仲道郁代 ピアノリサイタル

 

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2009年10月7日(水) 19:00  新発田市民文化会館大ホール

 

 

ショパン:幻想即興曲 嬰ハ短調 op.66

ショパン:ワルツ第6番 変ニ長調 「小犬」 op.64-1

ショパン:ワルツ第7番 嬰ハ短調 op.64-2

ショパン:ポロネーズ第6番 変イ長調 「英雄」 op.53

ショパン:24の前奏曲より 第15番 変ニ長調 「雨だれ」 op.28

ショパン:アンダンテスピアナートと華麗なる大ポロネーズ 変ホ長調 op.22

(休憩15分)

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第8番 ハ短調 「悲愴」 作品13

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第23番 ヘ短調 「熱情」 作品57

(アンコール)

ショパン:練習曲第12番 ハ短調 「革命」 op.10-12
ショパン:ノクターン第20番 嬰ハ短調 「遺作」 
エルガー:「愛の挨拶」
 

 仲道さんの演奏は11年前のガラコンサートで聴いたことがありましたが、単独のリサイタルを聴いたことがなく、聴きたいと思いながら月日のみ過ぎ去ってしまいました。新潟県内では長岡で毎年コンサートを開催しているのに、新潟市では聴く機会がありませんでした。今回新潟市からほど近い新発田市でコンサートがあることを知り、スケジュールを確かめぬまま早々にチケットを買ってしまいました。こんなときに限って仕事が忙しいのですが、何とか聴きに行くことができて、チケットを無駄にしないで済みました。

 会場の新発田市民文化会館は、昨年の中村紘子さんのリサイタル以来です。そのときの感想でも書きましたが、扇形の複雑なホールで、響きはきれいです。入場するとピアノの調律をしていました。ピアノはかなり古ぼけたスタインウェイでした。

 白いドレスの仲道さんが登場して開演です。トークを交えながらの演奏が進められました。新発田市での公演は19年振りと話されていました。
 優しい語り口が人柄をしのばせ、スリムな容姿ともどもうっとりさせました。もちろん演奏のすばらしさは言うまでもありません。緩急自在、ダイナミックレンジは広く、繊細さと豪快さを併せ持つ演奏に引き込まれました。華奢な体からは想像できない力強い演奏、ほとばしる情熱に息をのみました。「英雄ポロネーズ」ではイヤリングを飛ばすほどの熱演でしたが、音符も飛ばして、ちょっと荒っぽすぎたかもしれません。
 情感たっぷりの演奏、パワー溢れる演奏の対比が素晴らしく、歌いながら(つぶやきながら)演奏するお姿も美しかったです。自由自在に、思いのまま弾くショパンは生演奏ならではの喜びを与えてくれました。

 休憩時間もピアノの調律が行われていました。もしかしたらピアノのコンディションが良くなかったのかもしれません。後半はベートーヴェンの「悲愴」と「熱情」が演奏されました。仲道さんは濃いベージュ色で胸に金色のラメが輝くドレスで登場してハッとさせました。曲に合わせての衣替えのようです。
 前半の自由自在のショパンと違って、ベートーヴェンらしい重厚さ、緻密さが加わって、胸に迫りました。早めのテンポで情熱がほとばしる演奏は精神を高揚させ、心にダイレクトに響いてきました。これほどのベートーヴェンはめったに聴けるものではなく、唖然としてしまうほどでした。

 アンコールは再びショパンが演奏されました。台風接近中ということで嵐のような「革命」が演奏され、その後にしっとりとノクターンの「遺作」が演奏されました。この辺の演出は憎いですね。そして最後に必ず演奏するというエルガーの「愛の挨拶」を演奏して終演となりました。

 演奏はもちろんですが、わかりやすい解説、優しい話しぶりも好感度満点。ヴィジュアル的にも一流であり、すばらしいコンサートでした。これで2000円というのもうれしかったです。また来ないかなあ・・・。

(客席:B13−39、2000円)