シューベルトの歌曲を研究し、演奏する目的で、新潟の音楽家が結成したのが新潟シューベルティアーデです。毎年この時期にコンサートを開いていますが、今回が7回目となります。
私は、第2回から聴かせていただいていますが、歌曲に疎くて、始めはなかなか馴染めなかったのですが、回を重ねるうちに何となく楽しめるようになりました。
毎回テーマを決めてプログラミングされていて、日頃聴く機会のないシューベルトの歌曲の数々を聴くことができるのが魅力です。この公演がなければ一生聴く機会はないと思われる曲ばかりで、そういう意味でも貴重な公演です。歌詞の対訳が配布されるのも良いですね。
今回のテーマは「シューベルトの散歩道」ということで、シューベルトのとある一日を空想して、朝から夜まで、その流れに沿って作品を並べたそうです。
田中さん、佐藤さん、北住さん、中森さんと、2〜3曲ずつ各歌手が交代で歌ってコンサートが進められました。それぞれ長くシューベルトを研究された実力者揃いであり、指導者としても活躍されていますので、落ち着いた歌声でした。ピアノ伴奏も新潟を代表するピアニストの面々ですので、しっかりとサポートしていました。
シューベルトの歌曲とはいえ、有名とはいえぬ曲ばかりで、派手さは全くありません。渋く、しんみりと、時には切々と歌い、心ににジーンと染みてくるという感じでした。華やかな曲で、熱く感動するというのも良いですが、このような静かな曲に身を委ねるというのも、たまには良いですね。
各歌手、各ピアニストとも、それぞれの個性があって興味深く聴けました。テノールの田中さんは、昨年から高橋さんに代わって出演されていますが、歌声、容姿とも高橋さんそっくりに思います。
バリトンの佐藤さんの落ち着いた歌声は相変わらずです。ダンディな歌いぶりは、落ち着きがあり、男の目から見てもかっこいいです。
ソプラノは、昨年は田辺さんでしたが、今年は北住さんです。北住さんといえば、レパートリーが広く、昨年夏には、歌謡曲を歌うのを聴いて感激したのが記憶に新しいところです。リリカルな歌声はいつも新鮮に感じます。
そして、今回一番驚いたのはメゾソプラノの中森さんです。毎回聴くたびに落ち着きと重厚さを増していましたが、今回は一段と円熟味があふれ、歌手としての成長に目を見張りました。初めの頃は一番の若手で、初々しさも感じたのですが、今ではどっしりとした落ち着きがあり、風格すら感じさせました。良い歌声でした。
ピアノの3人はベテランであり、改めて論ずることもないですが、栄長さんの鮮やかなオレンジ色のドレスが目立っていました。
アンコールは、八子さんの伴奏で全員が歌って終演となりました。来年は2月28日(日)にスタジオAで開催するそうです。
毎回チケット完売になる人気公演ですので、もっと大きいホールでも集客できると思いますが、サロン的雰囲気が魅力でもありますので、やはりスタジオAという空間が最適なんだと思います。
(客席:2列目右、¥1500)
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