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読書感想文

クチコミの技術

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クチコミの技術
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『クチコミの技術』の読書感想文

『クチコミの技術』の読書感想文

クチコミの技術 広告に頼らない共感型マーケティング

これは書評ではなく感想文です。ですから、だらだらと書いています。ここの文章から何か示唆的なことを得ようとしても期待はずれに終わるかもしれません。

私が住んでいるところは瀬戸内海の島です。以前も今も地名は向島町ですが、合併して尾道市に編入されました。つまり尾道市民になったわけですが、なにもよいことはありません。アホらしさがつのるばかりでしたが、ふと思いついたのが図書館のことでした。

残念ながら、ここは文化果つる地であり、21世紀を迎えてもなお向島町には図書館がありません。不便をかこっていたところなので、編入合併という立場はあれ、いちおうは「市民」になったのだから、諸経費回収の意味合いも込めて、ここは図書館を使い倒すぐらいに利用しようと考えました。

3000円以内であれば1箇月に1冊にかぎり図書の購入を請求できるというので、手始めに本書の購入を依頼してみました。案外にあっさりと要求がとおり、こうしていま手元に「クチコミの技術」があります。

数週間とはいえ、入手するあいだに季節は移り桜は満開から葉桜に変わっています。そのために他とは一呼吸おいた感想になっているかもしれません。

  • 私といしたにさんの関係
  • 「まえがき」と「あとがき」について
  • 「井戸端会議」ということについて
  • 「メディア化する個人ブログ」について
  • 「コンテンツ」ということについて
  • 「いい歯磨きなんて簡単だ」
  • Web 2.0化する消費者
  • 「最新軍事用語集」と「クチコミの技術」のマーケティング手法の比較
  • 「ターゲットされる」ということについて
  • 「クチコミの起こし方」と「継続は力なり」
  • 「サイトの評価方法」および「クチコミの効果を調べよう」
  • もう一度トライしてみようか

(2007年5月 金森国臣)


尾道市立図書館の桜

著者名が片仮名と平仮名なので書きにくくて仕方ないのですが、まず立場を明確にしておくと、経緯は省くとして、いしたにさんはmixi(ミクシィ)における数少ないマイミクシィの一人です。

いしたにさんが運営するブログ『みたいもん!』にはときどき訪問してはいますが、熱心な読者ではありません。コグレマサトさんとは面識がなく、ブログ『ネタフル』に訪問したのも数回にしかすぎません。

いしたにさんとは、うれしいことに、昨年、尾道へおみえになったときに一緒に終日遊覧して友好を深めています。その関係で重点とする箇所が多少とも偏っている可能性があります。

もちろん出版社の日経BPとの利害関係はありません。(本当に正確に言えば、10年ぐらいまえに機械翻訳関係の出版で打ち合わせに出向いたことはありますが、この企画は日の目をみていません。)

それから余計なことになりますが、私はあまり眼がよくありません。したがって、「お金にならない読書」はできるだけしないように心がけています。久しぶりの読書になるので感覚がズレている可能性もあります。


『クチコミの技術』の「まえがき」と「あとがき」について

さて、ポストイットも用意して、張り切って読み始めたのですが、参考になる箇所が多く付箋だらけになりそうなので、これはやめて、そして素直にページ順に感想を連ねることにしました。まとめることに時間がかかっても仕方がないと考えたからでもあります。

肝心な点の大方は「まえがき」にあり、ここを読めば済んでしまうようなところがあります。実際のブログの運用に携わらない管理者であれば、ここをじっくり読み込めばよいと思います。数ページの量なので、何回か目を通すとよいでしょう。

「あとがき」には著者の思いが溢れているように感ぜられました。なにがしかのことを達成しようとすると、何らかの「思い」がなければならないのですが、そのあたりがここでは汲み取ることができるのではないかと思います。

執筆にあたってはGoogle Docsのドキュメント共有サービスとSkypeのグループチャットを活用したとのことで、これはいま私が関心をもっている「情報共有」と相通ずる点があり、興味深い記述でした。

そして、いずれも「妻子への感謝の気持ち」を述べているのですが、ここにも時代の移り変わりやブロガーの家庭内立場を強く感じたような次第です。


ブログの運営はネットで井戸端会議をひらいているようなものであるとの記述が見られます。

ブログとマーケティングをテーマとした書籍であることから井戸端会議というキーワードに行き着いたのかもしれません。しかし直感的に感じたのは、実際には井戸端で話をしたことはないな、ということです。概念的なこととして存在はしていても、これとは少し違うのではないかと思います。

ブログを成功させる秘訣は、継続的にコンテンツを提供し続けることであるという主張からすると、いまにあてはめるとしたら、定期的に商店街に出没するストリート・ミュージシャンがこれに近いような感じを受けます。「スター」が誕生する過程もよく似ています。

いまひとつの例としては街頭将棋があるように思います。差し手に近しい人はそれぞれに真後ろに陣取って、あれこれうるさく指南します。部外者は少し遠巻きにして戦況をながめています。何事かと近寄ってきた人も興味がなければすぐに立ち去りますが、勝負が白熱すればするほどに、次第に人垣が出来てくる、こうした中国での光景と重なります。


これは少し補足すれば、「マスメディア化する可能性のある個人ブログ」ということであろう思います。個人ブログは企業ブログに置き換えてもかまわないでしょう。

アクセス数(ページビュー)はある種の企業秘密であり、公開されることはまずないのですが、ここでは著者のブログにおける実数が公表されています。貴重な資料です。

マスメディア化していることについて、何とはなくに、そういうこともあろうかと漠然と思っていたことが、改めて数値で確認できます。

アクセス数の伸び、ページごとの月刊アクセス数そして上位エントリのタイトルが図表で示されていますが、これも非常に貴重な資料であると言えます。これならマーケティングに使えそうだと実務で判断する人が出てくるかもしれません。

個人のブログにおいてマスメディア化を実感する具体的指標として、継続期間、蓄積したエントリ数および一日あたりのページビューが数値で示されていることも大いに参考になります。


目から鱗の記述が次から次へと続いて実に楽しいのですが、興味のあることなので少しコンテンツということにも触れてみたいと思います。

私と著者の世代的な違いは数多くあるようです。ひとつを言えば、情報世代かコンテンツ世代かという違いがあるようです。

「情報」には「情報資料」と「諜報」というやや異なる概念がごちゃ混ぜに含まれていて難解なのですが、意味合いとしては、例えば上司から「情報をあげてくれ」と言われれば、その目的に沿ったものを報告するはずです。

濃淡で言えば濃い情報ほど望ましく、また意味のあるものほど重要視されます。ところが、コンテンツということになれば、このあたりがかなり曖昧になってくることが本書からは読み取れます。とくにブログには本質的にそうなる性質が備わっているからかもしれません。

正確に定義するには知力が及ばないので、ざっくり言ってしまえば、指定のメディアに載せることができれば、それはコンテンツとして構わないという感じなのです。いままではメディアの利用料が高額であったがため、高いコストパフォーマンスが求められました。しかし、ブログに限っても、ここまで低価格になれば、何でもコンテンツになり得るというわけです。

著者は、ブログ運営者はコンテンツ提供者であると喝破しています。情報提供者であろうとして、内容の精度や意味合いに注意を払ってきた身としては、なんだかガックリするような話ではあります。

情報発信だ、などと古くさいことを言っていてはダメなようです。ブログは、ある種のノイズさえ許容するメディアである、逆に言えば書き手の体温を伝えるにはノイズがあったほうがよいとまで指摘されると、このショックは計り知れません。

ブロガーの本音というコラムがところどころに差し挟まれていて、ここを読むだけでも面白いのですが、徳力基彦さんはコンテンツ提供のコツをだれかにメールする感覚で思ったままに書くことであると指摘しています。まさにそのとおりであり、四角四面であっては息切れがして長く続けることができません。


意外なコンテンツがアクセスを集める事例として「いい歯磨きなんて簡単だ」のエントリが紹介されています。またブログのクチコミ効果を分析する材料としても使われています。

このエントリの内容を縮めて言ってしまうと、単に「10分間しっかり歯磨きをする」ということだけなのですが、触発されてそのとおりの歯磨きを実践し続けている者としては、ここでクチコミの追体験ツアーに参加させてもらっている感じがしました。

どうということのない内容なのですが、これが私にとって実に役立つ情報となりました。歯が何本か助かっているのも、このお陰と感謝しています。私の工夫としては、1本の歯ブラシで10分は長くて間が持たないので、3種類を用意し、それぞれに3分間を割り当てて10分にしています。種類を違えることで、歯ブラシのあたる場所も異なるという想定外の効果も生まれています。

分析のなかでなるほどと思ったことは、通常のクチコミでは受け手は拡散してしまい把握しづらいが、ブログでは起点が自身のブログであることが存在としていつまでも変わらないので、ある程度の追跡調査も可能という点でした。

とくに企業では、この起点をつくるということだけでもブログによるマーケティングの効用は大きいように思われます。自分から意識的にたどることができる点で他のメディアと決定的な違いをみせていることがわかります。


「いい歯磨きなんて簡単だ」に加え、ブログによるクチコミの事例として「涼宮ハルヒの憂鬱」が取り上げられています。アニメのタイトルのようで、まったく苦手の分野でこの読み方さえはっきりしません(ハート、ルート、ヒートでやっと入力)。

ここで著者は「消費者はすでにWeb2.0の渦中にいる」との題で論考を展開しています。インターネットとの親和性から、コンテンツ産業にその端緒が現れているのでしょうが、しかしこの節を読む限りでは、消費者は渦中にあるというよりも、Web2.0化しつつあると言ったほうがしっくりくる感じがします。

「2.0」は流行のことでもあり、その点で付和雷同の面もあるので、気分的にスパッと言い切れないのですが、インターネット・ユーザーはインターネットを使っているという事実によって、自ずとWeb2.0化せざるをえないと思っています。

その先端的ともいえるブロックのみを消費相手と考えているらしい商品がアニメとはいえ出始めていることに、ちょっとした驚きを感じています。

Web2.0によってインターネットの使い勝手は格段に向上し、さまざまな機能が提供されています。インターネットのユーザーはそれを日常的に使用することで、知らず知らずのうちに一種の身体化がはかられているはずです。

これはマーケティング担当にとっては見過ごせない事象だと思います。需要に合わせて制作するということであれば、作品にも反映されるということになります。


若干のPRになりますが、ほぼ同時期に「最新軍事用語集」を日外アソシエーツ社から出版しました。「クチコミの技術」と異なり、不要な人にはまったく不要であり、また価格も8800円と高額です。比較検討には不向きですが、まったく対照的である点で面白いと思い、違いを考察してみたいと思います。

「クチコミ」では、まず著名なブロガーに献本することからマーケティングが始まっているようです。ブログで取り上げてもらうことで需要を喚起し、そして同時にアマゾンで先行発売することにより、ネット内でのベストセラーを目指しています。

ブロガーへの献本とアマゾンでの先行発売が表裏一体のこととして捉えられています。つまり、アマゾンが提供する画像付きの書誌情報をブログへ貼り付けることによって、ブロガーは紹介の手間を大幅に省くことができます。

なおかつアマゾン・アソシエイトによる収入という魅力がブロガーには生まれます。紹介した書籍がベストセラーになり、ネットで評判になれば、ブロガーの収入が増えるという循環が始まります。なかなかの手法です。

これが「用語集」ではまったく不可能だったようです。一般には軍事評論家が思い浮かぶかもしれませんが、用語集を必要とする人は程度の差はあれ専門家です。あの評論家が、ということになれば、逆効果になることもあります。またブログを運営している評論家もまれです。ここですでに大きく異なっています。

ネットによる宣伝が従来方式のホームページであるのか、ブログであるのかも目に見える違いです。2つをリストしましたの参照してみてください。一目瞭然であるかと思います。

静的マーケティングと動的マーケティングの違いといってよいかもしれません。日々に更新される内容は訪問者にとっても魅力的であり、なんらかの有益情報さえ得られるとなると、そのうちに購入への動機付けとなることでしょう。

用語集の場合でも、正誤表などの情報提供が考えられるのですが、出版社にその気がなければ進みません。また前提条件としてブログを開設する技術的能力がなければなりません。外注となればコストアップにつながるので、素早く内製できるかどうかがこれからはカギになるではないかとの印象を強く持ちました。

ホームページが開設されて、かつまた電子的に発注できるのは昔に比べて進んでいると思いますが、なおそのうえを行くところがあるということだろうと思います。

いしたにさんに、チラシはないのかと尋ねたら、申し訳ないがブログしかないのです、とやさしく回答されました。


「用語集」も「クチコミ」どちらも対象読者ははっきりしています。手法に差はあってもピンポイントで狙っていることに違いはないと思います。必要な人に必要な情報を届けるという目的は、どのケースでも同じことです。

さすがに昔のように空から宣伝ビラを蒔くという乱暴な方法はとる企業はありません。しかし、テレビや新聞の宣伝広告を見慣れていることで、そのようなやり方への信頼感が意識の奥底には潜んでいるかもしれません。たとえば、新聞に広告を出せば必ず一定の効果が得られるからです。

ここでは、こちらから「ターゲットしている」という意識しかないと思います。しかし、潜在する顧客からは逆に「ターゲットされている」という視点も持つ必要があります。

ターゲットされることによって、初めて伝えたいことが確実に伝わるようになるとも言えます。そのための標的としてもブログは有用です。起点にもなり、標的にもなるブログが存在することによって、対象読者との出会いはより確実になるのではないかと思いました。

このあたりの感覚は、なんとなくもやもやしていたのですが、本書の記述ですっきりした部分です。

『クチコミの技術』の「ターゲットされる」ということについて


ブロガーとして著名ではあっても昼間は一人の給与受給者であるかもしれません。しかし、ブログとブログの関係で言えば、個人も大企業も電子的には対等(ピア)です。著者もこの点を戒めています。マーケティングという視点を外せば、アクセスの多寡も軽重には無関係です。

この点をしっかり押さえつつ、当該箇所に示されている手順を踏襲すれば、ブログによるマーケティングは初歩的であれ成功するのではないかと思います。成功した事例もいくつか紹介されています。

ブロガーが対象の会合は夜8時から開いたほうがよいとの実にかゆいところに手の届くようなアドバイスもあります。昼間は一般のメディアを対象に発表会を催し、夜にはそのままのセッティングでブロガーを招待すれば確かに効率よくPRが行えます。

ブロガーとの交流を深めるには、裃を脱ぎ、ネクタイを外して、フレンドリーに接するのが一番だろうと思います。しかしながら、有名大学を卒業し、上場企業に入社しているとなると、自覚はしていなくとも不要なプライドが身にまとわりついているかもしれません。ブログによるマーケティングの成否は案外に単純にこのあたりにあるのかもしれません。


ブログによるマーケティングがうまく進んでいるかどうかは、一義的には商品の売り上げで確認できます。ですが、ブログでの効果をみるには、サイトの評価データを視覚化(可視化)する必要があると指摘しています。

その方法のひとつとして「サイト評価チェックシート」が示されています。1ページの簡単なチェックシートですが、実務者には参考になる資料です。各種の評価ツールも紹介されています。

しかし、結果的に、ここは分かっている人が分かっている人に書いた内容になっています。紙数に制限があったのかもしれません。もう少し噛み砕いて欲しかったテーマです。

例えば、評価のベースラインを決めておき、それに合わせたツールの選択および利用方法があれば、もっと分かりやすくなったと思います。チェックシートの読み込み方もあれば、なおよかったのではないかと思います。

『クチコミの技術』の「ターゲットされる」ということについて


ココログのサービス開始と同時に申し込みはしたのですが、使い勝手が悪かったこと、またフォームがどうにも性に合わず、すぐに運営をあきらめてしまいました。そのうちにパスワードも忘れてしまい、放置状態が続きました。

いまにして思えば、最大の挫折要因は、ブログにテーマ性を持たせようとしたことにあります。何であれ、知らず知らずのうちに事大主義におちいってしまい、すぐに煮詰まってしまいます。これは常につきまとい、弱点として現れてしまいます。活字世代に特有のことかもしれません。

自分のメインとするつもりであったブログの運営はそういうことになってしまったのですが、ブログ自体については関心は持ち続け数種を開設しています。いずれも記録を目的としていると強弁せざるを得ないほどのアクセス数ではあります。

  • ホテルおか島応援ブログ(ホテル休業のため、あわせて運営していません。)
  • 尾道のアート

本書の借り出しを機に、もう一度トライしてみようかとも考えています。


ココログアフィリエイトで「ベストレビュー」コンテストという企画があるのですが、いしたにさんが審査員を務めています。

「ベストレビュー」コンテストでいしたにまさきさんが審査員を務めています。

(2007年12月 金森国臣 関連情報の追加)


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