「この本を読めばあなたにもアイデアビジネスができる」というのは定番の殺し文句だろうから、これは仕方がないが、そういうことはワキに置いといて
サラリーマンの人たちに役立つようなことが少し書いてあったような気がする(もっとあったはずだが、2つしか思い浮かばない)。
(1)自分の仕事を徹底的に分析してみる
毎日、単純でどうしようもない仕事をしていると思っている人がいるかもしれないけれど、「自分の仕事や会社を徹底的に解剖してみるとよい」とアドバイスしている。
これはかなりおもしろい視点で、実際に自分が何をしているか、しっかり把握している人は案外に少ないと思う。
技術部門のことしか分からないけれど、ある製品を開発しようとしたときにどのようなスキルを持った人材を何人集めて、そして、どのような体制を構築すればよいかといったことは
その製品を開発している部門の人にしかわからないわけだから、そういう点では非常に貴重な情報になる。
業務上の秘密に関する事項については取り扱いに注意を要するが、同様な組織を立ち上げたいと思っている企業にとっては、おそらくのどから手が出るほど欲しい情報になるわけで
嘘か誠かはっきりしないが、ある中国企業が退職した団塊世代の技術者を1億円で採用したという話もある。
これは極端な例だとは思うが、中国に限らずインドやブラジル、またそう遠くない将来においてはベトナムなどが日本の技術者を高給で雇用するという事例が増えてきてもおかしくはない。
分析の手法は単行本の「フラット化する世界」(トーマス・フリードマン著)を読むと参考になると思う。
▼フラット化する世界〔普及版〕上
(2)現場に出かける
著者は現場に出かけることの重要さを述べている。
記憶違いかもしれないので、正しくは書籍で確認してほしいのだが「体感面積」というような言葉を使っていた。
体感したことがアイデア発想の源泉になっており、その広さによってアイデアの数が決まってくると指摘している。
具体的な方法としては、著者が会社勤めのころは土日を利用して海外旅行で頻繁に出かけていったそうだ。
東京という地の利を生かした見本のような実践例で、こういったところに非凡さを感じてしまう。
これは能力の有無に関係なく可能なことなので、誰でも取り入れることができる。
さすがに毎週は無理だろうけれども、インドネシアかどこかの会社が、東京と東南アジアを往復4万円ぐらいで行けるようにすると計画しているという時代なので、やらない手はないと思う。
こういうことは、ある程度は会社には内証にしておく部分もあろうかと思うが、異業種交流会とか、各種の会合に出て知見を広げるのもよいと思う。
昔は他の企業の社員と接触するのを嫌がったものだが、そういう時代ではなく、どうかすると積極的に参加することを求めている場合もあるので、そうすると大出を振ってできるはずだ。
参加するのは学会でもよいし、NPOでもなんでも、数年継続すれば自然に気心も知れて人的ネットワークができあがり、いざというときの役に立つかもしれない。
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