ラ・フォル・ジュルネ新潟2012
211 ”0才からのコンサート” ルーディン、ムジカ・ヴィーヴァ
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2012年4月28日(土) 10:00  新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
 
指揮・チェロ:アレクサンドル・ルーディン
管弦楽:ムジカ・ヴィーヴァ
 


チャイコフスキー:バレエ組曲「くるみ割り人形」 Op.71a

チャイコフスキー:ロココ風の主題による変奏曲
 
 
 

 「0才からのコンサート」と題された公演で、会場は赤ちゃん連れで賑わっていました。ホワイエをにずらりと並んだベビーカーは壮観です。若いお母さん・お父さんに乳幼児。観客の平均年齢を計算すればべらぼうに低いことでしょうね。

 実は昨年のLFJ新潟の「0才からのコンサート」も聴いており、とても音楽を聴く環境じゃないことは体験済みであり、今回は聴くのはよそうと思っていました。しかし、今日はせっかく休みが取れたので、フル参加することにし、10時からの朝一番の公演はこれのみでしたので、リスクは承知の上で聴くことにした次第です。

 昨年は奥村愛さんの司会というサプライズがあり、今年も期待しましたが、今回は、「マンガ・アニメのまち
にいがた」をサポートするキャラクターとして活動を始めた、「花野古町(はなのこまち)」と「笹団五郎(ささだんごろう)」の着ぐるみが登場しました。曲目の解説をしましたが、泣き叫ぶ子供ばかりで、聴き取れませんでした。歩きにくそうにしており、中に入っていた人はご苦労様でした。

 演奏は、昨夜に引き続いてムジカ・ヴィーヴァとルーディンさんです。オケの編成は、弦5部が8-8-6-5-3と小ぶりです。ルーディンさんは指揮の他にチェロも演奏しました。チャイコフスキー国際やカサド国際など、数々のコンクールの優勝歴を持ち、チェリストとしても超一流です。

 最初は、「くるみ割り人形」でしたが、さすがにロシアのオケで、手慣れた演奏で楽しませてくれました。鳴き声にかき消される場面もありましたが、きれいなオーケストラサウンドを堪能できました。

 「ロココ風の主題による変奏曲」ではチェロを弾きながらの指揮でした。ピアノやヴァイオリンの弾き振りは見聴きしたことがありますが、チェロの弾き振りは初めてです。泣き声に負けずに音量豊かに響くチェロの音は美しかったです。指揮者としても、チェリストとしてもすばらしいと感じさせました。

 泣き叫ぶ赤ちゃんたち。あやすために客席内をウロウロする親たち。音楽を楽しむ環境じゃなかったのは、予想していたことではありましたが、やはり残念でした。
 こんな劣悪な環境は、演奏する側も大変だったと思いますが、手を抜かずに、きっちりと、情感豊かに演奏してくれたことは賞賛したいと思います。

 この「0才からのコンサート」はLFJ名物となっているものと思います。いやなら聴かなければいいわけであり、文句を言う筋合いでもありません。騒音の中で奏でられる音楽に精神を集中することは、結構疲れるものであり、いらだつ心を平静に保つことは、修行にもなります。
 でも、泣き叫ぶ0才児に、音楽を無理に聴かせることが、子どものためになるのかなあという疑問はぬぐえません。無理に聴かされて、トラウマにならなければ良いのですが・・。
 
 
(客席:2階B6-9、¥1500)