2014年最初のコンサートです。同時刻開催の「宮川彬良とアンサンブルベガ」のコンサートも聴きたいところでしたが、こちらを選びました。日時がずれてくれれば良いのにと悔やまれました。
林英哲さんといえば、2010年5月の東響第59回新潟定期に出演し、度肝を抜かれた記憶がまざまざと残っています。今回の新潟来演を知り、是非聴かねばと思ったしだいです。
今日は朝から晴れ間が見えて、穏やかな日曜日となりました。新潟の冬らしからぬ青空に心も明るくなりました。早めに家を出て、白山神社にお参りし、コンサートに臨みました。
宮川さんのコンサートと同時刻開催ということで、間違えて入場した人もおられました。ホワイエでは振る舞い餅に長い行列ができていました。
場内が暗くなり、開演です。今回の公演は「迷宮の鼓美術少年」と題されています。林さんは、若き日に太鼓を志す前は、美術少年であり、横尾忠則に憧れていたそうで、「人生の岐路に立つ少年鼓手が、大いなる横尾忠則の美術迷宮に巻き込まれ、いかに生き抜いたか」をテーマとして作品に仕上げたそうです。
従来の和太鼓のイメージからは大きく外れ、小太鼓、マリンバ、箏、はてはガラス瓶まで、様々な打楽器が駆使され、テーマに沿った演奏が繰り広げられました。細かな所作のひとつひとつまで振付がなされ、豪快さに加え、繊細さも感じさせました。
前半は従来の和太鼓演奏とはかけ離れた印象も感じましたが、後半は魂が揺さぶられる演奏の連続でした。5人の奏者の息もぴったりで、撥が折れるほどの熱演に唖然と聴きほれるばかりでした。林さんの歌声も心に染みました。
林さんのこれまでの人生を表現したかのような音楽劇で、「人生にはY字の岐路がいくつもあるが、どの道を選んだとしても間違いということはない」という林さんのメッセージが伝わってきました。私も現在迷宮の中にあり、林さんの言葉が心に響き、元気をいただいたように感じました。
拍手に応えて、林さんの挨拶がありましたが、新潟で11年暮らしていたこと、かつての新潟市公会堂で公演したことなど興味深いお話を聴けました。アンコールでの林さんの歌声もお見事。感動の中に終演となりました。
2時間半に及ぶ内容豊富なプログラムでしたが、時間が経つのも忘れるような、感動と興奮の連続でした。新年の最初から素晴らしい音楽に出会えて幸運でした。
個人として活動を始めてから、新潟で演奏するのは、3年前の東響定期を除いては、今回が初めてだそうです。今後の来演に期待したいと思います。
(客席:1階7−24、¥6000) |