東京佼成ウインドオーケストラ 第147回定期演奏会
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2020年2月15日(土) 14:00 東京芸術劇場 コンサートホール
指揮:トーマス・ザンデルリンク
 


ショスタコーヴィチ(大橋晃一 編):祝典序曲

ショスタコーヴィチ(J.デ・メイ 編):ジャズ組曲 第2番

(休憩20分)

ショスタコーヴィチ(伊藤康英 編):交響曲 第5番「革命」

(アンコール)
ショスタコーヴィチ(大橋晃一編):バレエ組曲「ボルト」より
                    第3曲 「荷馬車引きの踊り」

 

 今週末は仕事で東京出張でした。せっかくの上京ですので、スケジュール調整し、可能な限りコンサートを聴くことにしました。検索しますと、さすがに東京だけあって、いくつか聴きたいコンサートがあったのですが、移動時間、演目、料金等を勘案し、3つのコンサートを選択しました。

 まずは東京佼成ウインドオーケストラの定期演奏会です。トーマス・ザンデルリンクによるオール・ショスタコーヴィチ・プログラムというのが注目されます。ショスタコーヴィチが全幅の信頼を置き、交響曲第13番、第14番のドイツ初演をザンデルリンクに託したのだそうです。その巨匠ザンデルリンクの指揮というのは興味がわきます。

 それはさておき、演目はいずれも私の好きな曲ですし、日本の吹奏楽の最高峰とも言える東京佼成ウインドオーケストラの演奏は生で聴いたことがありませんでしたので、このコンサートを選択しました。
 チケットは最安席のC席、3階席の後方です。S席は7000円という演奏会ですので、1500円で聴けるというのは魅力であり、B席のすぐ隣のC席がありましたのでネット購入しました。

 池袋駅西口から東京芸術劇場へ向かいました。ここへ来るのは2017年1月以来3年振りになります。しばらく来ない間に、西口広場にはいつの間にか野外ステージやカフェができていて、ちょっと狭くるしくなっていました。

 東京芸術劇場に入り、長いエスカレーターで5階のコンサートホールに到着しました。既に開場されており私も入場しました。エントランス階からさらに3階席へと上がり、座席に着きました。席は3階の右端。ステージを遠く見下ろす形ですが、眺めは良好です。この席で1500円なら文句はありません。ステージ上の壁にはこのオケの創立60周年のエンブレムが投影されていました。
 客の入りはほどほどというところでしょうか。安い席はびっしりですが、それ以外は空席がかなり目立ちました。このアンバランスさは、ちょっと異様に感じました。

 時間となり、拍手の中に団員が入場。ステージ最後方にバンダが10人並びました。ビッコロは新潟出身で、キャトルフルートでもお馴染みの丸田さんです。コンサートマスターの田中靖人さんが立ち上がって、指差し指示で各楽器が順に音出ししました。

 ザンデルリンクが登場して、華やかなバンダの演奏と共に祝典序曲で開演しました。この曲は新潟でも何度か聴いていますが、曲名の如く、華やかな祝典気分で盛り上がります。
 さすがに日本最高峰の吹奏楽団だけあって、響きの良いホールを濁りのない、クリアなサウンドで満たしました。客席の数に比してホールの容積は大きく、音が飽和することはありません。

 続いてはジャズ組曲です。お馴染みのワルツをはじめ、チャーミングな曲が6曲演奏され、ほんのりとした気分になりました。

 休憩後は交響曲第5番です。伊藤康英による編曲の素晴らしさ、そして名手揃いのオケの演奏の素晴らしさにより、吹奏楽版とはいえ、オリジナルに負けない迫力と感動をいただきました。吹奏楽臭さは全く感じず、フルオーケストラを聴いているかのような錯覚を感じました。
 順調に演奏が進み、興奮のフィナーレへ突入と思ったのですが、最後の最後で何故かスピードダウンして、感動が若干削がれたのが残念でした。文句を言うほどのものでもないですけれど。それはそれとして、いい演奏でした。
 開演前に、余韻を楽しむため指揮者が手を下ろすまで拍手をしないようにとのアナウンスがありましたが、まだ音が消えぬ間にブラボーの声が響き渡りました。もう1秒がまんしてほしかったかな。数度のカーテンコールの後、アンコールをさらりと演奏して終演となりました。

 プロの吹奏楽団は、国立吹奏楽団とも言える自衛隊の音楽隊を除けば、シエナウインドオーケストラしか私は聴いたことがなく、今日の演奏は新鮮な感動をいただきました。
 シエナとは違った正統的吹奏楽を存分に堪能し、幸せ気分でホールからの長いエスカレーターを下りて行きました。この感動が1500円というのはお得だったと思います。

 

(客席:3階 F-65、C席:\1500)