熊本市教育センター「パソコン通信入門講座」配布資料

「パソコン通信 カライモ(サツマイモ)交流」について

1994.5.27

熊本市立春竹小学校 教諭 上村 孝直


1.街中の学校でのイモづくり

 我が熊本市立春竹小学校(全校児童893名,校長:西村渡−当時)は、熊本市の中心部から南に約2キロ余りのところに位置し、120年の伝統を誇る学校です。
 以前はこの校区内にも、田圃や畑が広がっていたのですが、今では宅地化で団地やマンションが立ち並んでいます。もちろん、私の学級39人の中には、兼業も含めて農家の子は1人もおりません。
 そんな本校に、平成5年5月の初め、地元の篤志家から「空いている土地があるので、カライモでも作ってみては?」という、ありがたい申し出がありました。さっそく名乗りをあげた私たち4年生で、その120坪程の土地を無料で使わせていただくことになり、おまけにさっそく耕運機で耕していただきました。
 ところがここで、困った問題が起きたのです。それは、大量の苗を、どうやって手に入れたらいいか、ということです。もちろん、付近でカライモを作っている家などありません(後での笑い話ですが、「カライモのツルって、ヘチマみたいに上の方に伸びるんじゃないんですね」と真顔で言った子さえいたほどです)。
 幸い4年生担任の一人である私が、4月当初からクラスでパソコン通信に取り組んでいました。そこで、「ひのくにねっと」(熊本県農業会議)を通じて、誰か苗を分けてくれないか呼びかけてみました。

<資料1>イモ苗を求めて電子掲示板に書き込んだメッセージ(4/24)     

教えて下さい!!

 今年度、我が春竹小学校では、保護者の方のご厚意で、125坪の土地を学校農園として使わせていただくことになりました(たった125坪!と思われるでしょうが、春竹校区ではそれでも貴重なのです)。しかも、他に希望学年はなく、我が4年生だけが使うことになっています(まあ、はっきり言えば私が「やろう」と言ったのに学年主任の先生が力を得たのが大きな要因です)。
 そこには、もちろんサツマイモを植えることになっています。そして、4年生担任4人はいずれも農業の経験はなく、唯一私が天草時代にこじんまりとサツマイモを作ったことがあるくらいなので、なぜか「イモづくり実行委員」を拝命することになりました。

 そこで、ここは専門家のそろったひのくねっとのみなさんにアドバイスをいただきたいと思ったわけです。

 私の天草時代の記録には、平成3年度は苗植えが6月11日(約250本)、イモ掘りが10月28日、収穫163キロ、とあります。今度は熊本市内で気候が少々異なりますが、こういう日程でいいのでしょうか?それと、苗を安価で(できればタダで)大量に手に入れる方法はないでしょうか?以前、農業試験場かどこかにお願いすると必要なだけもらえる、と聞いたような気がしますが。どなたか、そういうつてをご存知の方、または自分とこでも作ってるので余分にとってあげるよ、と言って下さる方、ぜひ教えて下さい!!

                             TAKANAO

 

 するとさっそく、シスオペのHIRAE(平江正徳)さんが、県庁農政課時代のつてを辿って近郊の農家を紹介して下さいました。

<資料2>シスオペの平江さんから届いたメッセージ(4/28)         

(IkenR)「ちょっとひと言」を読む 73 of 73 93/04/28 15:48:38 27 line(s)
from
0002 HIRAE
題名(Title):
サツマイモの苗について
[改行:読む N:次へ L:一覧 E:終了 ?:説明]
:

        「サツマイモ」の苗について

 TAKANAO先生、イモづくり頑張って下さい。
サツマイモの苗探し、果樹園芸課と経営普及課に相談し、同一管内に小山戸島等産地があるので入手しやすく、又、苗の引き取りにもあまり遠隔でない等の理由から熊本農業改良普及所を通じて農家に依頼することが一番よいのではないかということで、上記普及所の園芸係長有住隆昭氏へ手配方をお願いいたしました。
 ただ問題は、農家としては自家の植付が済まないとできませんので、期日が希望の様になればよいと思います。
 有住氏の連絡先は下記の通りです。私も連絡しますが、先生からも電話でおかけ頂ければと存じます。

  熊本市南千反畑町4ー33 (熊本総合庁舎内)
     熊本農業改良普及所
 有住隆昭様
         TEL 352ー4111 内線525又は526

                            活性化塾  平江
おかげで、1,000本以上もの苗を無料でいただくことができ、イモづくり最大の難関が突破できたのです。

<資料3>苗の確保を報告するメッセージ(6/28)

イモづくり・・・明日、苗植え

 先日の書き込みをした直後にHIRAEさんからイモ苗の手配ができた旨の連絡をいただきまして、昨日うちの組の菅井・矢野の2人を連れて熊本市農協小山戸島支店甘藷部長の清田元成さん宅に伺い、サツマイモの苗約1,000本をとらせてもらってきました。バケツ10杯にびっしり詰めた、たいへんな量です。
おまけに、清田さんの「よかところばとって、持っていきなっせ」というありがたいアドバイスに従って、いい品種のいい苗を厳選しています(買えばいったいいくらになりますことか)から、さぞやいいイモが実ることでしょう。HIRAEさん、本当にお世話になりました。

 天気さえよければ、明日の1・2時間目で植え付けをします。うちの烏合の衆が、うまく活躍してくれるといいのですが・・・。

                             TAKANAO
 

2.働く喜び

子ども達は、初めて体験するイモづくりに、とても意欲的に取り組みました。雨上がりのぬかるみで泥だらけになりながらやった6月の畝上げ・苗植えに始まって、汗を流しながらがんばった7月の草取り、見よう見まねの9月のツル返しと、子ども達はむしろ働くことを喜びにさえして感じていたようです。でも、考えてみれば無理もありません。だって、普段は土いじりさえ、やりたくてもできない環境の子たちばかりなのですから。
 そして、これは保護者にも同じようなことが言えました。つまり、子ども達を通して聞くイモづくりの話題に、保護者たちもたいへんな関心を示したのです。私の組では、1学期末の学級懇談会で、「私たち親も、ぜひ参加させてほしい。草取りなど、気安く声を掛けほしい」というありがたい要望が上がったほどでした。
 また、こうしたイモづくりの様子を9月の全校集会で発表したところ、他学年の先生達からもたいへん好評を博しました。

3.「オ」鎌部隊

 さて、子ども達の願いが通じたのか、例年にない異常な冷夏・長雨にもかかわらず、イモ達はどうにかすくすくと成長を続け、収穫の秋を迎えることができました。
 しかしここで、2つ目の問題が生じてきました。それは、イモ掘りの際、大量のツルをどうやって切り取るか、ということです。
 幸か不幸か7月、鎌で草刈り中の私が、左手人差し指に骨の見えるようなケガをして、鎌のこわさは身にしみていました。ですから、今時の不器用な子どもたちにやらせてみようとは、さすがに思いませんでした。加えて、39人もいる子どもたちの保護者にも、鎌を使えるような方は残念ながらおられません。
 それでは、というわけで、再びパソコン通信で援軍(題して「『オ』鎌部隊」)を募集しました。

<資料4>助っ人を求めて電子掲示板に書き込んだメッセージ(10/14)    

募集 第2次(オ)鎌部隊!!

 以前から「週刊HARUTAKE」でお知らせしているとおり、我が春竹小学校の4年生では、6月からイモづくりに取り組んでいます。今年は、史上まれにみる冷夏・長雨で、出来の方はもうひとつみたいですが、それでも収穫の秋を迎え、たくましいサツマイモ達はどうにか食べられる大きさまでには育ってくてい
るようです。

 さて、私の学級(4年2組)では、そのイモ掘りを下記のような日程で行いたいと思っています。ついては、みなさんとてもお忙しいとは存じますが、もしよろしかったらサツマイモのツル切り等の講師(というと大げさですが)に、第2次(オ)鎌部隊として駆けつけて下されば、と思うのです。
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        春竹小学校4年2組イモ掘り大会 実施計画

1.目的
   イモ掘りを通して自然に親しみ愛護する心情を育てるとともに、働くことの喜びを体験する場とする。
2.期日
   平成5年10月23日(土)
    ※雨天時:10月30日(土)に延期
3.内容および日程
 ○10/16(土)[雨天時:20日(水)14:00〜]
  10:20 イモ掘り大会事前指導
      (学級園3区画を掘り上げる:全児童・PTA有志参加)
  12:00 最終打ち合わせ会
 ○10/23(土)[雨天時:30日(土)8:40〜]
  8:40 運動場集合・諸注意・移動開始
  9:10 ツル切り・イモ掘り開始・計量
   (この間、16日に掘ったイモをPTA有志が家庭科室でふかしておく)
 
11:10 イモ掘り終了・移動開始
 
11:40 学校帰着・道具等の片づけ・試食会
 
12:20 解散・下校
4.準備物
 ○個人:小人−軍手,イモを入れる袋
     大人−鎌,軍手,イモを入れる袋
 ○学校:イモ掘り−ミニスコップ  調理−せいろ,塩
5.服装
   体操服(肌寒いときは、トレーナー・ジャージ等の着用可),赤白帽子
    ※イモの汁は洗ってもとれにくいので、汚れてもいい服装・靴で
6.備考
 ○当日は、PTA学級委員および有志に、参加・協力をお願いする。
 ○ツル切り等の講師として、「ひのくねっと」有志に参加を呼びかける。
 ○掘ったイモは、原則として各自持って帰らせる(極端な偏りがないように配慮する)。
====================================
 それに、私としてはこの機会に、文面だけでしか知らなかったみなさんと交流を図ることができたら、と思っているのです。

 みなさんお忙しいとは思いますが、どうかよろしくお願いします。そのかわり参加していただける方には、お礼に一杯(と言わず、二杯、三杯・・・)おごります!!

                             TAKANAO 
すると、さっそく5人の方が参加を表明して下さったのです。これで、2つ目の難関も無事解決し、何の心配もなくイモ掘大会を実施できることになりました。

4.イモ掘り大会

 平成5年10月23日(土)、いよいよイモ掘り大会です。子ども達は、期待に胸を膨らませて登校してきました。そして、「『オ』鎌部隊」の5人の皆さん、すなわち、HIROAKIさん(球磨郡錦町の農家)・SHOさん(ひのくにねっと事務局)・MARIKOさん(ひのくにねっと事務局)・MATSUさん(九州東海大学4年)・K’Sさん(九州東海大学3年)、も約束通り朝早くから駆けつけて下さり、待ちに待ったイモ掘り大会の開始です。その様子を、児童の作文で振り返ってみましょう。

<資料5>イモ掘りの感想を綴った児童の作文(10/30)

     楽しかったイモほり大会
               熊本市立春竹小学校 4年2組 あさき
 10月23日土曜日。イモほり大会がありました。私は前の日から、「明日はちゃんと晴れるかなあ。雨、ふらなきゃいいなあ。」と思っていました。
 さあ、当日です。私は、
「どこの班にも負けないぞお。」
とつぶやきながら、イモ畑に向かいました。イモ畑の前には、お手伝いに来たお母さんたちや、田山さん・岩下さん・小川さん・松若さんなど、たくさんの人が来ていました。私たち4班は、田山さんといっしょです。田山さんがイモのつるを切っているところを見ていると、だれよりも速かったです。「やっぱり、プロ
中のプロはちがうなあ。」と思っているうちに、つる切りが終わって、今度は私たちがイモをほる番です。からだじゅうがドキドキして、ちゃんとほれるか心配になってきました。私は、坂井さんといっしょにほりました。一番最初にほったのは、太くて、とてもおいしそうなのでした。その次にはすごく大きいのがほれ
たので、
「わあ、やったあ。でえっかいのがほれたあ。ちょっと見て、見てえ。」
と坂井さんに知らせました。坂井さんも、
「わあ、すごいでかいねえ。」
とほめてくれました。全部で4か所くらいほって、坂井さんといっしょにイモの重さをはかりに行きました。重さは、3.2キロでした。
「もっとたくさんほったら、一番になれるかも知れないね。」
と坂井さんに言われて、私はあせを流していっしょうけんめいほりました。
 そして、イモほりはあっという間に終わって、次はイモの試食です。図工室に入ったとたん、イモのあまいにおいがただよってきたので、思わずはなをくんくんと動かしました。私が楽しみにしていたのは、結果発表です。「一番になったかなあ。ああ、ドキドキしちゃう。」と思いながら聞いていると、先生が、
「2位は、同点で2班と4班。」
残念、2位でした。1位は1班でした。みんなで感想を聞いて、班ごとに
「いただきまあす。」
と言って、食べました。ゲストの人やお母さんたちも、
「うん。おいしい、おいしい。」
と言って食べてくれたので、私は「いっしょうけんめいほって、よかったなあ。」と思いました。お母さんたちがふかしてくれたイモは、ほくほくしていて、とてもおいしかったです。しかも、みんなといっしょに食べると、もっとおいしく思えました。私は、3こも食べると、もうおなかがふくれてきました。それなのに男の子たちは両手にイモを持って、ほっぺを大きくふくらませて次から次へと食べていました。
 試食も終わって教室に帰り、先生の話を聞いて、みんなでさようならをした後4班で集まってイモを分けました。小さいのから大きいのまで、ゴロゴロとたくさんありました。2位の私たちがこんなにたくさんあるのだから、1位だった1班はどんなに多かっただろう、と思いました。
 またこんな機会があったら、今度は1位をねらってはり切ってほりたいと思いました。
 
 かくして、楽しいひと時を過ごした子ども達と「『オ』鎌部隊」のみなさんは、尽きぬ名残を惜しみながら、別れていきました。

5.パソ通、−それから

 この手の話は、ふつうこの辺で終わりとなってしまうのですが、実はこれにまだまだ続きがあるのが、パソコン通信の特徴です。
 イモ掘り大会後の週明けには、さっそく参加された方たちから、逆にお礼のメッセージをいただきました。

<資料6>参加者からのお礼のメッセージの一例(10/25)

(ClassR)「うちの学校」を読む 423 of 424 93/10/25 15:19:32 35 line(s)
from
0113 SHO
題名(Title):
HARUTAKEのみなさんへ おイモおいしかったです。
[改行:読む N:次へ L:一覧 E:終了 ?:説明]
:

HARUTAKEのみなさんへ

 土曜日は、イモ掘りが一緒にできてほんとうによかったです。たくさんおイモをありがとうございました。

 みなさんもイモの苗植えから、途中の草取り、イモ掘り、と自分たちの手でがんばってできたことはすばらしいことですね。(パチパチ・・・)
 試食もみんなそろっておいしかったですね。最後まで食べていた(たしか8個くらい)誰だったかな?その後は、だいじょうぶだったですか?

 私たちもイモ掘りだけは一緒にお手伝いができたので喜んでいます。元気で、やさしい気持ちを持ったみなさんと会えてとてもうれしかったです。(ところでうさぎさんはおいしそうに食べてくれましたか?)

 それからおイモをふかしていただいたおかあさんたちにも「ありがとうございました」と伝えてね。

 では、これからもいろんなことにがんばってください。

 また会いましょう!!

P.S 最後に持ってきてくれたL字型に曲がったおイモありがとう!
    それから、たくさんおイモをいただいたので、お昼に職場の人みんなで 食べました。ほかほかでおいしかったです。

                      MARIKO&SHOより 
 さらに、イモの一部を、以前からパソコン通信でメッセージのやりとりをしていた天水町立小天小学校へ送ったところ、すぐにたくさんのお礼のメッセージが届きました。
 

<資料7>小天小へ送ったイモのお礼のメッセージの一例(11/2)

(ClassR)「うちの学校」を読む 436 of 437 93/11/02 16:28:07 10 line(s)
from
0752 OAMASHO
題名(Title):
春竹小4年2組のみなさんへ
[改行:読む N:次へ L:一覧 E:終了 ?:説明]
:

 春竹小学校4年2組のみなさんへ
                        5の2  大保 至

 4年2組のみなさんこんにちは,サツマイモは,どうもありがとうございました。

 たくさんあるので,1組と2組,先生方と食べようと思います。
 ぼく達は,ほかの小学校からこういうものをもらうのは,初めてだったのでとてもうれしかったです。

 おかえしに,この天水町のみかんをおくろうと思います。
 今年は,あまりあまいみかんは,ありませんけど,みなさんや先生方といっしょにおいしく食べて下さい。(わけは,雨が多かったからです。)

                          (終わり) 
小天小の喜んだ様子に、こちらの子ども達もたいへん満足したようでした。

6.「イモづくり」を振り返って

 よく、教育の難しさを語るとき、「教育の効果は、すぐには表れないし、物差しで測れない」と言います。しかし、それをあえてしてみようと思うとき、ここにひとつの参考になりそうなデータがあります。
 本校では、慣例によって5年生の進級時に組替えがあるため、4年生の末(3月)に思い出文集を作ります。我が4年2組でも、各自約2枚半の作文を中心とした文集を作りました。さて、私が「あれこれ書かずに、1年間で1番思い出に残ったことに絞って書きなさい」とやかましく言って(それでも2・3の話題を欲張った子が多かったですが)書かせたその作文の話題に、子ども達は何を選んだのでしょうか。答えは、
      @イモ掘り大会(24人)
      Aパッタマさんとの交流会(18人)
      B音楽会(8人)         
      Cスケート教室(5人)       ※いくつも書いている子
      D強歩会(3人)           がいますから、合計は
      D運動会(3人)           人数をはるかに上回っ
      F教生の先生(2人)         ています。
      Fマラソン大会(2人)
      H水泳大会優勝(1人)
      Hパソコンアート展入賞(1人)
と、約3分の2の子がイモ掘り大会を選んで2位以下を大きく引き離しており、想像以上に子ども達のよき思い出となったことがことが伺えるのではないでしょうか。
 これは、参加した大人達にも同じことが言えるかも知れません。実はその文集を、春休みに、パソコン通信でお世話になった方々へ送りました。イモ掘り大会にも参加されたSHOさんは、受け取った翌日、さっそく次のようなメッセージを書き込まれました。

<資料8>文集を読んだ感想を綴ったメッセージ(3/31)

(FreeR)「おしゃべり広場」を読む 3487 of 3489 94/03/31 11:46:57 41 line(s)
from
0113 SHO
題名(Title):
「はばたけ」の学級文集を読みました
[改行:読む N:次へ L:一覧 E:終了 ?:説明]
:a


 きのう、「はばたけ」というHARUTAKEのみなさんの学級文集をMARIKOさんと一緒に読ませていただきました。なんと、イモ掘りのときの写真も一緒に入っていて、懐かしく思い出されました。
 一人一人の一年間の思い出を読んでいたら、本当にイモ掘りの話題が多くてビックリしました。それにパッタマさんのことも…それから、パソコン通信をやっていろんな人たちと知り合えたことがよかったという内容もあり、HIROAKIさんやMATSUさん、小川さん(MARIKO)、KAORIちゃんの名前もちらほら出てきます。ちょっとした交流が子どもたちの思い出の1ページにこうやって語られるのはとても不思議な感じがします。
 子どもらしい素直な感想がいっぱい詰まっていて、読んでいたら、ついつい、夜更かししそうになりました。
 でも、たしか、KUMIKOちゃんのところで、イモ掘りで私が大きなイモをボキッと…と書いてありました。(あのときはほんとうにごめんなさいね。KUMIKOちゃんと2班のみなさん。張り切り過ぎてしまって…他のみんなにもしっかりわかっちゃいましたね。ホントにそそっかしい…)でも、優しい誰かが、「また
頑張ればいいよ」と逆に励ましのことばまで…言葉がありません。
 でも最後に、こういうことも書いてありました。
 
 来てくれた人にたくさんのおイモをおみやげにあげました。みんな笑顔で「あ
りがとう!」と言ってくれました。私は、とってもうれしかったです。家に帰る
時、みんなに「さようなら!」と5回くらい言いました。
 この日のことは絶対に忘れません。

 とってもうれしかったです。KUMIKOちゃん。

 この文集と写真は、宝物として大切にしますネ。 

 こうした思い出を胸に、子ども達は5年生に進級し、新しいクラスへと散っていきました。ある者はパソコンクラブで引き続いてパソコン通信に親しんでいますし、ある者は私の新しい教室に顔を出しては、「先生、またパソコン通信しよっとだろ」と話しかけてきます。それぞれの立場や思いは違っても、きっとそれぞれの胸の中で、この「パソコン通信 カライモ交流」はいつまでも燦然と輝き続けることでしょう。
 それにしても、いちばん必要なとき(街中の学校でイモづくりをするとき)、いちばん有効な手段(パソコン通信)に出会えた偶然に、私は感謝せずにはいられません。

エピローグ−イモづくり再び

 昨年度に続いて、今年度も4年生担任となった学年主任と私は、他の担任にも諮った上で、今年度も学年でのイモづくりに取り組むことになりました。昨年度やってみてとてもよかったので今年もやろう、とすぐに話がまとまったのです。
 私も、また今年度、イモづくりをきっかけにしたパソコン通信での新たな交流が生まれるのでは、と密かに期待しています。実際、愛媛県長浜町のピコピコ・クラブ(部活動のパソコン版)や阿蘇郡の長陽中からイモ苗提供の申し出を受けるなど、はやくもその兆候が現れており、嬉しい限りです。
 今年もまた、楽しい一年になりそうです。
 

 

 


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