ラ・フォル・ジュルネ新潟 「熱狂の日」音楽祭2010
234 J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲全曲演奏 第3部
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2010年5月1日(土) 17:30  新潟市民芸術文化会館 能楽堂
 
ピーター・ウィスペルウェイ(チェロ)
 

J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲第5番 ハ短調 BWV1011

J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲第6番 ニ長調 BWV1012

(アンコール)
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲第1番より プレリュード
 
 
 

 昨夜に引き続いて2回目のウィスペルウェイです。第2部も聴けば全曲制覇できたのですが、同じ時間帯のショパンの協奏曲も聴きたかったので断念しました。
 今回も満席です。ロビーには演奏を終えられた枝並千花さんのお姿もありました。席は正面2列目で、奏者の真ん前と言っても良いベストポジションです。

 演奏は筆舌に尽くしがたい壮絶なもので、魂にダイレクトに迫ってきました。奏者の鼻息が荒く、息づかいが伝わってきます。聴く方も精神的緊張を強いられます。昨夜はこの緊張感に耐えられない気がしましたが、今日の私は真っ向から受け止めることが出来ました。緊張感が逆に精神的高揚感を感じさせました。

 能楽堂に響き渡るチェロの音。一見ミスマッチのようにも思いますが、能楽堂は今日の日のために作られたのではないかと思うほどに純和風の空間に溶け合っていました。

 今日の聴衆は集中力がすばらしく、曲間は全くの無音。咳払いする人もいません。ウイスペルウェイの気迫に圧倒され、まさに息を呑む状況でした。

 後半の演奏途中に地震があり、かなりの揺れを感じ、客席から声が上がりましたが、奏者は動揺せずに演奏を続けました。曲間で大丈夫かと館内を見回してほっと一息。その後は再び渾身の演奏が続きました。

 アンコールに第1番のプレリュードをサービスして終演となりました。その都度感激しているので優劣付けるのは難しいのですが、今回の公演の中で一番感動したように思います。
 

(客席 正面2−2、1500円)