東京モトキチ倶楽部

モトキチ通信D(11月17日号)

東北ツーリングレポート その3。

8月11日(土)高岡→寺泊


 朝10時頃、アキラのアパートの大家さんに見送られながらのそのそと出発。ツーリ ングのくせにこんな時間に出発?なんて思った方、時間調整ですよ時間調整(うそ) 。この日からZZ-Rやビラーゴ1100と走るため、迷惑承知でインナーバッフルをぬいた 。チョッカンではないので族やお子様チョッパーズに比べればはるかにましなほうだ が、やっぱり住宅街では気が引ける。それに自分自身もデカイ音に疲れてしまう。こ れで150km/hぐらいまで引っ張れるけど両刃の剣ですな。長岡までは高速を下りない つもりなので早速給油。ところが早くもアクシデント発生!もんたんのヘッドライト が切れてる。ガススタの前で緊急オペ。どうやらバルブは飛んでないけどヒューズ関 係はヤバ目らしい。配線を束ねていた「ある程度耐熱テープ」はドロドロ。「しっか り耐熱」にしとけばいいものを。直している間、残りの3人はコンビニで朝食。薄情 だとお思いでしょうが、自分の単車は出来るだけ自分でなんとかするのが暗黙の掟な んです。自分が乗るんだから責任があるのは当然ですよね。他の人ができることは「 プレッシャーをかけずに待つ」というくらいでしょうか。もちろんどうしてもって時 は「メカニックあきら」の出番と相成るわけですが。

 なんとか応急処置をすませ、北陸道小杉インターから北上、一路長岡へ。あきら情 報ではこの辺のおまわりさんは冬の間に取り締まれなかった分の金銭的な帳尻を夏で 合わせるとかで、この時季の北陸道は飛ばすのはデンジャラスだそう。ヤマハ2台と カワサキ2台が交互にペースメイクする形で100キロ前後でのんびり走ることにした。 日本海沿いを走るとあって、印象的に「日本海」→「北風荒波」→「寒い」と勝手に 勘違いしていたら、実は強烈に暑い!日本中真夏であることを再確認してしまった。 しかし約1年ぶりの日本海は視覚的に心地好く、つい余所見してしまうぐらい。海水 浴客は短い夏を逃すまいと一生懸命楽しんでいるようだ。荷物のなかに隠し持ってき た水着を思いだし思わずにんまりしてしまったりして。(結局使われずにタンスにし まわれる運命なのだが。)  北陸道は「未完成」の道だ。至る所1車線対面通行の部分があり、そういったところ では我々もペースを乱さざるを得ない。お盆ということもあってかなり交通量が多か ったので、スピードダウンを迫られたが、通常は100キロ以下だと煽られるそうでな かなか恐ろしい話である。一回ZZ-R1100あたりで体験してみたい気もするが。旅はそ んなハードな話とは無関係に順調そのものといった感じで進んでいく。何度目かのペ ースメイクの時、タケちゃんが膝をオッピロゲているのに気付いた。「さてはこの男 、族上がり?」とハゲシク疑いのマナザシを向けつつ更に観察するとトンネルの度に 膝を広げている模様、どうやらこの猛暑でトンネル内はサウナ状態のためZZ-Rのカウ ルから逃げるエンジン熱と相俟って耐えがたい状況に、ついつい足を広げるという策 にでたらしい。アメリカンに乗る自分達に高速道路では羨望の眼差しを受けていたフ ルカウルには、それなりの苦労もあるらしい。

こうなってくると他人の不孝は蜜の味、トンネル毎の膝パカパカを堪能させていただ こうとしたその矢先、名立谷浜SA手前2キロ付近でバックミラー越しにもんたんのビ ラーゴ250が路側にアウトするのが見えた。先行していたタケちゃんと俺はトンネル に入っていたため停車することができず、トンネルの先のSAで待つことにした。あき らが来ないところを見ると、どうやら一緒に止ったらしい。タケちゃんと俺は成す術 がないので後から来る単車に状況を聞いたりしながらヤキモキしていた。聞いた話か ら察するに、もんたんの単車はライト付近(またかい)を2人でばらしているらしい 。ちょっと「もんたんリタイヤ」が頭をよぎっていたが、あきらが一緒なのと、ばら しているということは直る可能性があるからだという考えから、少し安心して芝生で 寝転がったり関越を北上しているであろう亮太とブンキチに連絡を取ったりして暇を 潰した。各地のアイスクリーム関係を食べ比べている「アイス違いの分かる男」タケ ちゃんはここで果敢にもササニシキアイスに挑戦、なんとアイスのなかに米粒が入っ ているというストレートなそれでいて外角に大きく外れた手強さに、売り場のバイト のまえでも気にせず苦い顔、「外側から差し込まれるも辛くも逃げ切り」といった感 じだった。  ちょうどソノコロ、関越組でもブンキチがコンタクトをブッ飛ばすという事件がお こり必死で探していた(どうやって!?)らしい。  一時間程でやっともんたんとあきらがSAに入ってきた。なんでもライト関係のヒュ ーズが飛んで、単車も走行不能になったらしい。そんなことで単車ってとまっちゃう んだねーと脳天気なことをいって汗だくのあきらにギロリと睨まれてしまった。くわ ばらくわばら。しかし心配されたもんたんのマシンもそれからはトラブルなく、不謹 慎にも追い駆けっこなんかしちゃいながら長岡インターまでは高速道路を楽しむよう にハイスピード(といっても130km/hくらいだけど)で抜けた。長岡は思っていたよ りずっと街で待ち合わせの長岡駅前で無事邂逅出来るか心配だったけど、あっさりヤ ツラは見つかった。双方にトラブルがあったおかげで?うまいこと時間もぴったり同 じくらいだったらしい。ま、結果オーライ。

 駅前のイトーヨーカ堂で「アイス違いの分かる男」にして俺を差し置いて今回から 「調理奉行」に就任したタケちゃんの指示のもと、晩飯のホイコウロウの食材を買い 、長葱はナルシストな亮太のエリミネーターに無理矢理括り付けて(当然亮太は酸っ ぱい顔)今晩の野営地寺泊へ。迷ったが結局砂浜にテントを張ることにした。すぐ近 くの公園に水道をみつけたからだ。幸先いい!あとは温泉さえおさえられれば・・・ ところが寺泊温泉は5時までだった。しかたなく斥侯として亮太あきらブンキチが温 泉探しにでかける。その間に残りはホイコーローを作る用意。23歳にして葱の食えな いあきらを考慮して葱抜きと2バージョンを用意。全く世話やかせるんだから。

 温泉は少し離れたところに見つかった。阿弥陀温泉とか云う名前らしい。ちょっと 宗教がかってるという話だが、背に腹は変えられない。こちらも時間制限があって、 8時までに入らなければならないそうなので、あきら、もんたん、ブンキチに先に行 ってもらって残りで飯の支度の残りを素早く済ませ、海辺を散歩したりしながら煙草 を吸っていた。ところが一時間たっても3人が戻らない。もうすぐ8時、このままじゃ あ温泉逃してしまうではないか!いや、ひょっとして宗教がらみだけに洗脳されてん のか?あらぬうわさを飛び交わしながら待っていると、3人がにやにやしながら帰っ てきた。さてはやっぱり!しかもとにかく行ってみろという。間違いない。こいつら ・・・。畜生!俺は男の子だ!強い子なのだ!負けるわけにはいかんのだ!鼻息を荒 くしながら単車で5分くらいのその温泉に向かう。明かに怪しい温泉だった。取敢ず 入ってみる。入浴料500円。これは怪しくない。ただ、どうやらここの主人は阿弥陀 マニアらしく、至る所に阿弥陀グッズが目白押しなのだ。ざっと紹介するだけでも「 阿弥陀皿」「阿弥陀もち」「阿弥陀まんじゅう」等など所セマシとならんでいるでは ないか。いぶかしがりながら奥の浴場へ。なんと、風呂場にも阿弥陀像が。なんでも 身体の悪い人は阿弥陀像の患部に当たる部分をさすり、さらに自分の身体の患部をさ すると効果があるらしい。しかも温泉に自然と金プンが出たとかで効能ともども訳の 分からないグラフで書いてある。一体御利益をどうやってデータにしたのか?こりゃ 、ヤツラもにやにやするわけだ。眩暈がしている横でタケちゃんはしっかり阿弥陀像 をさすっていた。あんたも好きね〜。

 その夜、この温泉の話もおかずにしながら飯を食ったのは云うまでもない。星は押 し潰されそうなほど出ていて、明日も猛暑になることを予感させた。身体は疲れてい たが久しぶりの寝袋とツーリングの緊張と潮騒でなかなか寝付けなかった。そして誰 もが、傾斜を嫌って波打ち際に張ったもんたんのテントが満ち潮に浸かるのを期待し ながら、静かに夜は更けた。





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