レアアース(希土類元素)製錬・分離技術

技術名 しくみ 長所 短所 主な用途・状況
溶媒抽出(Solvent Extraction) 水相と有機相の間でレアアースイオンを可逆的に分配し、各元素を相互分離する ・連続的な大量処理が得意
・技術的に成熟しており信頼性が高い
・多数の抽出槽(ミキサーセトラ)が必要で設備が巨大化
・多量の酸・有機溶媒廃液が出る
現在の世界的な主流技術。中国やマレーシアなどの分離プラントで広く稼働
イオン交換・クロマトグラフィー 樹脂(固定相)に対する各レアアースイオンの吸着力の差を利用して順次溶離・分離する ・隣り合う元素同士を高純度に分離可能
・比較的小規模な設備で運用できる
・処理速度が遅く大量生産に向かない
・樹脂や溶離剤のコストが高い
高純度(99.999%等)が必要な蛍光体材料や医療・研究用材料の精製に利用
沈殿法・焙焼(化合物の精製) 混合溶液に特定試薬を加えてシュウ酸塩などを沈殿させ、加熱(焙焼)して高純度な酸化物にする ・目的の化合物(主として酸化物)を確実に固体として回収できる ・前工程(溶媒抽出等)での各元素の分離が不十分だと純度が上がらない 湿式製錬の最終仕上げ工程として必須。磁石用の酸化ネオジム等の製造に使用
溶融塩電解(金属還元工程) 分離精製されたレアアース酸化物を高温の融解塩(フッ化物など)に溶かし、電気分解して金属単体を得る ・高純度なレアアース金属(単体)を直接、比較的安価に製造できる ・高温維持と電気分解に多大な電力を消費する
・フッ素系ガスの発生対策が必要
乾式製錬の基幹技術。ネオジム磁石用の「ネオジム金属」やジスプロシウム等の製造に不可欠
リサイクル精錬(都市鉱山) 使用済みネオジム磁石や電子部品のスクラップから化学処理によりレアアースを回収・再資源化する ・鉱石からの製錬に比べ環境負荷(放射性副産物リスク等)が極めて低い
・国内資源の確保に直結
・回収スクラップの収集・分別コストがかかる
・不純物の除去プロセスが複雑
日本が強みを持つ分野。ハイブリッドカー(HEV)・EVの廃モーターやエアコンからの回収技術が進化
モジュール型精製(次世代技術) 従来の巨大工場ではなく、コンテナサイズ等の小型ユニットを連結させて柔軟に分離・精製を行う ・環境負荷が小さく小回りが利く
・地政学的リスクに応じた分散型生産が可能
・スケールメリットが出にくく高コスト化の懸念
・多くがまだ実証段階
脱・中国依存を目指す欧米の新興企業などが中心となってパイロットプラントを開発中