名古屋フィルハーモニー交響楽団第380回定期演奏会
  ←前  次→
2011年5月20日(金) 18:45  愛知県芸術劇場 コンサートホール
 
指揮:マックス・ポンマー
コンサートマスター:後藤龍伸
 

 
ワーグナー:歌劇「ローエングリン」より 第3幕前奏曲、第1幕前奏曲

シェーンベルグ:浄められた夜 作品4 (弦楽合奏版)

(休憩15分)

シューマン:交響曲第2番 ハ長調 作品61
 
 

 今週は名古屋への出張がありました。調べましたら運良く名古屋フィルの定期演奏会がありましたので、せっかくなので聴いてきました。会場は愛知県芸術劇場コンサートホール。このホールにも興味がありました。

 ホテルにチェックインし、近くなので歩いてホールに向かいました。テレビ塔のある公園をブラブラ。オアシス21という近代的な施設と一体化して愛知県芸術劇場がありますが、その大きさ、豪華さに驚きました。名古屋の経済力はすごいなあ、と田舎者はため息をつくのみです。

 大ホールでは別の公演があり、ロビーはたくさんの若者で賑わっていましたが、それを横目に、コンサートホールへのエスカレーターを上りました。
 ホワイエではフルートとオーボエのロビーコンサートをやっていました。震災のチャリティーということで、募金を募っていました。なかなか良い演奏でしばし聴き入りました。

 さて、ホールの客席は3階まであり、客席に行くまでエスカレーターや階段があって、ちょっと不便です。奥行きが少ないのに天井は高く、立方体に近い印象です。客席数に比して、容積は大きいように思います。天井は幕を張ったような構造ですが、幕に見えても実際は硬い構造物です。ホール内は明るい色調で重厚さには欠けます。座席の座面がレザー張りというのは珍しく、席によって背もたれの高さが違うというのも面白いです。
 なかなか個性的なホールですが、通路が広いのは良いものの、客席へ行くまでに階段が多いこと、ビュッフェを利用するにはホール外に出て、1階まで降りなければならないことなどは不便です。
 私の席は3階。ステージを見下ろす形になりますが、ステージまでの距離は近く感じます。客席は空席が多く、1階や2階正面は埋まっていましたが、2階のサイド席や3階はガラガラでした。その分ゆったり聴けてよかったですが。

 拍手の中楽員が入場。しかし、新潟とは違って、半分ほど入場したところで拍手は途絶えてしまいました。新潟式に慣れていると寂しく感じます。ステージのひな壇は、りゅーとぴあやサントリーとは違って円弧状ではなく、長方形のひな壇に管が載っていました。

 今シーズンの名フィル定期は「愛と死」シリーズとのことで、今日のプログラムは「知ることと愛すること」という副題が付けられていました。ポンマーさんが登場して演奏開始です。ポンマーさんは名古屋ではお馴染みのようですが、私は初めてです。

 最初はワーグナーの「ローエングリン」。弦の音が繊細できれいであり、金管も抑えた演奏で良かったです。日頃東京交響楽団ばかり聴いていますが、名フィルもなかなかと感心しました。ただし、これはホールのせいと思いますが、オーケストラの厚みに欠け、薄味に感じました。

 続いては弦楽だけでシェーンベルク。弦楽のアンサンブルは美しかったですが、低音が響かず、やはり厚みが感じられませんでした。

 後半はシューマン。最初の大事な場面で金管が乱れたのが残念でしたが、少しずつ調子を取り戻したようでした。やっぱり響きは散漫で、サウンドが薄味に感じました。こういう演奏が指揮者の意図したところなのかもしれませんが、盛り上がりに欠けた平板な印象を感じました。曲自身も面白みに欠けると思います。

 総じて、欲求不満を感じましたが、演奏が悪いということではなく、盛り上がらない曲を並べたプログロムの問題も大きいと思いますし、ホールの響きの問題もあります。クリアで、解像度の高い、透明感のある響きということもできますが、厚みのある、芳醇なサウンドではありません。りゅーとぴあの響きに慣れてしまっているので、違和感を感じたのかもしれません。これは私の個人的好みに過ぎませんけれど。

 名フィルの演奏そのものは良かったと思います。特にワーグナーでの消え入るような弦の美しさは息を呑むほどのもので、新鮮な感動を感じました。日本にはたくさんのオケがありますが、その一部しか聴く機会がありません。これからも機会を見つけては、たくさんのオケを聴いていきたいと思います。できればそのオケの本拠地で聴けたら最高です。

 外に出ると、さすがに都会。たくさんの人で賑わっていました。テレビ塔下のビヤガーデンも大賑わい。ビールの誘惑に誘われ、ホテルに戻った後、近くの居酒屋で手羽先をかじりながら生ビールをたっぷりいただきました。
 

(客席:3階6−50、B席:4000円)