La feuille 新潟大学音楽科大学院生によるコンサート
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2016年3月5日(土) 14:00  だいしホール
 
 
1.ピアノ独奏 :清水明日香
   フォーレ:ヴァルス=カプリス第1番 イ長調 Op.30
   ショパン:舟歌 嬰ハ短調 Op.60

2.ピアノ独奏 :西田遼太郎
   ショパン:幻想ポロネーズ Op.61

(休憩10分)

3.作曲作品 :大野雅夫
   大野雅夫:コンピュータのための「浅い恍惚」

(休憩5分)

4.ピアノ独奏 :桐生帆南美
   メトネル:忘れられた調べ 第2集 Op.39-4.5

5.ソプラノ独唱 :桑野 彩 (Pf:西田遼太郎)
   山田耕筰:曼珠沙華
   トマ:歌劇「ハムレット」より 狂乱の場「遊びの仲間に入れてください」

6.ピアノ独奏 :清水秋奈
   ショパン:24の前奏曲 Op.28 より 1,4,7,8,13,17,18,21,22,23,24
 

 タイトルのように、新潟大学音楽科大学院生のコンサートです。学生さんとはいえ、数々の賞を受賞されている選ばれた実力者たちであり、いろんな場で活躍されています。若い人たちに元気をもらおうとホールに赴きました。

 最初はピアノの清水明日香さんです。クリーム色のドレスで登場。最初のフォーレで、色彩感あふれる演奏、高音の打鍵の力強さに魅了されました。続くショパンの舟歌は、ゴンドラの穏やかな船旅というより、大雨の後の濁流に流されたような印象を持ちましたが、ピアノやホールが響きすぎたためと思います。情熱を感じさせる演奏に引きこまれました。3月13日にはスタジオスガマタでの演奏会が予定されており、今後のご活躍が期待されます。

 続いては西田さんのピアノです。ショパンの大曲を情熱的に、力強く演奏しました。ゆったりさ、繊細さも交えたらもっと良かったかなとも思いましたが、西田さんの独自の音世界を作り出されており、聴き応えある演奏でした。

 休憩の後は大野さんのコンピュータ音楽です。当然ながら楽器の生演奏ではなく、今日の演目の中でも異質なものとなり、戸惑いを感じたというのが正直な感想です。でも、宇宙空間に放り出されたような、夢世界へとトリップするような感覚が、妙に心地良かったりします。即興演奏でなく、作曲作品としてこのような曲があるというのも勉強になります。楽譜はどうなっているんでしょう。などと思いながら楽しませていただきました。

 短い休憩の後、桐生さんのピアノ演奏です。水色のドレスで登場。メトレルの「忘れられた調べ 第2集」から「朝の歌」、「悲劇的ソナタ」の2曲が演奏されました。1曲目を情感豊かに演奏し、その優しい調べと一転した2曲目の力強く、心に迫る演奏に圧倒されました。

 続いては桑野さんのソプラノ独唱です。ピアノ伴奏は先ほど情熱的な演奏を聴かせてくれた西田さんです。クリーム色のドレスが麗しく、歌手にとって大切な華を感じさせました。リリカルな声質の中に力強さもあり、魅力的な歌声でした。最初の「曼珠沙華」がすばらしく、心打たれました。開場からは「すばらしい!」という声が上がりましたが、私も同感でした。続くオペラ曲では見事なコロラトゥーラ・ソプラノで魅了されました。声楽家としてはまだ若く、成長過程にあり、これから10年後、20年後にどのように熟成されるかが大変楽しみです。是非留学されて、さらに磨いてほしいなあなどと勝手に思いながら聴いていました。

 最後は清水秋奈さんのピアノです。美しい朱鷺色のドレスで登場。ショパンの前奏曲の中から11曲演奏されました。超有名曲を抜いたりしたところに意味があるのでしょうが、各曲を美しく弾き分け、一連の流れの中で、自分の音世界を作られていました。

 どの演奏もすばらしいものでした。さすがに大学院生であり、練習がつまれた成果を見事に表現されていたと思います。2年生はこれが最後になるものと思いますが、今後のご活躍をお祈り申し上げます。

 すばらしい演奏を無料で聴かせていただいて、申し訳ないほどでした。ありがとうございました。
 

(客席:E-6、無料)