市民福祉交流センター 加茂 美人の湯 (加茂市) A  (泉質B、浴室A、設備A、眺めB) 2021/4/1より指定管理者が変わり「加茂七谷温泉 美人の湯」となった。

加茂市大字宮寄上13番地1 TEL:0256-41-4122 営業時間:9:30-21:30 定休日:第2水曜日(祝日のときは翌日)、12月31日、1月1日
泉質:含二酸化炭素-ナトリウム-塩化物強塩温泉、42,8℃、循環
タオル:あり サウナ:あり 露天:あり 石鹸:あり シャンプー:あり 休憩所:あり 食堂:あり
http://city.kamo.niigata.jp/section/kouryu/index.htm

場所:加茂市街から加茂川に沿って粟ヶ岳に向かってひたすら進む。下田・栃尾方面への国道290号線交差点を過ぎてしばらくすると、漸く真新しい建物が見えてくる。ここは加茂市が建設し、2002年11月にオープンした日帰り温泉施設である。加茂駅からの無料シャトルバスが運行されている。
 開業前から濃厚な泉質が災いして、揚湯管にスケール(温泉成分)が付着して詰まり、湯量が減少していた。断続的に管の清掃やポンプ交換などの対策工事を行ったが、一旦湯量が回復しても数週間で毎分数Lに減少してしまうため、浴槽のお湯は成分表とはほど遠いもので、がっかりさせられていた。2005年8月からは源泉使用を完全に中止し、入浴剤による営業を行っていた。そこで、2008年秋から新たな井戸を斜めに掘削し、濃い源泉を水で薄めてから汲み上げる方法をとることとして、2009年5月20日、4年ぶりに源泉の供給が再開された。しかし、その後も源泉トラブルが絶えず、定期的なメンテナンスが欠かせない状況である。

料金:大人800円、小人300円、幼児無料、タオルセット付き。17時以降は、大人600円、小人200円と割引になる。11回分7700円の回数券もある。館内着100円。個室利用3時間2000円、家族浴室使用料1000円。(2012年4月1日料金改定) 
 下駄箱に靴を入れスリッパに履き替えるが、下駄箱内にスリッパがあるのは珍しい。下駄箱の鍵を渡して受付すると番号のついたリストバンドを渡されるが、館内の飲食用であって、脱衣場のロッカーとは無関係である。

浴室:施設自体は大きいが、その割りに浴室はやや狭い。脱衣場も広くはなく、ロッカー周囲は狭い。受付で渡されたリストバンドとは無関係に、空いているロッカーを自由に使うのだが紛らわしい。浴室には、ジャグジー・打たせ湯付きの大浴槽(一部は浅くなっていて寝湯として使える)のほか、泡風呂、ジェット風呂、ドライサウナ、掛け水などがあり、露天風呂もある。全体に狭く、ゆったり感はやや乏しいが、ガラス張りで明るい。粟ヶ岳を正面に臨み、景色は雄大である。洗い場は、仕切付きが10ヶ所、仕切なしが12ヶ所、ボディソープ、シャンプー類あり。水栓は自動止水式でないので使いよい。ほかに単独のシャワーもある。脱衣場の洗面台にはドライヤーがあり、ヘアブラシも用意されているのはありがたい。

泉質:源泉名は加茂・美人の湯。源泉温度42.8℃、湧出量49L/分(動力揚湯)、PH6.9。泉質は含二酸化炭素-ナトリウム-塩化物強塩温泉。主な成分(イオン濃度:mg/kg、平成21年2月23日分析)は、Li 0.7、Na 8521、K 122.4、NH4 34.4、Mg 27.7、Ca 169.9、Sr 8.0、Ba 1.5、Al 0.2、Mn 0.1、Fe(II) 14.9、F 9.8、Cl 11920、Br 42.3、I 6.2、HS 0.0、S2O3 0.3、SO4 273.2、HPO4 0.2、HCO3 4790、メタ珪酸38.3、メタ硼酸37.6、遊離二酸化炭素1012 など、ガス性除く成分総計は26020mg/kgである。当初の泉質は、含硫黄-ナトリウム-塩化物強塩温泉(硫化水素型)であったが、今回の分析では硫黄分が減少し、逆に遊離二酸化炭素量が増加し、硫黄泉の基準を満たさなくなった代わりに、二酸化炭素泉の基準を超えた。基本的な泉質は大きな変化はない。実際の湯は、淡黄緑色透明で、わずかな薬臭があり、塩味・薬味がある。源泉はスケール防止のため、汲み上げ時から加水・希釈されており、浴槽のお湯はかなり薄くなっているものと思われる。それでもトロリとしており、炭酸水素イオンが高濃度のためか、肌のツルスベ感があって、浴感は良い。源泉は加水、加熱、循環・濾過されており、塩素系消毒剤が使用されている。当然ながら、循環された浴槽のお湯では二酸化炭素泉としての味わいは全くない。

コメント:加茂市の公共施設で、設備は充実している。1階に椅子席が多数あるほか、2階に食事・休憩用の巨大な広間もある。安楽椅子の置かれたリフレッシュルームもある。身体障害者も利用できる家族風呂があるのも便利であろう。飲食のメニューも豊富。エレベーターもある。その他、特産品の売店などがあり、リゾートホテルのような豪華でピカピカの館内は気持ちよい。公共の施設としては、県内の日帰り温泉施設の中でもトップクラスであろう。
 濃厚な源泉が災いして、スケールにより開業当初から源泉が十分供給されず、入浴剤による営業をしたりなど、御難続きの施設である。大々的工事で、2009年にようやく源泉供給が再開されたが、その後もトラブルが続いており、その度に入浴剤による営業となるので注意が必要である。このような問題はあるが、それだけ泉質が良いということでもあり、濃厚な源泉は加水・循環されても十分に魅力がある。
 なお、これまではタオル付き700円(夜間割引500円)と、豪華な施設ながらも良心的な料金設定が魅力であったが、定期的に必要な源泉のメンテナンスに多額の費用がかかるため、2012年4月1日から料金が値上げされたのは残念である。

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(No.281 2002/12/23、2009/5/26、2012/4/1改訂、2021/4/1改定)

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