佐渡 裕 指揮 ベルリン・ドイツ交響楽団
  ←前  次→
2011年10月28日(金) 19:00  新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
 
指揮:佐渡 裕
ピアノ:エフゲニ・ボジャノフ
 

ベートーヴェン:「レオノーレ」序曲 第3番 Op.72b

モーツァルト:ピアノ協奏曲第23番 イ長調 K.488

  (アンコール) リスト:ソネット

(休憩20分)

チャイコフスキー:交響曲第5番 ホ短調 Op.64

(アンコール)
チャイコフスキー:弦楽セレナーデ 第3楽章 エレジー
 
 

 平日のコンサートはなかなか大変です。仕事を早めに切り上げて、車を飛ばし、駐車場から駆け足して、息を切らせながら大急ぎで駆けつけましたが、開演ぎりぎりでした。ホールに入って、満員の客席にビックリしました。久しぶりに見る満員御礼の客席はワクワクしますね。

 テレビでお馴染みの人気指揮者の佐渡さん登場とあって、チケットも良く売れたようです。3月のBBCフィルとの公演が中止になったので、新潟の聴衆は待ち焦がれていたものと思います。個人的には、ショパンコンクール4位のボジャノフにも興味があり、楽しみにしていました。
 佐渡さんはシエナ・ウインド・オーケストラと何度か新潟に来演していますが、最後は2009年3月です。また、オーケストラとの来演は、2000年7月に読売日本交響楽団と来て以来じゃないでしょうか。随分と久しぶりになります。

 チケットは即完売と思い、主催者の先行販売に申し込み、割り当てられたのは1階の4列目。高額なSS席はあきらめてS席にしたのですが、ちょっと近すぎです。りゅーとぴあ会員割引で買えば1割引だったことに気付いたのは申し込んだ後でした。ちょっと後悔しましたが、あせると良いことがありません。

 さて、拍手の中楽員が入場。遅れてコンマスが登場してチューニング。佐渡さんが颯爽と出てきて「レオノーレ3番」で開演です。弦も管も美しく、まずは、オケの音色に感動しました。佐渡さんの指揮に応えて、熱のこもった演奏を聴かせてくれました。奇をてらわないオーソドックスな演奏と思うのですが、盛り上げてくれました。

 続いてはボジャノフが登場して、モーツァルトの協奏曲です。はじめはベートーベンの延長線上みたいな感じで、力強さがありますが、重い印象を受けました。もっと軽やかでもいいんじゃないかと思いましたが、次第に乗ってきたようで、第3楽章なんかははねるようで良かったです。
 もっと良かったのはボジャノフがアンコールで弾いたリストです。きらめくような音色で、素晴らしい演奏でした。さすがにショパンコンクール4位だけはあります。単独のリサイタルを是非聴きたいと思いましたが、何と来年6月7日にりゅーとぴあでリサイタルが開催されるそうです。でも、平日なんですよね・・・。それも木曜日。私はもう行けないことが確定。残念です。

 休憩後の後半はチャイコフスキーの5番です。今度はコンマスが中国系(?)の人に交代しました。いかにも佐渡さんというべき、燃え上がるような演奏でした。オケも完璧。第2楽章のホルンソロにはうっとり。終楽章の高揚感は最高。当然ブラボーの嵐にスタンディング・オベーション。文句なく楽しめた演奏でした。
 この文章はムラヴィンスキーのCDを聴きながら書いていますが、比較すると佐渡さんは随分まともな演奏に感じますが、盛り上げ方はさすがと思います。聴衆を興奮させるつぼを押さえているようです。オケを見事にドライブしていました。煽ってもオケが乱れないのは一流の証でしょうか。佐渡さんとベルリン・ドイツ響との関係のよさが感じ取られるように思います。

 アンコールのエレジーは、大興奮の後のデザートのようで爽やかでした。言いようのない弦楽アンサンブルの美しさに酔いしれました。最後の音が消えるところまで拍手を我慢してくれて、フライングが起きなかったことに感謝です。

 夕食を食べていないので、お腹は空腹ですが、心は満腹のコンサートでした。座席が前過ぎて、弦楽器奏者しか見えませんでしたが、佐渡さんの息遣いが聞こえてきて、臨場感バッチリ。結果として良い席でした。

 今日は今回の日本ツアーのBプロだったのですが、明日は長岡でAプロが演奏されます。どんな演奏をしてくれるでしょうか。これも楽しみです。
 

(客席:1階4-17、S席:16000)