今日のコンサートホールでの最後の公演です。客の入りはまずまずとは思いますが、満席に近かった加羽沢さんをピークに、だんだんと空席が目立つようになっています。
この公演は、本来ドートリクールさんとシンフォニア・ヴァルソヴィアの共演のはずだったのですが、左手指の故障ということで、急遽、辻彩奈さんに変更になりました。
午前の能楽堂での公演で、ドートリクールさんは故障などないかのような熱い演奏を聴かせてくれましたが、実際どういう病状なのでしょうか。変更は全く急だったようで、配布されたプログラムも訂正されていませんでした。
辻さんはショッキングピンクのドレスで登場。体格は小柄なジルベールさんに勝り、ステージ映えして華を感じさせました。
辻さんについての予備知識は全くなかったのですが、1997年生まれとのことですので、まだ弱冠20歳の若さで、東京音大の学生さんです。
昨年のモントリオール国際ヴァイオリンコンクールで優勝し、モントリオール響、東京交響楽団、名古屋フィル、セントラル愛知響等と共演しておられ、学生さんでありながら華々しい活躍をされています。なお、使用楽器は1716年製のガルネリ(Joseph
Guarneri Gesu"Serdet")だそうです。
最初は序奏とロンド・カプリチオーソでしたが、技術的に問題はなく、この難曲をさらりと弾いていました。ステージに近い私の席には音量も十分に響き、音に艶も感じました。
この曲は、午前中にドートリクールさんが弾いていましたが、ドートリクールさんの熟練の演奏とは違った明るさと、女性らしいしなやかさを感じました。
チャイコフスキーも抜群のテクニックで堂々と演奏し、第1楽章から熱い演奏を聴かせてくれて、カデンツァでのゆったりした歌わせ方は、若者らしからぬ余裕すら感じさせました。第2楽章は情感豊かに演奏し、燃え上がるような第3楽章へと続き、興奮のフィナーレを迎えました。
急な代役にもかかわらず、20歳とは思えない堂々とした演奏で、2曲を難なく弾ききりました。それぞれ1曲でも大変な難曲のはずですが、2曲を休憩なしに続けて演奏したのは大したものです。
突然の依頼に応えて演奏できるとはすごいことだと思います。いつでも弾けるレベルで準備されていたということですね。
今回までお名前は知りませんでしたが、日本にこんな大器がいるなんて素晴らしいですね。これから大きくブレイクしていく予感がします。
(客席:2階D2-8、¥2000) |