東京交響楽団第77回新潟定期演奏会
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2013年5月12日(日) 17:00  新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
 
指揮:アレクサンドル・ヴェデルニコフ
ピアノ:アレクサンドル・ロマノフスキー
コンサートマスター:グレブ・ニキティン
 


グリンカ:歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番 ハ短調 作品18

(ソリストアンコール)
スクリャービン:エチュード op.8-12
ショパン:ノクターン第20番「遺作」
ショパン:プレリュード op.28-20

(休憩20分)

ムソルグスキー/ラヴェル編曲:展覧会の絵

(アンコール)
プロコフィエフ:3つのオレンジへの恋 より マーチ
 
 

 東響新潟定期演奏会の新シーズン開幕です。今回は、昨日川崎で公演された「名曲全集」と同じオール・ロシア・プログラムです。ロシア物の王道が並んだ演目。普通なら新味がないと文句を言うところですが、このところモーツァルト漬けでしたから、お馴染みの曲であっても新鮮に感じられます。モーツァルトも良いのですが、いい加減飽きてきたというのが正直な気持ちであり、大編成のオケでのゴージャスなサウンドが懐かしく感じられました。

 今日の演目はポピュラーな演目ばかりですが、ポピュラー過ぎて、逆に「定期」には取り上げにくかったためか、これまでの新潟定期演奏会の歴史を振り返ってみても、3曲とも初めての演奏となります。これは意外ですね。

 昨日の冷たい雨から開放されて、今日は朝起きたら青空が垣間見え、爽やかな日曜日となりました。古町では「古町どんどん」で賑わいをみせ、エコスタでは巨人戦で盛り上がりましたが、私にとっては東響定期が一番のイベントです。

 ホールに入ってびっくり。東響定期としてはなかなかの入りであり、3階のサイド席にもびっしりと入っていました。9割くらいは入っていたのではないでしょうか。やはり、ポピュラーなプログラムが集客に結びついたものと推測します。

 拍手の中団員が入場。最後にニキティンさんが登場して、チューニング。ステージいっぱいの大編成のオケは気持ち良いです。コンマスの隣は田尻さん、後ろは廣岡さんという強力な布陣です。

 最初は「ルスランとリュドミラ」序曲でしたが、颯爽とした演奏で、弦の聴かせどころもバッチリ。本日の名演を予感させるような良い演奏でした。

 続いて、ロマノフスキーとの共演でラフマニノフです。ピアノは若干弱い気がして、オケに埋もれる場面がありましたが、これはオケが賑やかすぎたせいもあるかもしれません。ピアノは洗練された演奏で、オーソドックスに良くまとめてくれたと思います。へそ曲がりな私は、もっと激しく、乱れてほしいと感じましたが、最近ヴァレンチナ・リシッツァのCDにはまっているためかも知れません。
 オケはゴージャスに、良く鳴っていました。ヴェデルニコフの音作りのなせる業でしょう。甘くなりすぎない節度ある演奏で良かったと思います。ソストアンコールはサービス良く3曲。なかなか良い演奏でした。特にスクリャービンが良かったです。

 後半は「展覧会の絵」。多彩な楽器が登場しますので、エキストラの皆さんが何人も載っていたようですが、管の演奏もすばらしく、迫力ある豊潤なサウンドを聴かせてくれました。トランペットやサックスのソロは文句なし。ほかの皆さんも良かったです。弦も厚みがあって良かったです。

 アンコールも良かったです。この指揮者はなかなかの実力の持ち主のようです。モスクワ生まれで、ロシア物はお得意なんだと思います。そういえば、今日のコンマスのニキティンさんもロシアでしたね。
 ホールいっぱいに響き渡るオーケストラサウンドは心地よかったです。LFJに関連して、モーツァルト漬けの日々でしたから、こういう音楽を聴くと新鮮に感じられ、満足感もひとしおです。
 
 客の入りもよく、皆さん音楽を楽しまれたようです。新シーズンの開幕を飾るにふさわしい、楽しいコンサートでした。
 

(客席:2階C5−**、S席:定期会員:¥5500)