫り、魂を揺さぶられました。
スキンヘッドのジュルネさんは終始控えめであり、せめぎ合うのではなく、音楽によりそうな優しい響きが印象的でした。
拍手に応えて、宮田さんの挨拶があって、アンコールを3曲演奏してくれました。これがまたすばらしいもので、ラヴェルなんかはため息が出るほど。
終演後にはサイン会が開催され、長い列が出来ていましたが、その列を横目に、余韻に浸りながら宿へと向かいました。
蛇足ですが、さすがに関西ということか、東京や新潟では絶対見ないような土派手なオバちゃんが数人おられて、文化の違いを実感しました。
(客席:5-31、\4700) |