チェコ国立ブルノ・フィルハーモニー管弦楽団
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2007年11月7日(水)19:00 新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
 
指揮:ペトル・アルトリヒテル
ピアノ:スタニスラフ・ジェヴィツキ
 
スメタナ:交響詩「モルダウ」

チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番変ロ短調 Op.23

(ソリストアンコール)
ショパン:ノクターン第20番

(休憩15分)

ドヴォルザーク:交響曲第9番ホ短調 Op.95「新世界より」 

(アンコール)
ドヴォルザーク:スラブ舞曲 第15番

 
 

 仕事を早めに切り上げて車で向かったら大渋滞。駐車場は満車。どうにか市役所の駐車場に車を止め、りゅーとぴあに向かいました。着くとロビーで木管アンサンブルの演奏が行われており、きれいな音色が聞こえてきました。急いで入場したらちょうど終わるところ。うーん、残念でした。そうと分かればもっと急いで来たのにねえ。この手の外来のオケでロビーコンサートをやるなんて、珍しいですね。

 ホールに入るとかなりの盛況ですが、なかなか開演しません。駐車場の混雑で遅れる人が多く、開演が10分間遅れるとのアナウンスがありました。実は今日はりゅーとぴあ・劇場では織田裕二のコンサート、隣の県民会館では五輪真弓のコンサートがあって、大混雑だったようです。客席はごくわずかに空席があるだけで、満席といっても良いでしょう。

 チェコといえばこれまでに、チェコ・フィルプラハ放送交響楽団プラハ交響楽団を聴いたことがありますが、ブルノ・フィルは初めてです。ブルノという町は良く知らなかったのですが、プラハに次ぐチェコ第2の都市だそうです。チェコというと東欧の遠くの国という印象を持ってしまうのですが、ブルノはウィーンの北にあり100kmしか離れていないそうです。ヨーロッパの地理を勉強し直さねば・・。
 ということで、どんなオケかは興味があったのですが、いかにもというような曲目には魅力を感じませんでした。興行的には超有名曲を並べて観客動員を図りたいということなのでしょうね。初めて聴く方々には魅力的なコンサートと思いますが、何年もコンサート通いをしている者にはつらい曲目です。ならば行かなければいいのでしょうけど、今年の新潟は外来オケがさっぱり来なくて寂しいので、チケットを買ってしまったのでした。東京なら選り取り見取りなのでしょうけど、政令市とは言っても新潟のような田舎町では選択の余地がありません。

 さて、拍手の中楽員が入場し、いよいよ開演です。オケの編成は中規模で、ステージ中央に固まるように並んでいます。コンマスは女性です。
 1曲目は「モルダウ」。まあ、手慣れた演奏のようで、流麗に演奏が進みました。後半の盛り上がりで大きな音(破裂音のように感じましたが何? →その後の情報では車椅子のタイヤが破裂したとのこと)がしてテロでも起こったかとびっくりしましたが、事件じゃなかったようで安心しました。演奏はそれなりに楽しめるものだったと思います。指揮者のアルトリヒテルは身振りが大きく、大熱演でした。
 次はチャイコフスキーのピアノ・コンチェルト。長髪で眼鏡をかけたジェヴィツキはチラシの写真とは違ってオタクっぽい様相で、ちょっと気持ち悪く感じました。演奏は出だしのホルンからして迫力がなく、しまりのない演奏に感じました。ピアノ演奏も雑で、上手なのか下手なのか分からないような演奏でした。一流とは言い難いように感じました。第1楽章が終わったところで盛大な拍手が起こり、びっくりしてしまいました。私の周囲の人たちも一生懸命拍手していて拍手しない私は少数派でした。さすがに第2楽章と第3楽章の間では拍手が起きませんでしたが、冷や冷やして聴いていました。あまり感激もしませんでしたが、カーテンコールに応えて、ショパンのノクターンが演奏されました。このピアニストはこういう小品の方が似合っているように感じました。

 休憩ののち、後半は「新世界」。これはまあまあ聴かせてくれたと思います。ただし、一番有名な、第2楽章のイングリッシュホルンの調べが力無く、弱々しかったのが残念でした。本場チェコのオケによる演奏ということで新味に期待したのですが、予想通りといいますか、ごく普通のオーソドックスな演奏に感じました。アンコールにスラブ舞曲が演奏されて終演となりました。

 クラシック入門者向けの曲目からしても予想できたことでしたが、聴衆の多くはクラシックコンサートにはあまりなじみがないようでした。演奏中に席を立ったり、音を出したり、フラッシュで写真撮影を何度もする人がいたり、マナー的にはちょっと問題かとも思いました。主催者である地元新聞社のカメラマンも見苦しく感じました。
 まあ、いろいろありましたが、これだけたくさんの人がクラシックコンサートに来てくれたのはすばらしいことだと思います。私も中学生の頃はチャイコフスキーのコンチェルトは第1楽章だけかと思っていましたから、楽章間で拍手する人に目くじらを立てることはできません。コンサートマナーはコンサート通いをするうちに身に付くと思います。東響定期を敷居が高いと思われる方はこのような名曲コンサートを是非楽しんで欲しいと思います。芸術性がどうのと気むずかしく考えるのではなく、娯楽として音楽を楽しみ、コンサートにどんどん足を運んで欲しいと思います。やっぱり満席のホールは気持ちいいですから。

 さて、ブルノ・フィルは1ヶ月間で24公演という過密スケジュールです。ツアーの半ばの新潟公演は疲労も蓄積していたのかも知れません。本来の実力はもっとあるに違いありません。無事に日本公演を終えられますよう祈っています。

 さてさて、新年早々にプラハ交響楽団が再び新潟に来演しますが、曲目が本日と全く同じ。主催者の心遣いのなさを嘆かわしく思います。どっちの予定が先に決まったのかは知りませんが、今日のコンサートを聴いた人は来なくていいということでしょうか。新潟のクラシック人口はそんなに多くないはずなのにねえ。曲目変更してくれるんならチケット買うんですけどね・・・。
 

(客席:3階 I 2-12、A席:7000円)