鈴木理恵子と若林顕のデュオ
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2010年10月9日(土) 14:00  新潟市北区文化会館
 
ヴァイオリン: 鈴木理恵子
ピアノ: 若林 顕
 

 

ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ 第7番 ハ短調

ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ 第2番 イ長調

(休憩15分)

シューベルト:楽興の時 Op.94-3 (ピアノ独奏)

ショパン:舟歌 Op.60 (ピアノ独奏)

サン=サーンス:ヴァイオリン・ソナタ 第1番 ニ短調


(アンコール)
マスネ:タイスの瞑想曲
ドヴォルザーク:わが母の教えたまえし歌
ファリャ:スペイン民謡組曲より ポロ
ガーシュウィン:ポーギーとベスより そんなことはどうでもいいさ
モンティ:チャールダッシュ
パラディス:シチリアーノ
        

       

 
 

 新潟市北区(豊栄駅前近く)に6月5日に北区文化会館がオープンしました。私は開館記念式典に参加し、館内をくまなく見学してきたのですが(→ブログ)、開館記念コンサートの抽選にはずれ、実際の音楽演奏を聴かないままでした。
 ホールの響きを確認したく、機会があれば是非音楽を聴きたいと思っていたときにこのコンサートの開催を知り、早々にチケットを購入した次第です。

 今日は朝から雨模様。優れない天候で気分がふさぎます。仕事を早めに切り上げて、1時過ぎに職場を出発。意外に早く到着しました。地元民でもないのに、こんな所まで聴きにくる物好きは私くらいかと思っていましたが、おなじみの方と出会ってびっくりしました。

 客席は4割程度の入りでしょうか。さすがに純クラシックのコンサートですから、集客は厳しかったようです。真新しいホールのイメージに不釣合いな、前時代的なけたたましいブザーの音を合図に開演です。

 緑のドレスが美しい鈴木さんと、どっしりした若林さんが登場して演奏が始まりました。1曲目はベートーヴェンのソナタです。
 まず、ピアノの響きの良さに驚きました。ピアノはヤマハのCFIIISですが、音量豊かにホールいっぱいに響き渡たり、ホールの残響の良さを実感しました。
 一方ヴァイオリンは、ピアノの芳醇な響きの陰に隠れ、音量に乏しく、潤いに欠けた硬質的な音に感じました。単独で聴けば聴き応えある演奏と思うのですが、ピアノが強すぎて、ヴァイオリンの良さがかき消されてしまっていました。でも、緊張感ある演奏だったと思います。

 客席は楽章間に盛大な拍手があったように、クラシックコンサートに慣れていない人が多かったと思いますが、皆さん真剣に聴いておられました。車椅子席には施設入所のご老人方が団体でいらっしゃっていましたが、いきなりの30分に及ぶ大曲にも関わらず、真剣に聴かれていました。

 その後鈴木さんの挨拶がありましたが、2日前より当地に来ていて、学校訪問などをされていたそうです。
 2曲目はブラームスのソナタが演奏されました。これも良い演奏とは思うのですが、やはりピアノが強すぎて、ヴァイオリンの音がピアノに埋もれてしまいました。

 休憩後、若林さんの挨拶に引き続いて、ピアノ独奏でシューベルトとショパンが演奏されました。若林さんのイメージそのままにどっしりした演奏で、音量豊かでしたが、軽やかさには欠けたように感じました。

 プログラム最後は、鈴木さんのトークに引き続いて、サン=サーンスのソナタが演奏されました。これは曲調もあってか、ピアノが控えめであり、ヴァイオリンが引き立って聴こえる場面も多く、前半より楽しめました。フィナーレのヴァイオリンとピアノの丁々発止のせめぎ合いは聴き応え十分であり、情熱的な演奏に感銘を受けました。会場からもブラボーの声が上がりました。

 アンコールに定番のタイスの瞑想曲が演奏された後、2曲目にドヴォルザークがしっとりと演奏され、これでお開きかと思いましたが、ここからが大盛り上がり。次に鈴木さんは加古隆の曲を弾こうとして曲の解説まで始めましたが、ピアノの楽譜がなくて、ファリャに変更。さらにガーシュウィンが続き、チャールダッシュで盛り上がって終わり、ではなく、もう1曲パラディスをしっとりと演奏して終演となりました。

 終演時間は4時20分を過ぎており、サービス満点のコンサートでした。ソナタの大曲を3曲にピアノ独奏、そしてアンコールを6曲という盛りだくさんな内容はボリューム十分。聴きに来た甲斐がありました。

 鈴木さんのヴァイオリンは中低音はきれいですが高音域での音に艶がなく、ピアノの音量に負けていたのが残念でした。緩徐な部分での歌わせ方など演奏そのものものは良かったと思います。何よりも、チラシの写真以上に美しく、スリムな容姿は女神のように輝き、ヴィジュアル的にも一級品でした。美しい人が弾くと、その音楽もより美しく心に響きます。

 ただし、邪念を排して冷静に振り返れば、ピアノとヴァイオリンの音量的バランスが良くなかったのが残念でした。中央右寄りの私の座席の問題かもしれませんが、ヴァイオリンの音量不足もありますが、ピアノがあまりにも鳴りすぎていたように思います。ホールの響きの良さが災いしたかもしれません。

 でも、ちょっと横幅のあるシューボックス型のホールの響きはなかなかのものと思います。557席で、大きさ的には新潟市音楽文化会館程度ですが、響きは数段勝ります。これからエージングされるにつれ、もっと自然な響きが醸し出されていくものと思います。
 多目的ホールではありますが、残響時間1.8秒とのことであり、クラシック専用ホールとしても優れていると思います。地元の方には失礼になりますが、北区に埋もれされておくにはもったいなく、宝の持ち腐れにならぬよう、有効に利用してもらいたいものです。
 北区フィルハーモニー管弦楽団が結成され、メンバーを募集中です。11月から活動を始めるとのことであり、今後の発展を見守りたいと思います。
 

(客席:11−26、3000円)