昨日は寒冷前線の通過でみぞれ混じりの荒天でしたが、本日は風は肌寒いですが、日差しは心地よいです。家族と別れ、会場に赴くと飯森あんによるプレトークの最中でした。2002年版の意味、オーケストラ配置のことなど分かりやすく説明してくれました。
本日のオーケストラ配置はドイツ式。第1、第2ヴァイオリンが左右に分かれ、コントラバスが左手になります。これがヨーロッパでは一般的だとのこと。コンミスは大谷さんです。
さて、前半はファジル・サイの登場。サイは2002年6月18日に新潟でコンサートを開き、すばらしい感動を与えてくれたのは記憶に新しいです。個人的には今年度の東響定期の予定をみて、最も楽しみに思った公演です。オケは小編成。ドイツ式の配置ですが全体に左手に偏ったような感じです。
サイが燕尾服でなく黒いシャツ姿で登場して演奏開始。予想通りの軽妙闊達な演奏。足踏みをしたり、歌ったり、体をくねらせたり、うつ伏したりと忙しいです。期待を裏切らない心地よいモーツァルトでした。
アンコールは自作を2曲。前回のコンサートでもアンコールで演奏した曲です。最近CDが発売になっており、曲としてもおもしろいです。熱狂的拍手の中で前半の終了。これだけで今日は十分なようにも感じましたが、これからがメイン。
休憩後いよいよマーラー。5番の実演は、2000年11月にインバル指揮フランクフルト放送響で聴いて以来です。もちろん最終校訂版は初めてです。
出だしのトランペット・ソロから演奏に引き込まれます。東響のサウンドも美しく、至福の時間が過ぎていきます。第3楽章はホルンのハミルさんが前に出て演奏。なかなかいい演出でしたし、演奏もすばらしかったです。そして第4楽章。非常にゆっくりとしたテンポで、夢見心地に誘います。しかし、ムード音楽にはならないのが良いです。さらに5楽章、クライマックスへ。
久しぶりの精神の高揚感を感じました。ホールを埋める聴衆も同じ気持ちのようで、ブラボーの声も高く、拍手は鳴りやみません。これほどの熱気は久しぶりに思います。飯森あんの見事な指揮ぶり、東響の魂のこもった演奏、前半のサイの好演もあって、気は早いですが、今年のベストコンサートになるんじゃないかとすら思うほどでした。
(客席:2階Cブロック*−*) |