ラ・フォル・ジュルネ新潟2016 第3日
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2016年4月30日(土) 新潟市民芸術文化会館 ほか
 
9:30 ナチュールラウンジ 岩淵仁美(クラリネット)、若杉百合恵(ピアノ)
      パスカル:6つの小品

10:00 321 泉からわき出るエレガントな風景
        山宮るり子(Hp)

11:15 311 無添加純正!これが音楽の自然食品
        宮川彬良&アンサンブル・ベガ
        鈴木愛美(S)
         新潟市ジュニア合唱団

12:30 332 川辺の情景
        フランク・ブラレイ(Pf)
         渡邉玲雄(Cb)
         モディリアーニ弦楽四重奏団

13:45 312 自然の神秘
        ルイス=フェルナンド・ペレス(Pf)
         ハンガリー・ジュール・フィルハーモニー管弦楽団
         マールトン・ラーツ(指揮)

15:00 333 森と鳥人のファンタジー
        ジョニー・ラス&ジャン・ブコー(鳥のさえずり)
         スタニスラフ・ポデムスキ(Vl)
         シャニ・ディリュカ(Pf)

16:15 313 イタリア・バロックの精華
        アンナ・マリア・スタシキェヴィチ(Vl)
         ポーランド室内管弦楽団

17:30 324 田園の休日
        モディリアーニ弦楽四重奏団

18:45 314 大自然のパノラマ〜田園へ
        ハンガリー・ジュール・フィルハーモニー管弦楽団
         カールマン・ベルケシュ(指揮)
 
 
 今日は朝起きましたら青空が広がっていましたが、次第に雲が出て、イマイチの天候になりました。雨が降らないだけ良いですけれど。

 どうにか太陽が顔を出し、まずまずの天候になりました。風が吹かないともっと過ごしやすいのですが・・。
 今日もチューリップの花絵のアーチが迎えてくれました。このまま天候が持ちますようにと祈りながら会場入りしました。


 今日はフル参戦を予定しており、早めに会場入りしたのですが、すでにナチュールラウンジは岩淵さんと若杉さんの演奏がスタートしており、途中から聴かせていただきました。
 クラリネットの調べが響きの美しいロビーにこだまし、いい味を出していました。若杉さんのピアノもさすがであり、見事なサポートだったと思います。


 続いて本日の有料公演の最初は、能楽堂での山宮るり子さんの演奏です。黄金に輝くハープから繰り出される女性らしい、優しく繊細なハープの調べに、堂内を埋める満員の聴衆は魅了されました。

 次は、コンサートホールへ移動して、宮川彬良&アンサンブル・ベガと新潟が誇る至宝、新潟市ジュニア合唱団と鈴木愛美さんの共演です。3階席にも客が入って、なかなかの人気です。
 実はプログラム的には今年のLFJで、密かに一番楽しみにしていました。ジュニアファンの私としましては、聴かないわけにはいきませんから。
 アンサンブル・ベガの皆さんの見事な演奏はもちろんですが、宮川さん作曲のミュージカルの名曲には感動の涙が出てしまいました。ジュニアの歌声のすばらしさ、曲のすばらしさ。特に「幸せはすべての人に」は聴くたびに泣かずにいられません。今年のLFJで涙があふれ出たのはこの公演だけでした。
 そして、忘れてならないのが鈴木愛美さん。見事なコロラトゥーラソプラノは益々磨きがかかり、魅了されてしまいました。

 ここで昼食の予定を立てていたのですが、公演時間が延びましたので、音楽文化会館へと急ぎ、ブラレイ・渡邉玲雄・モディリアーニ弦楽四重奏団によるシューベルトの「ます」を聴きました。ほぼ満席の聴衆は、弦楽とピアノの五重奏のやさしい調べに、うっとりと聴き入りました。

 公演は定刻に終わり、ここで昼食。冷たい風が吹き渡るライン広場で、某ホテル提供の軽食を、寒さに震えながら大急ぎで胃にかき込み、館内へと戻りました。


 次はペレスとハンガリー・ジュール・フィルの公演です。曲目が一般受けしないためか、コンサートホールは空席が目立ちました。指揮者は昨日のベルケシュさんでなく、もっと元気そうなラーツさん。コンミスも別の女性になっていました。
 鳥の鳴き声とオーケストラとの協奏曲というラウタヴァーラ作曲の珍しい曲は、今年のテーマを象徴するような、深遠さと癒しを感じさせる曲であり、聴き応えがありました。こういう曲を聴けたということは大きな収穫でした。
 ペレスさんとの共演のファリャの曲も良かったです。ピアノ協奏曲とも言うべきこの曲を、オケとピアノが見事に融合し、感動を作り上げていました。これまでちょっと雑に感じないでもなかったオケのアンサンブルもばっちりであり、別のオケかと思うほどでした。

 続いて音分に移動して、“鳥のさえずり”とポデムスキ、ディリュカの公演です。当初聴く予定にしていなかったのですが、オープニングイベントでの“鳥のさえずり”の妙技とディリュカさんのピアノに感動して急遽チケットを購入しました。
 ヴァイオリン、ピアノの演奏はもちろん良かったですが、ラス&プコーのパフォーマンスには脱帽です。日本で言えば江戸家猫八に代表される演芸なのでしょうが、これは芸術に昇華させています。楽しかったです。

 再びコンサートホールに戻り、スタシキェヴィチとポーランド室内管弦楽団による「四季」です。今年のテーマ「ナチュール」を象徴するプログラムということもあってか、ほぼ満席の大盛況となりました。
 演奏も力が入っており、メリハリをきかせて切れがあり、「四季」の定番である昔のイ・ムジチの生ぬるい演奏とは裏腹の、情熱の爆発を感じました。こんなに聴いていて魂を揺さぶられる演奏はめったにありません。

 次は能楽堂へ上がって、モディリアーニ弦楽四重奏団によるハイドンの「ひばり」とドヴォルザークの「アメリカ」です。定番曲ということもあってか満席です。
 第1ヴァイオリンが健康上の理由で出演できなくなったとのことで代役だったようですが、そんなことは微塵も感じさせず、気迫と情熱あふれる演奏に満員の聴衆は心奪われました。

 そして、コンサートホールに降りて、いよいよジュール・フィルによる最終公演です。曲目は「田園」。3階席は使用されませんでしたが、1・2階席はほぼ満席となりました。指揮者は再びベルケシュさんです。
 お祭りの最後を飾るにふさわしい盛り上がった演奏だったと思います。最後の〆は「ハンガリー万歳」。これで終わりというのが残念でなりません。


 外に出て、最後のプロジェクションマッピングを鑑賞。再び天からは雨粒が・・。天候に恵まれなかったのが残念な3日間でしたが、無事終了して良かったですね。

 金沢やびわ湖と比べてもちょっと地味な内容で危惧したのですが、そんなのは全くの杞憂に終わりました。どの公演も熱気あふれる感動のステージであり、こんなに高水準の演奏を低料金で聴けたなんて幸せでした。関係者の皆様方に感謝申し上げます。
 
 さて来年のテーマは「La Danse」だそうです。新潟の開催がどうなるのか、楽しみにしています。