りゅーとぴあ・カルテットシリーズ No.16
パシフィカ・カルテット
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2008年6月11日(水) 19:00  新潟市音楽文化会館
 
 
 
メンデルスゾーン:弦楽四重奏曲第2番イ短調 Op.13

リゲティ:弦楽四重奏曲第1番「夜の変容」

(休憩15分)

ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第7番ヘ長調 Op.59-1 「ラズモフスキー第1番」

(アンコール) 
ピアソラ:Four For Tango
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第13番変ロ長調 Op.130 より 第5楽章:カヴァティーナ

 
 

 梅雨入り前の新潟、過ごしやすい日々が続いています。今日は久しぶりのコンサートです。雑務片付かず、開演ぎりぎりにホールに駆け込みました。今回の席は5列目の中央。空席が目立つホールの中にあって、私の周辺は何故か混み合っています。私は弦楽四重奏を聴く機会は少なく、パシフィカ・カルテットという名も知りませんでした。新潟ではピアノのコンサートは度々ありますが、弦楽四重奏のコンサートはたまにしかありませんので、とにかく聴いてみようということで、早々にチケットを買い、良さそうな席を確保していました。ただ、ほかはガラガラなのに、私の周囲だけ空席もなくぎっしりなので、窮屈に感じました。サイドでゆっくり聴きたい気もしましたが、開演ぎりぎりに着席したので移動もできませんでした。

 開演前にステージ脇で音出しをしているのが聞こえてきましたが、なかなかいい音色でした。時間になり、黒い衣装の4人が登場しました。いずれも若そうで、第1ヴァイオリンだけ女性でした。右端の長身のヴィオラは日系人だそうです。
 1曲目はメンデルスゾーン。静かな曲調もあってか、柔らかな演奏に感じました。アンサンブルも良く、各奏者の力量も優れているように感じました。刺激のない優しい演奏は仕事疲れの疲労回復には良かったと思います。ただし、私の席が前すぎて、間接音がなく、音がダイレクトに伝わってくるためか、音色に厚みがなく、輝きや艶が感じられないで、乾いた音のように感じました。また、チェロ奏者の椅子が動くたびにきしんで、ギーギーうるさかったのが気になりました。
 2曲目はリゲティです。この曲はこのカルテットの音色に合っているように思われ、迫力あるメリハリの効いた演奏でした。1曲目では遠慮しがちの演奏に感じられましたが、今度は水を得た魚のように、生き生きとしていました。見事なアンサンブルに驚嘆し、ハードロックのようなリズムが心に響きました。意識レベルが低下しつつあった私の脳に活が入れられ、見事に覚醒させられ、曲に引き込まれてしまいました。全8楽章が切れ目なく演奏されたので、どこで終わるのかわかりませんでしたが、静かに余韻を味わって終わりました。激しさと静かさが交錯するこの曲は、曲が理解できなくても音を楽しむことができ、現代曲ながらも、私のような素人でも聴きやすかったと思います。こういう曲は日頃聴く機会がありませんが、たまにはいいですね。

 後半はベートーヴェンです。これもリゲティのときと同じように、気合いが入って、気持ちよく演奏していたように思いました。弦楽四重奏に疎い私は、ベートーヴェンがこんな前衛的な曲を書いていたなんて知りませんでした。リゲティの後に聴いても曲調が似ているように感じられ、違和感がありません。なかなかの大曲で、聴き疲れも感じました。休憩時間に椅子を変えたようで、きしみ音が聞こえなかったので、曲に集中できました。

 アンコールのアナウンスは日系のヴィオラ奏者が担当。日本語が結構できそうです。最初のピアソラは超絶的なテクニックで、多彩な音色を紡ぎ出し、ただ驚くばかり。やはりすごいカルテットなんだなあと実感しました。2曲目はベートーヴェン。曲自身が静かなので、攻撃的なピアソラの後のデザートには最適だったと思います。緊張感をゆるめてくれました。

 終演後サービス良くサイン会が開かれましたが、家路を急ぎました。最初のメンデルスゾーンではいい演奏ながらも退屈感がありましたが、リゲティの演奏で目が覚まされました。アンコールも素晴らしく、充実したコンサートだったと思います。

(客席:5−17、S席会員割引、3150円)