ピアノとチェロを聴く 春の音楽会
  ←前  次→
2018年3月25日(日) 14:00  新潟市巻文化会館
 
ピアノ:遠藤吉比古
チェロ:宇野哲之、片野大輔
 

チェロ二重奏 (Vc1:宇野、Vc2:片野)
 J.S.バッハ/グノー:アヴェマリア
 モーツァルト:2本のチェロのためのソナタ
 クンマー:2重奏曲 作品156/5

ピアノ (遠藤)
 J.S.バッハ:フランス組曲第5番
        アルマンド、クーラント、サラバンド、ガヴォット、
        ブーレ、ルーレ、ジーク
 J.S.バッハ:主よ、人の望みの喜びよ

(休憩10分)

三重奏 (Vc1:片野、Vc2:宇野、Pf:遠藤)
 ヘンデル:2本のチェロのためのトリオソナタ 作品2-8
 ヴィヴァルディ:2本のチェロのための協奏曲

(アンコール)
 春の歌メドレー
 エリーゼのために(遠藤)
 汽車
 

 今日は天候に恵まれ、気温も上がって春らしい好天となりました。当初は出かける予定はなかったのですが、日中時間が空き、家に閉じ籠っているのもはばかられましたので、出かけることにしました。

 このコンサートは、巻地区まちづくり協議会主催で毎年開催されており、今回が10回目になります。私も何回か聴かせていただいており、昨年も参加させていただきました。地元の方々向けの催しで、あまり宣伝されていませんが、情報を仕入れていましたので、聴きに行くことにしました。

 暖かな春の陽気の中、車を走らせ、ホールに到着しました。巻市街の路地裏にあり、分かりにくい場所なのですが、カーナビが導いてくれました。

 当日券を買って入場。1000席の大きなホールですが、客の入りとしましては、それなりにというところでしょうか。ステージ上にはスタインウェイが鎮座していました。

 今日の出演は、新潟のチェロ界を牽引する宇野哲之さん、片野大輔さんと、地元西蒲区(旧岩室村)のピアニスト・遠藤吉比古さんです。

 主催者の挨拶の後開演しました。最初は宇野さん、片野さんによるチェロ二重奏です。このお二人は、これまで様々な機会で演奏を聴いておりますので、今さら紹介することもないでしょう。

 挨拶代わりにアヴェマリアが演奏されましたが、バッハの無伴奏組曲のメロディにグノーのアヴェマリアのメロディが乗るという洒落た編曲で楽しませてくれました。
 片野さんの挨拶の後、モーツァルトのソナタとクンマーの二重奏曲が続けて演奏されました。熟練の二人の演奏であり、卓越した演奏技術に支えられたチェロ二本のふくよかな響きにうっとりと聴き入りました。

 続いては遠藤さんのピアノ独奏です。実は遠藤さんには思い入れがあります。実は私が始めてピアノリサイタルを聴いたのが遠藤さんなんです。手元にそのときのチケットの半券とプログラムがたまたま残っているのですが、1978年のことでした。私の学生時代のこと。遠藤さんの地元の岩室に私の叔母がいて、チケットをもらったのでした。あれから40年にもなるんですね。
 次に遠藤さんを聴いたのは、2014年5月のSanDo concertで、そのときも片野さんとの共演でした。そのときからも4年になろうとしています。お互い年を積み重ねているわけですね。

 前置きが長くなってしまいましたが、バッハの「フランス組曲」と「主よ人の望みの喜びよ」が続けて演奏されました。ゆったりと歌うように柔らかい音楽が流れ、白髪が美しい熟練のピアニストならではの落ち着きと風格、奥深さを感じました。熟成されたヴィンテージワインのように、豊潤な味わいが感じられました。

 休憩の後はチェロ二人とピアノの共演です。ヘンデルは緩-急-緩-急の4楽章の構成で、2本のチェロとピアノが絡み合い、せめぎあい、聴き応えある音楽になっていました。
 続くヴィヴァルディは、オケパートをピアノが受け持ち、2本のチェロが情熱的にぶつかり合って、チェロの魅力をたっぷりと味合わせていただきました。なかなか聴く機会のない曲を聴けてよかったです。

 難しい曲が続いたので、アンコールは馴染みやすい曲にしたとのことで、誰もが知る曲を3曲演奏して会場を和ませて終演となりました。

 地元の方の司会による手作り感あふれる運営で、アットホームなコンサートでした。出演者へは花束でなく、紙袋に入ったお土産というのも楽しかったです。
 しかし、演奏されたプログラムは本格的なものであり、聴き応えある演奏だったと思います。こんなに内容の濃い演奏を500円(当日600円)で聴けるというのは素晴らしいですね。また機会がありましたら聴かせていただきたいと思います。
 

(客席:5-15、当日券:¥600)