スタニスラフ・ブーニン ピアノリサイタル
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2009年11月4日(水) 19:00  新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
 
ピアノ:スタスニラフ・ブーニン
 
 
ショパン:ワルツ 変イ長調 作品 34-1
ショパン:ワルツ イ短調 作品 34-2
ショパン:ワルツ ヘ長長調 作品 34-3

シューマン:ウィーンの謝肉祭の道化 作品 26

(休憩15分)

ショパン:ポロネーズ第15番 変ロ長調 “別れ” (遺作)
ショパン:ポロネーズ第16番 変ト長調 (遺作)

プーランク:フランス組曲  (打楽器:植松文雄)

(アンコール)
ショパン:マズルカ 変ロ長調 作品 7-1
 
 

 さすがに11月になり、肌寒さが身にしみるようになりました。昨日は新潟市でも初雪を観測し、いよいよ冬の訪れを実感しました。こんな中、今日はブーニンのコンサートに行ってきました。なんだかんだで慌ただしく、久しぶりのコンサートになります。今日はブーニン・ファンの家内と一緒であり、夫婦でのコンサートもしばらくぶりになります。

 さて、ブーニンのコンサートは、2000年10月2002年11月2007年10月に引き続いて4回目となります。今日のコンサートは、チケット発売開始時には演奏曲目は発表されていませんでしたが、ショパン生誕200年プレ・イヤー記念コンサートと銘打たれていましたので、オール・ショパンかと思っていました。しかし、実際は、今ツアーのプログラムのテーマは「秋祭り」だそうで、シューマンの「ウィーンの謝肉祭の道化」とプーランクの「フランス組曲」が2大柱とのことでした。個人的には、曲目よりも使用されるピアノのファツィオリに興味がありました。新潟初登場の世界最大のグランドピアノF308でどんな音色を奏でてくれるのかが大変楽しみでした。

 平日のコンサートはなかなか大変ですが、職場から大急ぎで駆けつけ、どうにか開演15分前に到着できました。家内はすでに客席で待っていました。客席はかなりの入りであり、発売された席の9割以上は埋まっているようでした。ステージにはピカピカのファツィオリが鎮座しています。おなじみのスタインウェイD275より30cm以上大きいだけあって壮観です。

 ブーニンが登場して開演です。最初は作品34のワルツが3曲連続して演奏されました。性格の異なる3曲をメリハリ付けて演奏したすばらしさ以上に、ピアノの音量・音色に驚き、感激しました。音量豊かであり、コンサートホールいっぱいに音が響き渡ります。音が輝き、豊潤なサウンドです。高音はクリアであり、低音はよく響きますが、強奏でも音は濁りません。これまで味わったことのないサウンドです。ピアノのフェラーリと称されるファツィオリのすばらしさをすぐに実感しました。続く前半のメインのシューマンも美しいピアノの響きに感銘を受けました。

 後半も最初はショパンのポロネーズが2曲続けて演奏され、その後メインのプーランクが演奏されました。前半同様にブーニンの軽やかな演奏とピアノの音色の良さが相まって、心地よい感動の一時を過ごすことができました。プログラムには記載されていませんでしたが、プーランクは植松文雄さんの小太鼓との共演で、ちょっと単調そうな曲にアクセントを付けて演奏効果を上げていました。最後にトライアングルを鳴らして終わりになりました。
 カーテンコールでは、植松さんがピアノ、ブーニンが太鼓の場所に行って会場を沸かせました。アンコールはマズルカ1曲のみで、もう少し聴きたかったというのが実感です。

 ブーニンの演奏は重すぎることがないので、聴いていて楽しく、気分爽やかでした。ちょっと雑で、素人の耳にもアレッと感じる場面がときにあり、演奏の質としては賛否があるようにも思えましたが、娯楽として楽しく聴けました。超有名曲がない選曲も渋くて良かったと思います。残響豊かなりゅーとぴあの特性とピアノの音の良さがうまく相乗効果を生んで、演奏を引き立てていたように思います。ファツィオリの豊潤なサウンドは、スタインウェイを聴き慣れた耳には新鮮であり、驚きでした。また聴く機会があれば良いのですけれど、新潟では当分無理でしょうね。

 新潟の銘酒「八海山」が当たる抽選がありましたが、夫婦して外れでした。残念。
 「ブーニンはかっこいいわねえ・・、それに比べて・・・・」と、家内の冷たい視線は外の冷え込んだ空気以上に私の心を寒くしました。
 

(客席:2階 C5−3、S席:6300円、会員割引)