ヴァイオリン ピアノ フルートで贈る クラシック クリスマス
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2013年12月23日(月) 14:00  新潟市秋葉区文化会館
 
ヴァイオリン:加藤礼子
ピアノ:中村哲子
フルート・話:小林正樹
 


モーツァルト(山口景子・編):「フィガロの結婚」序曲

チャイコフスキー(玉木宏樹・編):組曲「くるみ割り人形」より
        1.葦笛の踊り 2.中国の踊り 3.花のワルツ

モンティ:チャールダッシュ (Vn、Pf)

カール・ヒルマン:セレナーデ

アンリ・コワルスキ:羊飼いの呼びかけ (Fl、Pf)

吉田千秋(小林亜子・編):ひつじぐさ

ドップラー:アメリカの主題による三重奏曲

(アンコール)
グローリア〜牧人ひつじを
 
 

 世間はクリスマスということで、商業施設は大賑わい。クリスマス関連の催しもたくさんあります。今日はクリスマスでお休み、ではなく、天皇誕生日の休日です。たまった雑務を片付け、時間が空いたので、このコンサートに行ってきました。
 ヴァイオリンの加藤さん以外は存じ上げず、区民向けのワンコインコンサートということで、内容には期待せず、この秋に開館した秋葉区文化会館を見学しようというのが主目的でした。

 ホワイトクリスマスならぬ小雨の中、車を走らせ、30分ほどで到着。国道からの道が分かりにくく、住宅街の中に隠れるようにしてあるので、地元以外の人は行きにくいと思います。私も、開館前に調査に行ったとき、迷ってしまいました。でも、一度行ってしまえばすぐに行ける場所であり、新潟市街からも行きやすいと思います。

 建物は巻貝のような形で、デザイン的には凝った造りになっています。奇抜さでは市内随一かもしれません。円形の建物を取り囲むように駐車場がありますが、ホールへの入り口がどこなのか分かりにくかったです。

 ワンコインコンサートと銘打っていますが、チケットは発売されており、当日券(500円)を買って入場しました。客席は満席の大盛況。私は左手後方に空席を見つけて席を取りました。
 496席の小規模ホールですが、奥行きが短く、最後方からもステージが近くに見えます。天井は半球状で、コンクリートむき出しのような色合いで、手彫りの洞窟の中にいるかのような印象です。床は木製。椅子は赤く、客席間に余裕があり、ゆったり感を感じました。開演のチャイムは聴きやすいもの。某ホールのような興ざめのブザーでなくて良かったです。

 赤いドレスの加藤さん、ブルーのドレスの中村さん、そして小林さんが登場して、「フィガロの結婚・序曲」で開演しました。女性お二人は容姿端麗。鮮やかな色のドレスが良く似合って、ステージ映えしていました。
 ホールの響きは、残響豊かということではないですが、程良い響きで、小規模なアンサンブルや、ピアノコンサートにはピッタリに思います。ピカピカのスタインウェイD274も良い音を出していました。
 ヴァイオリン、ピアノ、フルートという組み合わせは、どうなのかなと心配しましたが、編曲の妙もあって、きれいなアンサンブルで楽しめました。3人の奏者の素晴らしさがすぐに実感されました。

 その後、小林さんの話を交えながら演奏が進めれれました。クリスマスコンサートと題していますが、ジングルベのようなどこでも流れているような音楽はプログラムしなかったとのことで、期待に反して楽しめる内容でした。

 「くるみ割り人形」でホールの空気を和ませましたが、フルートが活躍するうまい選曲と感じ入りました。「チャールダッシュ」では加藤さんの、情熱溢れる中にも上品さが感じられる演奏で盛り上がりました。
 
 続くヒルマン、コワルスキの曲は、小林さんが楽譜を見つけてきたもので、日本ではこれまで演奏されたことはなく、本邦初演とのことでした。短い曲でしたが、親しみやすいものでした。
 続く「ひつじぐさ」は、新津出身の吉田千秋の曲で、地元新津では良く知られ、JR新津駅のチャイムにも使用されているとのことでした。小林さんの奥様の編曲によるフルート・ヴァイオリン・ピアノの三重奏版は、今日が初演とのことでした。

 最後はドップラーの曲ですが、フルート奏者であるドップラーが、フルート・ヴァイオリン・ピアノの三重奏として作ったものだそうです。初めて聴く曲でしたが、誰もが知っているメロディが出てきたりして、楽しめる内容でした。

 アンコールくらいはクリスマスらしいものを演奏するとのことで、よく知られた賛美歌を、しっとりとメドレーで演奏して終演となりました。

 1時間ちょっとのコンサートでしたが、内容豊富で楽しめました。軽い内容のファミリー向けコンサートと思って、期待しないで臨んだのですが、見事に裏切られました。本邦初演の曲を交えたり、あまりポピュラーじゃない曲も交えたりして、初心者から音楽通まで満足させる内容だったと思います。
 昨日の「第九」で、今年のコンサートもおしまいと思っていたのですが、素晴らしいクリスマスプレゼントをいただいたように思います。サンタさんありがとう!

 地元の音楽家とのコラボレーションとして企画されたコンサートですが、地元にこんなにも素晴らしい演奏家がいるなんてすごいですね。秋葉区出身の加藤さんの演奏は以前に聴いたことがあったように思いますが、中村さんの演奏は初めてでした。過度に自己主張することなく、アンサンブルをしっかりと支えてくれ、真新しいスタインウェイから輝くような音楽を創り出してくれました。

 そして賞賛すべきは小林さんです。ウィーン音楽大学を卒業され、バーデン市立歌劇場管弦楽団の首席奏者もされたという実力者であり、演奏の素晴らしさは言うまでもありませんが、話も上手です。ユーモアを交えて、ホールの空気を和ませてくれました。

 そして、もっと驚きなのは、小林さんが秋葉区文化会館の館長であるということ。こんない素晴らしい音楽家を館長に迎えて、秋葉区文化会館の今後の発展を楽しみにしたいと思います。きっと興味深い企画をしてくれるの違いありません。
 レジデンス合唱団の結成や5歳児を招待しての音楽会などがあるようですし、次のワンコインコンサートとして、2月23日に、品田真彦(Pf)さん、山下春香(Vn)さんのコンサートが予定されています。皆さんもいかがですか。


 これで、今年のコンサートも終わりです。皆様、良いお年をお迎えください。そして、メリークリスマス!

  

(客席:11−5、¥500)