新潟大学管弦楽団第61回定期演奏会
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2024年12月7日(土)13:00 新潟県民会館 大ホール
指揮:河地良智
 
ヴェルディ:歌劇「運命の力」序曲
チャイコフスキー:「スラブ行進曲」

(休憩15分)

ブラームス:交響曲第1番 ハ短調 作品68

(アンコール)
ブラームス:ハンガリー舞曲第5番






 
 年末ということもあってか、今週もたくさんのコンサートが開催されています。今日も魅力的なコンサートがいくつも重なり、どのコンサートを選ぶか悩ましい事態になりました。
 今日は、14時からの「小林浩子ピアノ・リサイタル」に行く予定にしていましたので、この定期演奏会への参加はあきらめていたのですが、開演時間を確認してみましたら、この演奏会の開演はなぜか13時であり、往生際の悪い私は、前半だけでも聴かせていただこうと思い立ちました。
 いつものルーチンワークを終えて、簡素な昼食をとり、寒さ厳しく雪が降る中、白山公演駐車場へと車を進めました。

 新潟県民会館に入りますと、すでに開場が進んでおり、当日券を購入して入場し、2階に席を取りました。受付で配布されたプログラムには、各演目の出演者の並び順が挟み込まれていましたが、コンミスと弦の各パートの首席以外はメンバーが異なり、実質的に3つのオケを聴くような感じになります。各メンバーが1曲だけに集中して練習を積んでいるということになりましょうか。

 開演時間となり、拍手の中に団員が入場し、最後にコンミスが入場してチューニングとなりました。弦の配置は通常の配置で、弦5部は、13-13-12-7-8 です。指揮の河地さんが登場して、1曲目は、ヴェルディの「運命の力」序曲です。
 冒頭の金管による重厚なファンファーレがバッチリと決まり、弦が暗いメロディを奏でて演奏が始まりました。ゆったりと木管がメロディを奏で、弦が沸き上がるように美しいアンサンブルで魅了しました。
 緩と急、明と暗、激しさと穏やかさと、曲の変化を、まとまりのある見事な演奏で具現化し、金管と弦の掛け合いも聴き応えありました。弦・管・打の各パートとも集中力を感じさせ、文句のない抜群の仕上がりでした。大きな盛り上がりの中にフィナーレとなり、ブラボーを叫びたくなるような高揚感をいただきました。
 最初から聴き応えのある素晴らしい演奏であり、乱れのない美しいアンサンブルで魅了されました。この曲の魅力を余すことなく知らしめて、オーケストラの醍醐味を味わわせてくれました。これまで聴いたこの曲の実演でも最高の部類ではないかと思えるほどのいい演奏でした。

 団員が入れ替わって、2曲目はチャイコフスキーの「スラブ行進曲」です。弦5部は、13-15-13-8-8 となりました。河地さんが登場して演奏開始です。
 重苦しい低弦で始まり、ヴィオラがメロディを奏して、ヴァイオリンが続き、暗く、重々しい足取りで行進が続きました。迫力いっぱいな重厚な響きで楽しませ、各パートともアンサンブルの乱れはありません。中間部での明るいメロディも美しく、勇壮に曲が進み、力強く勝利を歌い上げて、豪快に曲を締めくくりました。
 1曲目と同様に、エネルギー感に溢れる素晴らしい演奏であり、抜群の仕上がりに感嘆しました。豪華絢爛なオーケストラサウンドは心地良く、理屈抜きに楽しむことができました。

 学生のオケですので、毎年メンバーが入れ替わるのが宿命ですが、前半2曲の演奏は、これまで聴いてきた中でも最良の演奏であり、今年のオケの素晴らしさを実感し、見事な演奏を引き出した河地さんを賞賛したいと思います。

 後半は、ブラームスの交響曲第1番です。再び団員は入れ替わり、弦5部は、14-12-10-12-8 となりました。河地さんが登場して演奏開始です。
 前半同様の名演が確約され、是非とも聴きたかったのですが、14時からの小林浩子さんのリサイタルが控えていましたので、休憩時間に入ったところで県民会館を後にして、りゅーとぴあへと移動しました。
 
 後半を聴けなかったのは誠に残念でしたが、前半の2曲が素晴らしい仕上がりでしたので、これを聴けただけでも良かったと思います。パワー溢れる見事な演奏を聴かせてくれた学生さんたちにブラボーを贈りたいと思います。
 

(客席:2階3-30、当日券:\800)