山本貴志ピアノコンサート
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2016年5月22日(日) 15:00  新潟市北区文化会館
 

ショパン:ノクターン 第20番 嬰ハ短調 遺作

ショパン:4つのマズルカ Op.41

ショパン:即興曲第1番 変イ長調 Op.29

ショパン:舟歌 嬰ヘ長調 Op.60

ショパン:ポロネーズ第6番 変イ長調 「英雄」

(休憩15分)

ラフマニノフ:幻想小曲集 Op.3より 第2番 前奏曲 嬰ハ短調 「鐘」

ラフマニノフ:絵画的練習曲集 「音の絵」 Op.33
        第1番 〜第8番

(アンコール)
ショパン:ノクターン 第16番 変ホ長調
  
 
 

  2005年のショパンコンクール以来ファンになった山本さんのコンサートです。ショパンコンクールでの演奏を聴き、嫌っていたショパンの魅力を気づかされました。山本さんのショパンコンクールのライブCDや、ノクターン集、ワルツ集のCDは私の愛聴盤となっております。

 山本さんは、ちょうど5年前の2011年5月に、この北区文化会館でコンサートを開催していますが、残念ながら私は聴くことができませんでした。私にとりましては2010年5月以来、6年ぶりとなります。

 さて、開場時間となっても開場されず、10分以上待たされました。調律に手間取ったためだそうです。私の席は左の前方。ピアノはヤマハです。

 開演のチャイムが新しいものとなっていました。ハープのような音色で、ちょっと洒落た感じで良いですね。まずは、この春に就任した館長の挨拶がありましたが、なかなか意欲に燃えておられるようであり、今後のご活躍を期待したいと思います。

 その後山本さんが登場。前半はショパンが演奏されました。優しく、柔らかく、しっとりと、心に響くノクターンで開演しました。
 その後は出たり、引っ込んだりを繰り返しながら演奏が進められました。1曲毎に入念に鍵盤をハンカチで拭き、丁寧な演奏です。
 緩急の幅が大きく、ダイナミックレンジも大きく、メリハリをつけた演奏です。音に切れがあり、小気味良さを感じます。歌わせどころはゆったりと、しっとりと、心の琴線を刺激します。これが山本ワールドです。デフォルメ感も感じますが、確固たる自分の音楽世界を形成していました。「英雄ポロネーズ」で爆発し、興奮と感動の中に休憩となりました。

 後半のラフマニノフも同様であり、最初の「鐘」で心は鷲掴みされました。絵画的練習曲では曲ごとの色分け、対比が面白く、心に大きな衝撃を与えました。

 カーテンコールの後、山本さんの挨拶とラフマニノフの曲に込められた意味についての解説がありました。特に「音の絵」の第8曲に込められたメッセージは重く感じられ、その意味を考えさせられました。

 暗い気持ちで帰ってもらうのは良くないとのことで、アンコールにショパンのノクターンを柔らかく演奏して終演となりました。

 期待にたがわぬ演奏で、ますます山本さんが好きになりました。私は数多くのピアニストを聴いていますが、山本さんの世界は味わい深く、独自の世界を持っています。これからも陰ながら応援していきたいと思います。
 


(客席:5-8、¥3000)