新潟市・ナント市姉妹都市提携記念
ストラディヴァリア  ナント・バロック・アンサンブル 市民招待演奏会
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2009年5月6日(水) 15:00  新潟市民芸術文化会館コンサートホール
 
ナント・バロック・アンサンブル
 
 
 

J.S.バッハ:ブランデンブルグ協奏曲第3番ト長調BWV1048

J.S.バッハ:ブランデンブルグ協奏曲第4番ト長調BWV1049

(休憩15分)

ナント市立図書館で発見されたモーツァルト直筆原稿についての解説

J.S.バッハ:ブランデンブルグ協奏曲第5番ニ長調BWV1050

J.S.バッハ:管弦楽組曲第2番ロ短調BWV1067
 
 
 
 

 天候に恵まれたGWの連休の最終日、久しぶりのコンサートになります。新潟市とナント市は今年1月に姉妹都市の調印を行い、それを記念しての市民招待演奏会です。
 「ストラディヴァリア」は、1987年にダニエル・キュイエによってナント市で設立されたアンサンブルで、バロック音楽をメインに古典派やロマン派までをレパートリーに活動しているそうです。バッハをテーマに5月3日から5日まで東京で開催された「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」に出演するために来日し、そのついでに新潟市でも演奏会を開催することになったものと思われます。昨年も同様にロワール管弦楽団の演奏会が開催されれました。往復葉書での応募でしたが、希望者多数で抽選になったとのことです。優良なる納税者としましては無事招待されて良かったです。

 職場に顔を出し、遅めの昼食をとってホールに行くと、開演10分前。自由席でしたが、正面は満席で、2階左サイドのDブロックに空きを見付けて席を取りました。市民1500人を招待とのことですが、当然ながら大入り満員です。

 最初はブランデンブルグ協奏曲第3番です。古楽器を使用しているようですが、ヴァイオリン3、ヴィオラ3、チェロ3、コントラバス(ヴィオローネ)1、チェンバロ1という編成です。演奏は何となくぼけた印象で、メリハリが感じられません。豊かなホールの残響の中に音が埋もれてしまって、音の輝きがないように思われました。楽器のせいなのか、席のせいなのか、あるいはホールのせいなのか、と演奏を聴きながら考えていました。主体は古楽器独特の音や奏法に私の耳が慣れていないせいなのでしょう。最初からちょっと肩すかしという印象を持ちました。

 2曲目はブランデンブルグ協奏曲第4番で、編成はヴァイオリン3、ヴィオラ1、チェロ1、コントラバス1、チェンバロ1、リコーダー2に変わりました。演奏は同様にぼけた印象です。通常はフルートで演奏されることが多いように思いますが、リコーダーで演奏されました。しかし、その分音量がなく、弦楽器の中に埋もれてしまっていたのが残念です。リーコーダー奏者の2人は女性でしたが、演奏の身振りがピッタリと合っていたのが印象的でした。

 休憩後の後半最初に、昨年ナント市立図書館で発見されたというモーツァルトの未発表自筆原稿の解説がありました。楽譜のコピーが配られ、リーダーのヴァイオリン奏者(ダニエル・キュイエ)によって演奏を交えながら解説されました。断片的な楽譜で、真偽や歴史的価値がどうなのかは疑問です。姉妹都市提携記念とはいえ、この場で解説の時間を取った意義もよく分かりません。素人の私には興味が湧きませんが、未発表原稿が見つかったというのは大ニュースなんでしょうね。まあ、話の種にはなりそうです。

 その後はブランデンブルグ協奏曲第5番が演奏されました。配布されたプログラムでは後半最初は管弦楽組曲になっていたので、アレッと感じました。編成はヴァイオリン2、ヴィオラ1、チェロ1、コントラバス1、チェンバロ1、フルート(フラウト・トラヴェルソ)1です。チェンバロの奏者は前半と違っています。ブランデンブルグ協奏曲全6曲の中で一番聴き応えある曲ですし、前半で耳が慣れたせいか、音色的にも聴きやすく感じました。一番の見せ場であるチェンバロのカデンツアはお見事であり、フルートの音色も良かったです。

 最後は管弦楽組曲第2番です。ステージから下がらずに演奏が進められました。編成は前と同じですが、フルート奏者は椅子を片付け、別のフルートに持ち替え、水で喉を潤した後に立って演奏しました。馴染みやすい曲ということもありますが、なかなか良い演奏だったと思います。アンコールがあるものと期待しましたが、そのまま終演となりました。

 さて、総じて考えますと、まあまあという印象の演奏でしょうか。残念ながら特別な驚きも感動もありませんでした。古楽器の音色や古楽奏法に馴染みのない私の不勉強が大きな問題だったのかもしれませんが、ヴァイオリンにもっと輝きがあれば、聴き映えする演奏になったのではないかと思いました。古楽アンサンブルを聴くにはホールが大きすぎたこと、ホールの残響が多すぎたことも問題だったかもしれません。もっと小さなホールで聴けば感慨も違ったのではないかと感じました。
 無料の演奏会ですから文句を言うこともないのですけれど、配られたプログラムはA4の紙1枚。独奏者の名前ぐらいは知りたいと思いました。

 ホールの外に出るとまだ明るく、日が長くなったことを実感しました。今が新潟の一番良い季節です。

 と、カール・リヒター指揮ミュンヘン・バッハ管弦楽団のCDを聴きながら書いていますが、古い録音ながらも、これはいい演奏ですね。

附:ナント市といえば「ラ・フォル・ジュルネ」の総本山。新潟市は姉妹都市になったのですから、同じような音楽祭を開けないものでしょうか。金沢でやれるんですから新潟でも・・・、と妄想はふくらみますが、新潟の文化的基盤からして無理でしょうね。立派な会場はあるんですけどね。
 

(客席:2階D5-18、市民招待:無料)