ハルビン交響楽団公演
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2015年2月28日(土) 14:00  新潟市江南区文化会館 音楽演劇ホール
 
指揮:干学鋒
琵琶:董暁琳、 二胡:李斌
 
1.李煥之:春節序曲

2.J.シュトラウスII:皇帝円舞曲

3.劉錫津:我愛、塞北的雪(愛しい塞北の雪)

4.二胡独奏 演奏:李斌
  閔惠芬、楊立青・編:洪湖随想曲
  黄海懐:賽馬

5.J.シュトラウスII:ハンティング・ポルカ

(休憩10分)

6.フルート、チェロ、ハープ三重奏 演奏:李偉、鍾媛媛、孫影麗
  劉庄:酒狂
  江先謂:姑蘇行

7.弦楽四重奏 演奏:王海楠、馮蕭、封雁、鍾媛媛
  ロシア民謡:長い道を (悲しき天使)
  山本直純:男はつらいよ

8.琵琶協奏曲 演奏:董暁琳
  呉祖強、王燕樵、劉徳海:草原小姐妹

9.ショスタコーヴィチ:ワルツ(「ジャズ組曲第2番」より)

10.劉廷禹:管弦楽組曲≪蘇三≫之四:"重逢"

(アンコール)
曲目不詳(聞きとれず)
久石譲:君をのせて
オッフェンバック:天国と地獄
 
 

 新潟市が「東アジア文化都市2015」に選定されたことを記念して、新潟市の友好都市である中国のハルビン市からハルビン交響楽団を招聘して開催されたコンサートです。「新春日中文化交流フェスティバル」と題されて、26日に新潟市民プラザで開催され、今日は2回目です。

 私が中国のオケを聴くのは、LFJ新潟2013での香港シンフォニエッタを除けば、2002年の厦門市交響楽団の演奏会以来となります。そのときも中国の曲が演奏されて感動した記憶があり、今回も中国のオケで聴く中国の曲を大変楽しみにしていました。

 この公演は、急遽開催が決まったようであり、開催の告知はごく最近でした。市民への広報、宣伝もほとんどなかったように思います。私のように情報網を張り巡らせていないと気付かなかったものと思います。新潟市国際課への申し込み締め切りから開催までわずかしかなく、どうなるものかと心配していましたが、無事入場整理券が届いてほっとしました。

 中国との友好イベントであり、わざわざハルビンからオーケストラを招聘したというのに、会場はキャパの少ない小ホールというのはどうしてなんでしょうね。特に音楽ホールとはいえない市民プラザで開催されたのは信じられません。世界に誇れるりゅーとぴあがあるというのに・・。せめて音楽文化会館にすれば良いのに、などと勝手に思い巡らしました。

 ともあれ私は、スケジュール的に可能な今日の江南区文化会館の公演を申し込みました。私のお気に入りのホールですので、不満はないのですが、どうしてここにしたんでしょうね。どうでも良いですけれど。

 会場はほぼ満席。中国関係の方々も多数来場されていたようです。私は早めに開場の列に並んで、中ほどに席を取りました。

 オケの編成は、弦5部が6-5-4-3-2という小編成です。中国人らしかぬ人も混じっておられました。女性方はスタイルが良く、美しい人が多かったです。特にヴァイオリン2列目の女性は私好みの美女。打楽器のお姉さんもキュートでした。

 若々しい指揮者が登場して開演です。颯爽と登場したのは良かったのですが、指揮台につまずいて転びそうになったのはご愛嬌。ユーモアのある対応で会場を和ませました。

 最初はいかにも「春節」というよな賑やかな曲で始まりました。春を祝うにふさわしい元気あふれる生き生きとした演奏に、会場は一気に盛り上がりました。
 趣を変えて「皇帝円舞曲」を演奏し、再び中国の曲。ゆったりと、しっとりと、心に染みてくる良い曲でした。中国の曲って、日本人の心にも良く合いますね。

 続いて真っ赤なドレスが艶やかな李さんが登場して、二胡とオケとの共演です。二胡はPAが使用されました。オケをバックに二胡の調べは美しく、聴きほれるばかりでした。

 軽快にポルカを演奏して前半が終了しましたが、客を楽しませるツボを抑えた見事な演奏と演出で、興奮の中に休憩を迎えました。

 後半はフルート、ハープ、チェロの三重奏で開演しました。皆さん演奏はすばらしく、音色も美しく、個々の演奏者としての技量が優れていることを知らしめてくれました。

 続いては弦楽四重奏。編曲の良さもあって、きれいなアンサンブルにうっとりと聴き入りました。日本向けのサービスと思われる「男はつらいよ」も良かったです。ヴァイオリンの女性もきれいでした。

 そして次は、私が一番楽しみにしていた琵琶協奏曲です。この曲は若い頃、小澤征爾が録音したLPを愛聴していた懐かしい曲です。もちろん生演奏を聴くのは初めてであり、感慨もひとしおです。
 赤いドレスが鮮やかで、天女の如く美しい薫さんが登場。琵琶はPAが使用されました。琵琶の見事な指さばきに圧倒され、繰り出される音楽に感嘆しました。琵琶とオケの息もつかせぬせめぎ合いに心は踊り、緩徐部での切ない調べに涙し、興奮のフィナーレを迎えました。やはり曲自身もすばらしく、超絶技巧の琵琶演奏とあいまって、期待以上に楽しめました。

 その後は意表をつくようにショスタコーヴィチのワルツを切なく、物憂げに演奏し、この曲の魅力をうまく引き出していました。そして最後は、中国の曲を賑やかに、バシッと決めて、大盛り上がりの中、予定のプログラムは終了しました。

 当然ながらアンコールを演奏。曲名は聞き取れませんでしたが、中国の曲を演奏したあと、サービスにジブリの名曲「君にのせて」を美しい弦楽合奏で演奏し、最後はフレンチカンカンで大爆発しました。客席から自然に手拍子が起こり、団員の歌声もあったりして、興奮の中に終演となりました。

 率直な感想は、「オケのすばらしさに感嘆」です。さすがに中国と認識を新たにしました。小編成ながらもパワーは十分。個々の奏者の演奏技術も優れており、アンサンブルもバッチリでした。

 ハルビン交響楽団は、100年以上前に、ロシア系の人たちにより結成されたアムール鉄道兵旅団管弦楽団がその前身で、幾多の変遷の後現在に至る長い歴史を持ちます。満州国時代に、かの朝比奈隆が指揮していて、終戦とともに解散したハルビン交響楽団と同じかどうか分かりませんが、中国で最も長い歴史を持つオーケストラだそうです。
 さすがに人口1000万人を超える大都市のオーケストラ。中国の経済発展と同様にレベルアップが著しいものと思います。今度はフル編成で、中国曲以外のクラシック曲も聴いてみたくなりました。

 そして、指揮者も良いですね。元気一杯のエネルギッシュな指揮ぶりで、オケを見事に統率していました。挨拶も丁寧であり、好感度抜群でした。

 すばらしい演奏を無料で聴かせていただいて、有意義な時間を過ごすことができました。政治的には日中関係が危うい昨今ではありますが、市民レベルでは友好関係が着々と築かれており、このような文化交流を活発に続けることにより、さらに良い関係になれば良いなあなどと思いながら帰路に着きました。

 ホールを出てから自宅に着くまで20分足らず。やはり、私にとっては市内で一番便利なホールです。
   

 
(客席:9-26、無料:事前申し込み)