江南区オータムコンサート
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2013年9月8日(日) 14:00  江南区文化会館 音楽演劇ホール
 
ヴァイオリン:公門俊之、 チェロ:村井 将、 ピアノ:吉川元子
ソプラノ:宮部小牧、 バリトン:薮内俊弥
 
1.ピアノ三重奏
   ハイドン:ピアノ三重奏曲 Hob XV Nr.25

2.ヴァイオリン独奏
   クライスラー:ブニャーニのスタイルによる「テンポ・ディ・メヌエット」
   クライスラー:ブニャーニのスタイルによる「前奏曲とアレグロ」

3.チェロ独奏
   サン=サーンス:白鳥
   ポッパー:妖精の踊り

4.ピアノ三重奏
   ブラームス:ハンガリー舞曲 第4番
   モーツァルト:メヌエット
   ピアソラ:リベルタンゴ

(休憩15分)

5.ピアノ独奏
   ショパン:スケルツォ第2番

6.ヴェルディ特集
   ソプラノ独唱
     歌劇「椿姫」より 「そは彼の人か〜花から花へ・・・」
   ソプラノ・バリトン二重唱
     歌劇「椿姫」より 「天使のように清純な娘よ・・・」
   バリトン独唱
     歌劇「カルメン」より 「闘牛士の歌」

(アンコール)
   レハール:「メリー・ウィドウ」 より
 
 

 「江南区オータムコンサート」といってもどういう趣旨のコンサートか全く分かりません。出演者もよく知りません。どうせ区在住の音楽愛好家の発表会なんだろうと考えていて、今日の昼までは行く予定はありませんでした。
 昼食を食べ、たまったチラシの整理をするために、たまたまこのチラシ裏を見ていたら、出演者はなかなかの経歴の持ち主じゃないですか。全員東京藝大の出身で、多方面で活躍されています。公門さんは、2004年にN響を定年退団された方で、村井さんは現役のN響団員です。もしかしたら良い演奏が聴けるかもと期待され、急遽出かけることにしました。

 このホールは国道49号線亀田バイパス沿いにあり、車で行くには非常に便利です。逆に言えば、車が無いと非常に不便で、交通案内では亀田駅から徒歩50分とあります。
 ということで、1時過ぎに家を出たのですが、開場時間前に着いてしまいました。当日券を購入し、開場待ちの列に並び、ホール中ほど右寄りに席をとりました。
 客席はほぼ満席。クラシックとは縁のなさそうな人たちがほとんどのように見えます。私は亀田出身ですので、知った顔はないかと見回しましたが、幸いといいますか、残念ながらといいますか、いませんでした。その代わり、新潟で演奏活動されている音楽家のお顔が見えました。

 りゅーとぴあと同じチャイムが鳴って、いよいよ開演です。最初はヴァイオリン、チェロ、ピアノの三重奏です。演奏が始まり、あれっという驚きを禁じ得ませんでした。正直言って、ご年配でいらっしゃる公門さんのヴァイオリンが聴きにくかったです。枯れた演奏といいますか、音量乏しく、音がかすれたりしていました。元N響奏者ではいらっしゃいますが、お年を召され、ちょっと厳しい状況なのかもしれません。
 と、違和感を感じながら聴いていたのですが、我が故郷の亀田の聴衆は律儀であり、楽章間にも盛大な拍手を贈っていました。

 その後公門さんのトークがあったのですが、亀田に来られたのはこれで5回目と話されていました。これまでは公民館のようなところでの演奏で、今回は立派なホールで驚いたそうです。

 次はピアノ伴奏でヴァイオリン演奏のはずだったのですが、弦が切れるというアクシデントがありました。湿度が高いと切れやすいと話されていました。ここは百戦錬磨のベテランですから動じることなく、ポケットから替えの弦を出して、ステージ上で、あっという間に張替えてしまいました。

 ヴァイオリン独奏は、やはり枯れた演奏でした。壊れた骨董品とでもいいますか、音楽を楽しむというより、暖かく見守るという感じでしょうか。ゆっくりとした演奏を、ピアノの吉川さんが優しくサポートしていました。2曲目の「前奏曲とアレグロ」は、つい最近水野紗希さんの演奏を聴いたばかりですが、全然違って聴こえました。

 次はチェロの演奏。現役のN響奏者だけあって、そつのない演奏です。感動というほどではないですが、さすがに安心して聴けました。

 前半最後は再び三重奏。やっぱりヴァイオリンが足を引っ張っていたように感じました。ご高齢なのはわかりますが、プロの音楽家の演奏としてはちょっと、と言わざるを得ません。

 休憩後の最初は吉川さんのピアノ独奏です。紺色のドレスを着てスリムで容姿端麗な吉川さんは私好み。演奏も良かったです。ホール自慢のスタインウェイは良く鳴っていました。ホールの響きも豊潤であり、音楽を楽しむに申し分ありません。突き抜けるような高音の輝きがあって良かったです。

 続いては、薮内さんの話があった後、赤いドレス姿が美しいソプラノの宮部さんが登場して、椿姫のアリアが歌われました。声量豊かでリリカルな歌声が、ホールいっぱいに響き渡り、感動のひとときでした。

 続いてバリトンの薮内さんも登場して二重唱です。オペラの場面が思い浮かぶような素晴らしい歌声に、うっとりと聴き入っていました。

 そして最後は、宮部さんの話があった後、薮内さんによるお馴染みのアリアです。宮部さんが、良かったら手拍子をして、ブラボーもどうぞ、というようなことを言われましたが、我が同胞である亀田の人々は真面目ですので、手拍子を忘れません。あの闘牛士のメロディになると全員で手拍子。まるでニューイヤーのラデツキー行進曲のよう。そして最後はぬかりなくブラボー。

 さすが、亀田人は優しい人ばかり。でも、自然にブラボーが出るほどに歌声が素晴らしかったことは間違いありません。初めてのお二人でしたが、声量豊かな歌声は、さすがにプロだなあと感動しました。

 アンコールは、ヴァイオリンとチェロも加わって、メリーウィドウのお馴染みの二重唱とワルツ。楽しくフィナーレを迎えました。

 最後にレセプショニストによる花束贈呈といきたかったですが、さすがに我が亀田にはレセさんなどいません。会場係の普段着のオバちゃんたちが花束贈呈していました。あ〜、やっぱり亀田だぁ〜。

 ということで、前半はプロにしては「?」という印象でしたが、後半は素晴らしく、前半を帳消しにするくらいに楽しめました。終わり良ければすべて良し。まずまずのコンサートだったと思います。

 交通の便が良く、音響的にも素晴らいホール。せっかくの施設をどんどん活用してほしいものです。でも、他公演と重なって行けないのも困りますが・・・。 
 

(客席:10−28、¥2000)