SanDo concert Vol.127 弦楽四重奏 〜イタリア音楽の魅力〜
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2021年7月17日(土)15:00 朝日酒造 エントランスホール
アンサンブル オビリー
Vn1:佐々木將公、Vn2:阿部智子、Va:加野晶子、Vc:片野大輔
 

ヴィヴァルディ:四季 より 夏

ボッケリーニ:弦楽四重奏曲 ニ長調 作品2-3

(休憩15分)

ヴェルディ:弦楽四重奏曲 ホ短調

(アンコール)
マスカーニ:カヴァレリア・ルスティカーナ 間奏曲

 新潟は梅雨明け後、暑い日が続いています。つい先日まで雨続きだったのが嘘のようです。暑さはまだこれから。体調管理に注意しましょう。

 暑さだけでもうんざりの毎日というのに、新型コロナウイルス感染はインド株の猛威もあって再拡大を続け、新潟でも感染者数が急増し、再び県独自の警報が発令されました。

 こんな状況下ではありますが、この土日、新潟市内では、恒例の新潟ジャズストリートが開催されており、各会場とも暑さを吹き飛ばすような熱い演奏が繰り広げられていることと思います。

 私も行きたいところではありましたが、今日は新潟を離れ、長岡(越路)遠征することにしました。朝日酒造の本社で毎月第3土曜日に開催されている SanDo concert です。
 今日のプログラムは、「イタリア音楽の魅力」と題して、弦楽四重奏によりイタリアの作曲家の音楽が演奏されます。予定プログラムの中にヴェルディの弦楽四重奏曲があり、これまで聴いたことがありませんでしたので、是非とも聴きたいと思いました。

 いつものように、分水・与板経由で、長岡市街を避けて西側を南下し、快適なドライブで到着しました。お急ぎなら関越道の越路スマートインターからが便利ですが、時間に余裕がありましたら、この道は交通量もなく、高い高速料金を払うより便利です。

 猛暑の中、朝日酒造本社に到着し、玄関前に駐車。開場まで車の中で涼みながら待ち、開場とともに、当日券を買って入場しました。
 2列目右寄りに席を取り、この原稿を書きながら開演を待ちましたが、友人にばったり会って驚きました。新潟から聴きに来る物好きは私くらいかと思いましたが、他にもいたんですね。この友人とは予期せぬいろんな場所で出会うことが多く、驚くばかりです。

 さて、このホールは、朝日酒造本社の事務棟とボトリング工場の間のコンクリート造りの広い空間なのですが、残響が豊かで、コンサート会場としても活用されています。丸い柱が林立し、奥にはステンドグラスがあり、スタインウェイのピアノと小型のオルガンも備えられています。

 中越地区を中心に活躍しているアンサンブル・オビリーの片野大輔さんのプロデュースにより、毎月第3土曜日に開催されているのが SanDo concert です。今回は回を重ねて127回目となります。私も度々聴かせていただいていますが、今年1月の大瀧拓哉さんのリサイタル以来で、ちょうど半年ぶりになります。

 開演時間となり、黒シャツの佐々木さん、赤いドレスの阿部さん、濃紺のドレスの加野さん、白シャツの片野さんが入場して、イタリア音楽の開演です。

 1曲目はヴィヴァルディの四季から「夏」です。おそらくは県内では最高の残響を誇り、天から音が降り注ぎ、音に包み込まれるように感じます。この豊潤な響きは弦楽四重奏には最適であり、美しい音響に酔いしれました。
 演奏は激しく、聴く者の心に、グイグイと突き刺さり、鬼気迫るような演奏に圧倒されました。さすがにプロの音楽家たち。アンサンブルオビリーの皆さんの実力をまざまざと見せつけられました。この曲はヴァイオリン協奏曲として、独奏者と弦楽アンサンブルで聴くのが常ですが、弦楽四重奏で聴くのも味わい深いですね。

 ここで片野さんの挨拶と曲目紹介・解説があり、2曲目はボッケリーニの弦楽四重奏曲です。片野さんの解説にもありましたが、チェロ奏者のボッケリーニの作らしく、チェロの活躍する場面が多いです。3楽章からなる曲ですが、宮廷にいるかのような、優雅で柔らかな音楽に、うっとりと聴き入りました。

 演奏後に、片野さんから後半に演奏するヴェルディの弦楽四重奏曲についての詳しい解説がありましたが、ヴェルディとワーグナーって、同じ年なんだそうですね。興味深いお話で勉強になりました。

 休憩後の後半は、ヴェルディの弦楽四重奏曲です。オペラ作家と知られるヴェルディが、こういう曲を書いていたとは知りませんでした。公演予定していたオペラが出演者の急病により延期され、空いた時間にごく短時間で作曲された曲だそうです。私は知りませんでしたが、弦楽四重奏の中では良く知られた曲なんだそうですね。
 第1楽章は第2ヴァイオリンの柔らかな調べに始まり、各楽器が加わって、メロディアスに、ときに激しく演奏されました。第2楽章は、ゆったりとした音楽を歌わせ、途中激しさもありますが、再びゆったりと曲を〆ました。第3楽章は、一転して軽やかに、早足でリズムを刻み、中間部では美しいメロディで楽しませ、酔わせてくれました。第4楽章は、第1楽章同様に第2ヴァイオリンで始まり、スピード感に溢れたフーガ形式で、各楽器が次々と追いかけました。小休止の後、再び駆け出して加速を続け、興奮のフィナーレへと駆け抜けました。会場からはブラボーの声も上がり、聴き応え十分な熱い演奏に感動し、大きな拍手が贈られました。

 ここで、クールダウンも兼ねて、このコンサート恒例の抽選会が行われました。くじ引きにより、チケットの半券の番号で、朝日山提供の豪華商品が当たるというものです。残念ながら私ははずれでした。

 和やかに抽選会が終わって、アンコールは「カヴァレリア・ルスティカーナ 間奏曲」。美しいアンサンブルで聴衆を酔わせ、心に染み渡るような感動の中にコンサートは終演となりました。

 はるばる遠征した甲斐のある素晴らしい内容のコンサートでした。アンサンブル・オビリーの演奏は何度も聴かせていただいていますが、その魅力と素晴らしさを再認識しました。

 再び同じ道を新潟へと向かいましたが、交通量も少なくて快適なドライブでした。途中通り道にあった寺宝温泉で掛け流しの湯を楽しみ、幸せ気分で新潟へと車を進めました。

 

(客席:2列目右寄り、当日券:\1200)