J.S.バッハ & スペイン J.S.バッハ(ブルーガー編):無伴奏チェロ組曲第5番 イ短調 BWV1011 J.S.バッハ(イェーツ編):無伴奏チェロ組曲第6番 ニ長調 BWV1012
(休憩15分) グラナドス:アンダルーサ トゥリーナ:ファンダンギーリョ アルベニス:グラナダ、入江のざわめき タレルガ:アルハンブラの想い出 マラッツ:スペイン・セレナーデ ビボー:歌と踊り 第1番 (アンコール) ブローウェル:11月のある日 ラウロ:? マイヤーズ:カヴァティーナ
大阪出張2日目。仕事を早めに終えて、このコンサートを聴いてから帰ることにしました。日本を代表するクラシックギタリストである荘村さんのデビュー50周年を記念してのリサイタルです。 「デビュー50周年記念リサイタル」は全国ツアーが組まれ、来年3月1日には新潟でも開催されます。その先駆けとなる大阪では、今日と明日の2日連続で開催されます。今日は「J.S.バッハ&スペイン」、明日は「J.S.バッハ&南米」というテーマでプログラミングされています。私が荘村さんの演奏を聴くのは、 2016年4月以来ですので、3年振りになります。 さて、ホールは出張先からは少し距離があるため、タクシーで行ったのですが、タクシーの運転手がホールを知らず、ザ・シンフォニーホールに連れて行かれそうになりました。私の指摘で間違えに気付き、タクシー代を安くしてくれました。 あいおいニッセイ同和損保フェニックスタワーの中にホールがあります。開場は1階で行われますが、ホールは3階にあります。 正面と左右からステージを取り囲むように客席か配された6角形のホールで2階席もあります。客席数は301席という小さなホールで、リサイタルや室内楽向けに使用されているようです。 洒落た制服のレセさんが、携帯の電源を切るようにというプラカードを持って無言で客席を見回していました。それぞれのホールの流儀は面白いですね。 開演時間となり、髪を後ろに束ねた荘村さんがギターを持って登場。前半はバッハです。無伴奏チェロ組曲をギター用に編曲したもので、なかなか渋い演目です。容積的に小さなホールであり、ギターの音量は十分で、柔らかな響きがギターに良く合っていました。 5番をいぶし銀のごとく演奏した後、挨拶があり、6番を演奏しました。ギターのオリジナル曲のように聴き応えがありました。聴く方も精神集中していましたので、ちょっと疲れました。 後半はスペインの音楽です。荘村さんは、計2回、のべ7年間スペインで暮らし、イエペスの下でギターを学んだそうで、スペインのギター曲は最も得意な演目と言えましょう。 前半のバッハでは楽譜を見ながらの演奏でしたが、後半は楽譜なしです。「アンダルーサ」を情感たっぷりに演奏して観客の心をつかんだところで、スペインで暮らしていたときの話をユーモアたっぷりに話してくれました。 以後の曲目を紹介した後、最後までトークなしで続けて演奏しましたが、しっとりと心に染み入る美しい音色にうっとりしました。さすがに熟練の技ですね。アンコールを3曲、情感豊かに演奏し、静かな感動の中に終演となりました。 50周年を記念するにふさわしい、感動的な演奏でした。アルハンブラでのトレモロなどは、多少の衰えも感じないでもないですが、一音一音に込められた思い、美しい響き。いいですねえ・・。 ギターといえば、4月28日に、鈴木大介さんと大萩康司さんの演奏を聴いて感動したばかりですが、円熟の荘村さんの演奏はやはり違いますね。 聴きに来てよかったという満足感を胸に、伊丹空港へのリムジンバス乗り場まで、猛暑の中に歩いて行きましたが、足取りは軽かったです。
(客席:1階E-16、\4000)