東京交響楽団 第58回新潟定期演奏会
  ←前  次→
2010年3月21日(日) 17:00  新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
 
指揮: 秋山和慶
ソプラノ: 安井陽子(*)
バンドネオン: 小松亮太(**)
コンサートマスター:高木和弘
 
 
 

ヴィラ=ロボス:ブラジル風バッハ第5番 (*)

ピアソラ(小松亮太編曲):リベルタンゴ
(**)

ピアソラ:バンドネオン協奏曲
(**)

(休憩20分)

ゴリホフ: 3つの歌 - ソプラノと管弦楽のための
(*) (日本初演)

ヒナステラ:バレエ音楽「エスタンシア」作品8
 
 
 
 

 今日は春分の日。個人的には結婚記念日でもあります。すっかり春と言いたいところですが、朝から強風が吹き荒れ、全国的に大荒れになりました。まるで我が家のよう。寒暖の差が激しい日々が続き、疲労も蓄積して体調はイマイチ。風邪薬を内服して休養し、どうにかコンサートに出かけることができました。午前中は黄砂でどんよりとした空でしたが、午後になって青空も顔を出し、雨にならなくて良かったです。

 今日は「ラ・フォル・ジュルネ新潟」のチケット発売日であり、混雑を予想して早めに行き、チケットをどっさり買い込みましたが、はたして全部聴くことができますやら。新潟初の試みが成功するかはチケットの売れ行きにかかっていますので、少しでも貢献できればと思います。
 開場まで時間があったので、東響定期の日には1割引になるコンチェルトでCDを買い、県民会館の情報ラウンジで音楽雑誌を読んで時間をつぶしました。開場時間にりゅーとぴあに行くと、「ラ・フォル・ジュルネ新潟」の特設チケット売り場は行列ができていました。早めに行って正解でした。

 さて、今日の定期の演目は南米の音楽ばかりという特異なプログラムであり、集客が心配されましたが、やはりいつもの定期より空席が目立ったように思います。

 拍手の中楽員が入場しましたが、ステージ上にはチェロが8人いるだけ。秋山さんとソプラノの安井さんが登場して1曲目はブラジル風バッハ第5番です。この第1楽章のアリアは大好きですが、安井さんのリリカルな声がすばらしく、心に迫る良い演奏でした。

 次はステージ替えされて、編成が大きくなり弦5部にピアノが加わりました。コンマスの高木さんも登場しましたが、礼はありませんでした。秋山さんと小柄な小松さんが登場し、2曲目はお馴染みのリベルタンゴです。小松さんの椅子が団員と違って、安っぽい折りたたみ椅子というのが面白かったです。バンドネオンの音量を補うためかPAがセットされていました。演奏はちょっとオケのキレが良くない感じを受けましたが、まずまずでした。

 小松さん、秋山さんは退場せずに編成替えし、打楽器とハープが加わって、3曲目はバンドネオン協奏曲です。これはすばらしい演奏であり、特に第2楽章は胸に迫りました。ステージには予備用と思われるバンドネオンが置かれていましたが、使用することはありませんでした。小松さんのアンコールを期待しましたが、休憩に入ってしまいました。

 後半最初は3つの歌です。今度は管楽器も加わって編成が大きくなりましたが、弦5部は10-7-6-5-4と小振りです。バスクラリネットやアルトフルート、マリンバなどが不気味な雰囲気を作り、オケの音色も面白く楽しめました。日本初演ということですが、現代曲らしからぬ美しい曲で、安井さんのすばらしい歌声もあって、今日のプログラムでは最も感銘を受けました。

 最後は編成が大きくなって、通常のオケのサイズになり、エスタンシアです。ダイナミックに畳みかける演奏で、最後を飾るにふさわしいものでした。

 ちょっと特異なプログラムでしたが、コンマスの高木さんをはじめ、各奏者ともすばらしい演奏であり、安井さん、小松さんも実力を遺憾なく発揮し、感動を与えてくれました。秋山さんはこういった変わったプログラムを聴かせてくれるので、さすがと思います。
 通常は東京での演奏会の翌日が新潟定期になるのですが、今回は新潟定期が先で、明日がオペラシティでの演奏会になります。ゴリホフの3つの歌は、まさに新潟が日本初演となりました。こういうすばらしい曲の初演に立ち会うことができたのも幸運でした。

 体調不良で、抗ヒスタミン剤が効いた体にはつらい面もありましたが、すばらしい演奏に接して、元気をもらいました。新潟でこういう曲を聴けるのは東響定期のおかげです。新年度も期待したいと思います。
 

(客席:2階C5-**、S席:定期会員、4500円)