新潟アジア文化祭2000 スペシャルプログラム
ヨーヨー・マ シルクロードコンサート
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2000年8月1日 新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
 
チェロ:ヨーヨー・マ
 

アリ=ザデ:チェロとピアノのための「ハビル・サジャヒ」

        チェロ:ヨーヨー・マ
        ピアノ:ジョエル・ファン

ブライト・シェン:中国で聞いた七つの歌
     1.四季、2.謎とき歌、3.小さなキャベツ、4.酔った釣り人、5.デューデュー・ドン
     6.牧歌的なバラード、7.チベット人の踊り

        チェロ:ヨーヨー・マ

マリア・ポミャノフスカ:シルクロードをテーマにした新作
     1.アラブ、2.シフェンティ・ヤーニェ、3.オベレク・トランソーヴィ

(曲目解説)

     4.リバ、5.レグニツァの戦い1241、6.ビャワ・スタナフ          

民族楽器、歌:マリア・ポミャノフスカ

        パーカッション(マリンバ):トマシュ・ソバニエツ
        管楽器:ミハウ・クレンティ
        民族楽器、チェロ:ヨーヨー・マ         

(休憩)

ゾルタン・コダーイ:無伴奏チェロ・ソナタ op.8

        チェロ:ヨーヨー・マ

(アンコール)
マーク・オコーナー:アパラチア・ワルツ
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲より

 
 

 
 
 今日のコンサートは、新潟県主催のアジア文化祭の今年度最大の目玉です。シルクロード・プロジェクトを押し進めているヨーヨー・マの理念と合致して実現できたコンサートだと思われます。
 入場券はあっという間に売り切れ、マの人気の程がうかがえます。私はチケット発売とともに電話予約したため、幸いCブロック中央のいい席を確保できました。

 例によって、職場を5時半に出て開演ぎりぎりに着席。今日も隣の県民会館で催し物があり、駐車場が満杯。少し離れた市役所の駐車場に車を止めて、息を切らしながら駆けつけました。ホールはすでに満席です。いつもより女性客が多く、華やいだ雰囲気が漂っていました。

 最初は、全く聴いたことのない曲です。緊張感漂う演奏にいきなり圧倒されました。マの演奏もさることながら、ピアノのファンも大活躍。ピアノの弦をたたいたり、はじいたり、さらには鍵盤のふたをたたいたり、鍵盤を弾くのはごくわずかです。ピアノって打楽器なんですねえ・・。ファンはピアニストとして紹介されていましたが、ピアニストというより打楽器奏者ですね。アゼルバイジャンの作曲家による民族音楽をモチーフにした曲だそうですが、前衛的な中に、民族的な血の躍動が感じられました。
 次の「中国で聞いた七つの歌」は、CD(SOLOというCD、他にコダーイも収録)になっているので、耳になじんでいます。チェロの多彩な音色の美しさに聴き入っていました。
 次は、作曲者自らの演奏です。マイクを使っていましたが、最小限で、違和感はありません。ボミャノフスカはポーランドの作曲家で、民族音楽の研究家だそうです。民族楽器を復元し演奏活動をしているということです。実は、ポーランドの駐日大使夫人でもあり、途中日本語による曲目解説をしてくれました。夫(つまり駐日大使)も飛び入り出演されていました。演奏する楽器はまったく見たことのないものです。チェロに似た弦楽器で、似たような音色でした。マもチェロのほかに民族楽器も演奏していました。西アジア風の歌声も魅力的でした。

 休憩の後は、いよいよコダーイです。冒頭はサントリーのCMであまりにも有名になりましたが、全曲を生で聴く機会は少ないと思います。まさに神懸かり的な、魂の演奏でした。常々私は音楽は娯楽だなどと言っていますが、これは娯楽ではなく、芸術、技であると実感しました。魂を揺さぶられるような心地よい緊張感でした。CDでは味わえない生の緊張感です。会場を埋めた満員の聴衆もじっと聴き入っています。張りつめたホールの緊張感、静寂の中で、隣のご婦人の腹の虫の音まで聞こえます。演奏終了とともに、会場は熱狂的な拍手です。
 アンコールの最初は、CDでおなじみのアパラチア・ワルツ。拍手が収まらず、アンコール2曲目は、バッハのおなじみのメロディ。ますます会場は興奮し、最後は全員スタンディングオベーションとなり、2時間半にも及ぶコンサートが終了しました。ここまで盛り上がったコンサートは久しぶりです。

 マの卓越した技量のみならず、人間性の豊かさ、優しさ、情熱を感じさせるすばらしい一夜でした。同じアジア人として、親近感を持ち、共感できる点も多かったものと思います。
 先週土曜日は、諸般の事情で、楽しみにしていたバッハ・コレギウム・ジャパンに行きそびれて、S券を無駄にして落ち込んでいたのですが、気分一新、晴れやかな気持ちで帰途につくことができました。