ベン・キム ピアノ・リサイタル
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2013年7月13日(土) 15:00  だいしホール
 
ピアノ:ベン・キム
 

モーツァルト:きらきら星変奏曲 ハ長調 K.265

ショパン:4つの即興曲
       即興曲 第1番 変イ長調
       即興曲 第2番 嬰ヘ長調
       即興曲 第3番 変ト長調
       幻想即興曲 嬰ハ短調 (遺作)

(休憩15分)

ドビュッシー:12のエチュードより
       「半音階のために」
       「装飾音のために」
       「反復する音符のために」
       「対比的な響きのために」
       「組み合わされたアルペッジョのために」
       「和音のために」

ショパン:ポロネーズ 変イ長調 Op.53 「英雄」

(アンコール)
モーツァルト:ピアノソナタ第12番 第3楽章
J.S.バッハ:?
シューマン:ピアノソナタ
 
 

 今週の新潟は雨が降り続き、心も晴れません。今日は大雨警報まで出る始末。被害がないだけありがたいと思うしかありません。

 今日は第四銀行主催の「だいしライフアップコンサート」。毎回外れがないので、今回も楽しみにしていました。今日は昼まで仕事でしたが、早めに切り上げて、大急ぎで「だいしホール」へと向かいました。2時開演だと間に合わないのですが、3時開演でありがたかったです。

 ベン・キムは、ミュンヘン国際音楽コンクールに優勝して注目を集めているピアニストですから、満員御礼かと想像していたのですが、新潟での知名度は低いらしく、若干空席も目立ちました。

 イケメンのキムさんが登場して開演です。各曲ともに、緩急自在、強弱のレンジが広く、ダイナミックな演奏です。早めのテンポでグイグイ飛ばし、小気味良い演奏です。
 外見上は今時の小柄な草食系好青年という感じですが、ホール内が無音になるまで、じっと精神集中し、その後に繰り出される音楽は、繊細さと強靭さを併せ持ち、外見に似合わず豪快です。力強さだけでなく、感性の鋭さが感じられ、聴く者の心に突き刺さってくるようでした。

 ベーゼンドルファーの響きがいつもよりたっぷりと、豊潤に感じましたが、私の気のせいでしょうか。強奏部でも音は濁らず、ホールいっぱいに響き渡ります。時おり稲妻の閃光のように輝き、天に突き抜けるような高音にハッとさせられました。

 どの曲もベン・キムの味付けがなされ、自分の世界を作り上げているように感じました。最後の英雄ポロネーズは大爆発。これでもかというような演奏にノックアウトされました。

 豪快に、スポーツカーで駆け抜けるような演奏は、好みが分かれるかもしれませんが、これだけ気持ち良い演奏を聴ければ何の文句もありません。鬱陶しい梅雨の雨雲を蹴散らしてくれるような演奏に、気分も晴れ晴れとなりました。

 調べてみたら、2009年のチェコ国立ブルノ・フィルの日本ツアーにソリストとして参加し、新潟でもラフマニノフの2番を演奏していたんですね。どんな演奏だったのか、今さらながら興味深く感じました。

 まだ30歳という若さ。今後の活躍に注目したいと思います。
  

(客席:H−7、¥2000)