333 オリヴィエ・シャルリエ
←前  次→
2015年5月10日(日) 16:15  新潟市民芸術文化会館 能楽堂
 
ヴァイオリン:オリヴィエ・シャルリエ
 
バロックの「いのちのパシオン」〜バッハ究極のヴァイオリン独奏曲


J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番 ニ短調 BWV1004

ビーバー:ロザリオのソナタより パッサカリア ト短調

J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1番 ト短調 BWV1001
 
 
 
 
 この公演は、実は今年私が一番楽しみにしていましたものです。演目に有名なシャコンヌを含む無伴奏ヴァイオリン・パルティ―タのほか、ビーバーのパッサカリアがあり、それを能楽堂という濃密な空間で演奏するという魅力ある公演です。
 今年はこれだけは聴こうと思い、先行発売開始とともに早々にチケットを買っていました。その甲斐あって、席は正面の最前列です。

 ビーバーは、2013年9月のコンチェルト・インストアライブでの野口万佑花さんの神がかり的名演を聴いて以来好きになりました。その後CD以外では聴く機会はなく、実演の機会をずっと待ち望んでいました。
 今回この曲がプログラムに入っていることがわかり、同時刻開催の鈴木大介さんや奥村愛さんの公演を蹴ってシャルリエさんによるこの公演を選んだというのが実情です。

 奏者の直前で聴くヴァイオリンはダイレクトに攻めてきます。最初の無伴奏ヴァイオリン・パルティータで早くも衝撃を受けました。静まり返った満席の能楽堂に響くヴァイオリンの音。聴く側と演奏する側の気持ちが一体となり、一期一会の演奏をお互いに作りあっていたのではないでしょうか。超絶技巧に裏付けられた安定感のあるクリアなサウンド。変にいじることなく、よどみなく音楽が流れます。シャルリエさんの凄さを実感しました。

 お目当てのビーバーも当然ながら心を打ちました。やはり良い曲であることを再確認しました。無伴奏ヴァイオリンソナタも同様に心に染みました。

 バッハのシャコンヌ、ビーバーのパッサカリアと、無伴奏ヴァイオリンの二大名曲を続けて聴けたというのもありがたく、シャルリエさんの崇高な演奏に、魂は揺さぶられ、まさに「いのちのパシオン」を実感しました。
 


(客席:正面1−3、¥2000)