新潟セントラルフィルハーモニー管弦楽団第5回演奏会
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2019年3月17日(日) 15:00 新潟市秋葉区文化会館
 
指揮:磯部省吾
ファゴット:小武内茜、フルート:石丸涼子、オーボエ:渡辺 茜、クラリネット:広瀬寿美
 

オール・モーツァルト・プログラム

 交響曲第29番 イ長調 K.201

 (休憩10分)

 ファゴット協奏曲 変ロ長調 K.191

 フルート協奏曲第1番 ト長調 K.313

 (休憩10分)

 オーボエ協奏曲 ハ長調 K.314

 クラリネット協奏曲 イ長調 K.622

 (アンコール)
 木管楽器のための協奏交響曲 変ホ長調 K.297 第1楽章より
  (新潟セントラルフィル編)

 新潟で活躍するプロの音楽家を中心に2011年に結成された新潟セントラルフィル。メンバー表の名前を見るだけでわくわくしてきます。
 このオケは、当初はバレエ公演のために創設されましたが、2014年からオケとしての演奏会を開始し、これまで、第1回演奏会では佐々木友子さん、第2回演奏会では大谷康子さん(稲庭達さんの予定でしたが急逝されたため、親友の大谷さんが代演)、第3回演奏会では品田真彦さん、第4回演奏会では加藤礼子さんと、新潟の音楽家と共演してきました。昨年3月も大瀧拓哉さんとの演奏会がありましたが、特別演奏会とされて第5回とはなりませんでした。
 今回は第5回演奏会ということで、新潟を代表する木管楽器奏者4人が揃って出演するオール・モーツァルト・プログラムとなりました。なかなか意欲的な内容で期待が高まりました。

 今日は他にも「新潟リングアンサンブル」をはじめ、聴きたいコンサートがあったのですが、豪華メンバーに魅かれて、このコンサートを選びました。

 朝は青空も見えていましたが、天気予報通りに、次第に雲が広がって来ました。でも、気温は10℃を超えて、過ごしやすい日曜日になりました。15時の開演でしたので、ゆっくりと昼食を摂り、秋葉区へと車を走らせました。
 開場30分前に到着しましたが、既に開場待ちの列ができており、私もその列に並びました。開場時間にはかなり列が延びていました。

 開場となり、やや前方の左寄りの、このホールでの私の定席に席を取りました。最終的な客の入りはまずまずというところでしょうか。

 開演時間となり、団員が入場。編成は小型で、弦5部は5-4-3-3-2です。ヴァイオリンが左右に別れる対向配置で、チェロとコントラバスが左、ヴィオラが右です。
 コンミスは加藤礼子さん、その隣は松村牧子さん、第2ヴァイオリンのトップが庄司愛さん、ヴィオラのトップが佐々木友子さん、チェロのトップが渋谷陽子さんなどと、新潟のオールスターが集う豪華メンバーです。

 磯部さんが登場して、最初は交響曲第29番です。予想通りの美しい弦楽アンサンブルに息をのみました。さすがにプロと言いますか、アマオケとは一線を画します。美しい調べにうっとりとしながら聴き入りました。これだけでも聴きに来た甲斐があると思えるほどの演奏でした。

 実はこれは序奏に過ぎず、ここからが今日の本番となりました。短い休憩を置いて、まずは銀色に青い模様のドレスの小武内茜さんを迎えてのファゴット協奏曲です。小武内さんの演奏を聴くのは、6年前のまだ初々しい頃のデュオリサイタルが始まりでしたが、当時からは大きく成長され、滑らかな超絶的な演奏に感激しました。

 続いてはピンク色のドレスの石丸涼子さんとのフルート協奏曲第1番です。石丸さんはこのオケの主宰者であり、県央地区を中心に活発な活動をされておられ、演奏は堂々たるものでした。さすがと唸らせられました。

 再び短い休憩を挟んで、次は黄緑色のドレスの渡辺 茜さんを迎えてオーボエ協奏曲です。超絶的演奏に息を呑むとともに、演奏が進むに連れて音色に輝きが増してくることに驚きました。

 最後はクリーム色のドレスの広瀬寿美さんを迎えてクラリネット協奏曲です。低音から高音まで濁りのないクリアな音で魅了し、天国的美しさの第2楽章で夢見心地。最後を〆るにふさわしい熱演でした。なお、この演奏では協奏曲の演奏を終えた小武内さん、石丸さんもオケに参加されていました。

 大きな拍手に応えて、アンコールは独奏者4人を迎えて、木管楽器のための協奏交響曲が演奏されました。独奏楽器を今回のフルート、オーボエ、クラリネット、ファゴットに合わせて編曲したものでしたが、これもまた聴き応え十分な演奏でした。

 独奏者4人の演奏はいずれも素晴らしいもので、まさに甲乙付けがたいものでした。新潟にこのように優れた音楽家がいることを誇りに思えました。
 もちろんオケも素晴らしく、新潟県では最高水準のオケであることはいうまでもありません。常設オケではないにしろ、定期的に活動する“プロオケ”が新潟にあることは素晴らしいことだと思います。
 編成は小型ですから、演奏のレパートリーには制限がありましょうが、機動力を生かして、更なる極みに向かって突き進んで行ってもらいたいと思います。
 
 交響曲を聴いた後に、協奏曲を4つというのは何とも贅沢であり、ボリューム満点です。演奏も大変だったことと思いますが、聴く方も大変でした。終演は何と17時50分。疲労を感じざるをえませんでした。

 でも、さすがに協奏曲を4つは多すぎかもしれません。いずれも聴き応え十分な熱演でしたから、名演とはいえ、演奏が続いてしまいますと、それぞれの感動が薄れてしまいそうです。最初聴いた交響曲の感動は遠い彼方へ行ってしまいました。

 内容豊富な、ボリューム満点のコンサートに感動と心地良い疲労をいただき、得した気分でホールを後にしました。終演時間が遅くなりましたので、大急ぎで家路に着きました。

 

(客席:7-14、\3000)