TOKI 弦楽四重奏団 2020
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2020年9月20日(日) 14:00  新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
ヴァイオリン:平山真紀子、岩谷祐之 ヴィオラ:鈴木康浩 チェロ:上森祥平
 

モーツァルト:弦楽四重奏曲第14番 ト長調 K.387 「春」

タネーエフ:弦楽四重奏曲第9番 イ長調(1883)

(休憩15分)

チャイコフスキー:弦楽四重奏曲第1番 ニ長調 作品11

(アンコール)
チャイコフスキー(平山・編):交響曲第5番より
                 第2楽章 アンダンテカンタービレ

 新潟に縁のある音楽家により結成された TOKI 弦楽四重奏団は、毎年夏に演奏会を開催しています。今年はコロナ禍にあって、どうなるのかと心配しましたが、無事開催されて何よりと思います。昨年に引き続いて、今年も聴かせていただくことにしました。

 今年の演奏会は、昨日は三条で開催され、22日には東京(王子ホール)でも開催の予定です。昨日の三条公演の方が1500円と料金も安く、新しいホールの見学も兼ねて行こうと考えたのですが、SanDoコンサートと重なってしまいましたので、新潟公演に行くことにしました。

 季節は秋へと向かい、猛暑が嘘だったかのように今日も過ごしやすい陽気になりました。早起きして昨日のコンサートの原稿を書き上げてアップし、ネコとしばし戯れた後、家を出ました。

 白山公園駐車場に車をとめ、いつものように上古町の楼欄で冷やし中華大盛りをいただきました。そろそろ食べ納めかなと思いながら、じっくりと味わい、幸せ気分になったところで、りゅーとぴあへと向かいました。
 いつの間にか、入り口と出口が分けられており、右側の入り口から中に入りますと、すぐに体温チェック用のサーモグラフイーがありました。無人であり、誰がチェックしているのかは不明です。
 インフォで某コンサートのチケットを買い、ぶらあぼを読みながら開場待ちの列に並びました。ほどなくして開場となり、再び体温チェックを受け、チケットの半券を自分でもぎり、プログラムを自分で取って入場しました。

 全席自由席でしたが、客席は1階席と2階Cブロックの前4列のみ使用され、前後左右1席おきに座るようになっていました。座れない席には今日の演目のモーツァルト、タネーエフ、チャイコフスキーの肖像画が印刷された紙が貼ってあり、私の隣はタネーエフでした。

 開演時間となり、平山さんを先頭に4人が入場。左から、第1ヴァイオリン岩谷さん、第2ヴァイオリン平山さん、チェロ上森さん、ヴィオラ鈴木さんという並びです。

 1曲目はモーツァルトの弦楽四重奏曲第14番「春」です。まず、ホールの豊潤な響きに驚きました。通いなれたホールではありますが、客席が制限されているためか、いつもに比して響きが豊かで、包み込まれるような残響が心地良く感じられました。
 経験豊富な実力者4人ですので、演奏は手慣れたもので、アンサンブルの狂いもありません。弦楽四重奏を聴く機会が少なく浅学な私は、「春」という曲名からは、単純に爽やかで軽めな印象を感じてしまうのですが、実際の音楽はポタージュスープの如く濃厚であり、聴き応えある演奏に圧倒され、大曲を聴いたかのような疲労感を感じるほどでした。

 ここで平山さんによる挨拶と曲目紹介があり、続いてはタネーエフの弦楽四重奏曲第9番です。平山さんも話されていましたが、名前は聴いたことがあっても、曲を聴く機会はない作曲家です。チャイコフスキーの弟子という事で選曲したそうです。
 初めて聴く曲ですが、叙情的で美しく、理屈なしに曲を楽しめました。特に第2楽章は、チェロとヴィオラのピチカートとともに奏でられるメロディが美しく、心に染みました。各楽章の対比もはっきりしており、まさに交響曲を聴くような印象を受けました。聴き応え十分な音楽に、前半だけでお腹いっぱいになりました。

 休憩の後、岩谷さんのMCがあり、チャイコフスキーの弦楽四重奏曲第1番です。誰もが知る名曲の第2楽章のアンダンテカンタービレは、単独で聴く機会が多いのですが、全4楽章を聴く機会はほとんどありません。
 演奏は前半と同様に濃厚で味わい深く、心に染みるものでした。第2楽章以外も叙情的であり、たっぷりと楽しませていただきました。
 豊潤なホールの響きが音楽を優しく包み込み、刺激的な音は全く感じません。全てがソフトで、極上なサウンドに酔いしれました。曲の良さ、演奏の良さが、ホールの響きで倍化され、芸術の華を咲かせました。

 大きな拍手に応え、アンコールはアンダンテカンタービレがらみで、チャイコフスキーの交響曲第5番第2楽章のアンダンテカンタービレが演奏されました。平山さんの編曲による弦楽四重奏版ですが、オーケストラを聴くような見事な演奏に圧倒されました。美しいメロディに酔いしれ、至福のひと時を楽しみ、感動の中にコンサートは終演となりました。

 内容豊富なコンサートで、終演時間もかなり遅くなりました。帰り際、出口では平山さんのお父様(元新潟県知事)が見送ってくれました。立ち話を漏れ聞きましたが、開催についてはかなり悩まれたようですね。でも、無事に開催できてよかったですね。
 良い音楽をたっぷりと聴いた満足感を胸に、駐車場へと急ぎました。22日の東京公演でも素晴らしい演奏を披露してくれるものと思います。コンサートの成功を陰ながら応援したいと思います。

  

(客席:2階C2-9、全席自由:\3500)