モーツァルト・マチネ 第7回
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2011年11月23日(水) 11:00  テアトロ・ジーリオ・ショウワ
 
指揮: ユベール・スダーン
演奏: 東京交響楽団
ヴァイオリン/コンサートマスター: グレブ・ニキティン
 


モーツァルト

  行進曲 K.249
  セレナード 第7番 ニ長調「ハフナー」 K.250(248b)
 
 

 昨夜はベルリン・フィルを聴き、今日の午後はオペラ「古事記」を観る予定ですが、空いた午前の時間をどう過ごすか思案しましたが、午前11時からこのコンサートがあることが判明しました。乗換案内で調べましたら、時間的にも移動可能ということがわかり、せっかくの上京ですから、急遽このコンサートも聴くことにしました。

 新宿から小田急線で新百合丘へ。300円。30分もかからずに到着しました。駅に降り立ちますと、活気とにぎやかさに驚きました。新潟の田舎で暮らしていますと、みんな都会に思えてしまいます。
 駅のすぐ前に昭和音楽大学があり、ペデストリアンデッキを進み、ほんの数分でホールに到着しました。どんなに遠いところかと心配していたのですが、あっけなく到着して拍子抜けでした。

 当日券を買って入場しますと、当初の予定になかった行進曲K.249を演奏する旨の掲示がありました。後でプログラムの解説を見ましたら、当時はセレナードを演奏するときには、音楽家が入退場するための行進曲が演奏され、ハフナー・セレナードのために作曲されたのがこの行進曲K.249なんだそうです。さすがにスダーンさんは良く考えていますね。

 ホールは馬蹄形の3層バルコニー席のある典型的なオペラ劇場スタイルです。全席自由でしたが、1階席前方はミューザの指定券を購入済みの人の優先席になっていましたので、そのすぐ後方中央に席を取りました。このホールは響きの悪さでは定評があるようでしたので、ちょっと心配な気分でしたが、初めてのホールはわくわくします

 開演までの間にホール内を散策しました。2階席、3階席にも行ってみましたが、ステージはかなり見下ろすようであり、前方には動物園の檻のような無粋な柵があって、視界を遮って邪魔でした。1階席は傾斜がついており、私の席からの視界は良好でした。客の入りは悪く、3分の1位でしょうか。高齢者が多く、特に高齢のご婦人が多いのには驚きました。

 開演時間となり、拍手のない中、団員が入場。ニキティンさんが登場しても拍手はなく、礼をしてようやく拍手が贈られました。この辺は新潟の常識から考えますと寂しく感じます。
 弦5部は、10−8−6−5−3という編成です。マチネということで、団員の皆さんはジャケットは着ないで、黒シャツ姿です。女性陣も黒いパンツ姿で新鮮に感じられました。長身でスリムな青木さんは目立っていました。やはり黒シャツのスダーンさんが登場して開演です。

 最初は、行進曲K.249が演奏され、間をおかずに、すぐにハフナー・セレナードが演奏されました。第2〜第4楽章はヴァイオリン協奏曲のように独奏ヴァイオリンが活躍しますが、これらの楽章では、ニキティンさんは立って演奏し、大きな拍手をもらっていました。
 その後は再び着席して演奏が進められました。全8楽章からなる長い曲で、途中から何楽章か分からなくなってしまいましたが、早めのテンポで、きびきびした、躍動感のある演奏で、良かったと思います。
 東響の皆さんは、乱れも全くなく、スダーンさんの指揮に見事に応えていました。昨夜のベルリン・フィルと比較しても遜色ないように思えました。

 ニキティンさんのソロが良かったのは言うまでもありませんが、他の弦のアンサンブルも良かったです。オーボエの荒さんをはじめ、管も良かったです。

 デッドなホールの響きを心配しましたが、いかにも仮設風の音響反射板(新潟で言えば、中之島文化ホールと同様)の効果か、それなりの響きがあって、決して聴きにくくはなかったです。もちろん芳醇な響きというわけではなかったですが、その分直接音が良く聴こえて、分解能の良い音響だったと思います。
 咳き込みオバサン、ペットボトルぐい飲みオバサン、飴玉バリバリオバサンが近くにいましたが、響かないホールのため、被害は局所にとどまって良かったです。

 休日の午前にこんなコンサートがあるのはすばらしいですね。初めてのホールでしたが、オーケストラ演奏としては響きの悪さは確かにありますが、コンパクトなオペラハウスとしては良いホールと思います。新宿からすぐですし、行きやすくて良かったです。
  

(客席:1階17-26、全席自由3500円)