SanDo concert vol.41 心洗われるシューベルトの世界
←前  次→
2014年5月17日(土) 15:00  朝日酒造 エントランスホール
 
チェロ:片野大輔
ピアノ:遠藤吉比古
 


シューベルト:美しき水車小屋の娘 より
          第6曲:訳をしりたがるもの
          第7曲:焦燥
          第8曲:朝の挨拶

シューベルト:楽興の時 より 第2番、第3番
シューベルト:即興曲 作品90 より 第4曲

(休憩10分)

シューベルト:アルペジョーネとピアノのためのソナタ

(アンコール)
シューベルト:音楽に寄す
シューベルト:アヴェマリア
 
 
 毎月第3土曜日に、長岡市(旧越路町)の朝日酒造エントランスホールで行われているコンサートは、アンサンブル・オビリーがプロデュースし、「第3土曜」ということで、「さんど」コンサートと呼ばれています。今日で41回目という人気シリーズであり、興味深い演目もあって以前より気になっていたのですが、ちょっと遠いので、今回初めて聴きに行きました。

 当初はこのコンサートに行く予定はありませんでしたが、所用を済ませ、小千谷から片貝経由で長岡方面へ向かっているときに、朝日酒造の建物を見て、突然このコンサートがあることを思い出しました。時間を見たら、まさにピッタリの時間。急遽朝日酒造に立ち寄ることにしました。

 清酒「朝日山」や「久保田」で有名な朝日酒造の工場は、近代的な建物で、とても造り酒屋には見えません。事務棟とボトリング工場との間の幅9m、奥行き90mの空間が、エントランスホールとして、コンサートやイベントに使用されています。天井が高く、円柱が並び、神殿を思わせるようなこの空間は、残響が4〜6秒もあり、コンサート会場としても魅力的です。

 当日券を買って入場。奥にグランドピアノが置かれ、その前に客席が設置されていました。開演時には用意された席にはぎっしりの客。人気のほどが伺えます。今日のプログラムは、チェロの片野さんとピアノの遠藤さんの出演で、オールシューベルトです。

 片野さんはアンサンブルオビリーとしての活動のほか、チェリストとして、また指導者として、多彩な活動をされていますので、これまで何度か聴いたことがあります。
 一方遠藤さんは、1978年に1度聴いたことがあり、手元に当時のプログラムとチケットが残っていますが、どんな演奏だったか全く記憶がありません。36年ぶりとは、お互いに年を積み重ねたということですね。

 さて、二人が登場して開演です。二人の掛け合いで詳しい曲目解説を挟みながら演奏が進められましたが、二人のお話は面白く、興味深い内容もあって良かったです。

 前半は最初に「美しき水車小屋の娘」から3曲を、歌の代わりにチェロで演奏されました。残響豊かなホールに響き渡るチェロの音色は色彩感と潤いがあり、癒しを感じさせるようでした。遠藤さんの解説も面白く、この曲が身近に感じられ、今後新たな視点でこの歌曲集を楽しめそうです。
 続いて遠藤さんのピアノソロで3曲演奏されました。落ち着きのある、熟練の演奏とでも言いましょうか、美しい音楽に身を委ねて聴き入っていました。

 後半は、定番の「アルペジョーネソナタ」。遠藤さんのサポートを得て、片野さんの熱気溢れる演奏が生み出されました。なかなかの力演だったと思います。

 アンコールを2曲続けて演奏して終演となりましたが、内容たっぷりなコンサートでした。実力者のお二人ですので、演奏については何も言うことはありませんが、このホールの響きの良さには感激しました。残響の長さは半端じゃなく、体が音に包まれるような、不思議な感覚です。いつもの音楽ホールで聴くサウンドとは異質に感じますが、曲だけでなく、音を楽しむことができて良かったです。

 

(客席:1列目右、当日券:\1200)