尾道で唯一宗教的な静謐性を保っていると思えるのは西國寺だけのような気がしている。
西國寺は「大本山」の地位にあるから他の寺院と異なり、あくせくする必要がない。境内に入るとすぐに感じることだが、清掃は常に行き届いているし、樹木の管理なども怠りなく行われている。
かつての巨大な伽藍がかなり残っていて、全国的にみても有数の規模を誇っている。西國寺の特徴的なことは、山麓の傾斜を活かした配置になっていることで、これが他には見られない美しさを醸し出している。
ここに桜の木がほどよく配されているのであるからして、その満開時の様子は見事というほかにない。
境内での飲酒は当然に禁止されているから、酔客の姿態に悩まされることもない。
ただし絶好の撮影ポイントであるため、アマチュアカメラマンがどっと押し掛けていて、それはちょっと邪魔だが、それさえ我慢すれば花見を堪能することができる。
徒歩であれば古寺めぐりながら立ち寄ってもよいし、尾道駅からバスを利用してもよい。駅の構内には観光案内所があるので、乗り場などはそこで確認するとよい。人数がいれば、タクシーという方法もあり、距離は近くなので料金は余りかからない。
尾道でよく知られている桜の名所は千光寺公園なので、もし体力があれば、千光寺公園を巡ってから西國寺というコースも選択できる。
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