洋楽の夕べ ジョイントリサイタル
  ←前  次→
2021年10月23日(土)14:30 新潟市音楽文化会館
 
藤浪由起子(テューバ)/本間 優(ピアノ)
 酒井格:黒潮の使い 作品114

小林美知子(ピアノ)
 リャードフ:3つの小品より 前奏曲 Op.57-1
 グリンカ=バラキエフ編:ひばり
 ラフマニノフ:幻想小品集より 道化師 Op.3-4
 ラフマニノフ:13の前奏曲より
     第5番ト長調 Op.32-5、第12番嬰ト短調 Op.32-12

笛木和人(テノール)/本間 優(ピアノ)
 レハール:オペレッタ「メリー・ウィドウ」より ダニロ登場の歌
 レハール:オペレッタ「微笑みの国」より 林檎の花冠を
 レハール:オペレッタ「微笑みの国」らり 君は我が心のすべて
 ドニゼッティ:オペラ「愛の妙薬」より なんて綺麗な人だ
 北見志保子 作詞・平井康三郎 作曲:九十九里浜

(休憩15分)

山田 慧(チェロ)/古川美月(ピアノ)
 ベートーヴェン:チェロ・ソナタ第5番 ニ長調 作品102-2

廣澤ひとみ(ソプラノ)/斉藤美和子(ピアノ)
 レオンカヴァッロ:朝の歌
 ベッリーニ:優雅な月よ
 中田喜直 作曲・岸田衿子 作詩:うみほうずきと少年
 武満 徹 作曲・作詩:小さな空
 ベッリーニ:オペラ「カプレーティ家とモンテッキ家」より ああ、幾度か
 グノー:オペラ「ロメオとジュリエット」より 私は夢に生きたい
 

 毎年秋に開催されている新潟の音楽家によるジョイントコンサートです。毎年出演メンバーが代わりますが、多彩な出演者による多彩なプログラムが魅力です。司会者も音楽家が担当し、今回は品田真彦さんです。

 今回のプログラムも、ピアノ、チェロ、テューバ、ソプラノ、テノールと盛りだくさんです。当初出演予定だった新潟の声楽界の重鎮・ソプラノの渡邊倫子さんが出演されなくなったのは残念ですが、チラシの美しい女性陣の写真に魅かれて、早々にチケットを買いました。

 昼のコンサートなのに、どうして「洋楽の夕べ」なのかという疑問はありますが、長い歴史を持っていますので、素直に音楽を楽しませていただきましょう。2017年以来4年ぶりに聴かせていただきます。

 ということで、2週間ぶりのコンサートです。ゆっくりと昼食をとり、寒風が吹き、時折冷たい雨が降るなか、りゅーとぴあに行き、チラシ集めをした後、音楽文化会館へと向かいました。
 開場10分前でしたが、ロビーには数人の客がおられるのみでした。開場待ちの列はまだできておらず、私が先頭になって列ができ、開場とともに私が最初に入場しました。前方6列は使用されず、9列目に席を取りました。

 開演時間となり、司会の品田真彦さんが登場し、挨拶と曲目紹介、演奏者のコメントを紹介して、演奏が始まりました。

 最初は、藤浪由起子さんによるテューバ演奏です。藤浪さんは長野県の出身ですが、新潟で指導者として活動されているようですね。
 新潟で活発に活躍されている実力者・本間優さんの力強いピアノに支えられて、テューバのふくよかで雄大なサウンドに魅了されました。曲名の如く黒潮と、その流れの中を悠々と泳ぐ巨大な海の生物が眼前に思い浮かぶような聴き応えある曲であり、演奏でした。

 続いては、小林美知子さんのピアノ演奏です。初めて聴かせていただきましたが、指導者として、演奏者として20年も活動されているんですね。
 ロシアの作曲家の作品が演奏されましたが、リャードフ、グリンカの美しい調べにうっとりし、ラフマニノフの道化師での激しく劇的なピアノに圧倒され、前奏曲2曲の美しく透き通った響きに魅了されました。

 前半最後はテノールの笛木和人さんで、ピアノ伴奏は再び本間優さんです。まだ若さを感じるテノールですが、伸びやかに情感豊かに歌い、感動を誘いました。最後の九十九里浜での力強い歌声も魅力的でした。現在オペラの研鑽を積まれておられるそうで、今後の活躍が期待されます。

 休憩時間が終わり、品田さんが登場して紹介があり、後半の最初は、チェロの山田慧さんとピアノの古川美月さんによるベートーヴェンのチェロソナタ第5番です。
 山田さんは新潟市ジュニアオーケストラ教室でチェロを始めたとのことで、ジュニアオケファンの私としましては、大きく成長した姿にうれしくなってしまいます。共演の古川さんは新潟との関係はないようですが、山田さんとは大学時代から共演されているそうです。チェロもピアノも素晴らしく、若き二人の情熱が伝わってきました。

 そして最後は、ソプラノの廣澤ひとみさんです。ピアノは演奏者・指導者として新潟の音楽界を牽引している斉藤美和子さんです。
 廣澤さんは以前、今日出演できなかった渡邊倫子さんとのコンサートで歌声を聴かせていただいたことがありましたが、2曲ずつテーマを持って選曲された練られたプログラムです。最後を飾るに相応しい歌声にうっとりと聴き入りました。特に最後の2曲は圧巻であり、ブラボーを叫びたくなるほどでした。最終曲の前に斉藤さんが解説してくれたのも良かったです。

 最後に品田さんに促されて全員がステージに登場して終演となりましたが、まだ未完の伸びしろいっぱいの若き音楽家たちの熱演に胸を熱くし、これからの発展を祈念して音楽文化会館を後にしました。

 
(客席:9-8、¥1500)