はな糞
日暮里ステーションで上野行の汽車を待つ。まだ二十分まがある。休憩所をづーツと見□□。隅の方に五十餘まりの爺さんが居る。極めて平凡な顔だ。志きりにはな糞をひねつて居る。ドー見ても人生に□れてる顔ぢやない。それが妙に僕の感興をひいた。ブツクに寫して置く。(但し此□合人生とは近頃流行の狭義の人生を意味す。)
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黄ろい顔
九月の蒸し暑い日、上野から電車で新橋へ行く。萬世橋の停留所に電車がとまった時、前に腰かけて居た男が帽子をとつて□しく窓の外に禮をした。外を見ると葬式が通つてゐる。此の男の顔は黄ろかつた。
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