洋楽の夕べシリーズ 5人のアーティストによるジョイントリサイタル
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2007年10月14日(日)14:30 新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
 
 
五十嵐尚子(ソプラノ)
  & Ensemble MOOI(Fl:広川伸、Vn:小池吾郎、Pf:村田千晶)

 J.シュトラウス:美しき青きドナウ (Ensemble MOOI)
 木下牧子:「六つの浪漫」より 風をみたひと (ソプラノ、Pf)
 木下牧子:「愛する歌」より ユレル (ソプラノ、Ensemble MOOI)
 多 忠亮:宵待草 (Ensemble MOOI)
 林 学:合唱組曲「母さんの樹」より 私は交換手 (ソプラノ、Pf、Fl)
 ヴェルディ:オペラ「椿姫」より ああそは彼の人か〜花から花へ 
                        (ソプラノ、Ensemble MOOI)

今成真理子(Pf)

 ラフマニノフ:ピアノソナタ第2番 変ロ長調 作品36
 サン=サーンス(ゴドフスキー編):白鳥

(休憩15分)

小黒亜紀(Pf)

 ショパン:「24の前奏曲」Op.28 より 

小林綾子(ソプラノ)、遠藤栄子(Pf)

 海沼 実:里の秋
 中田喜直:霧と話した
 小林秀雄:落葉松
 ロッシーニ:歌劇「セミラーミデ」より 麗しい光が
 モーツァルト:歌劇「ドン・ジョヴァンニ」より 
         ひどい人ですって〜おっしゃらないで下さい

渡辺直子(オルガン)

 ヘンデル:オペラ「リナルド」より 私を泣かせてください 
                    (ソプラノ:五十嵐尚子)
 ブクスデフーデ:プレリュード Bux WV137
 フランク:3つの小品より カンタービレ 英雄的小品

 
 

  「洋楽の夕べ」と題するコンサートが毎年開催されていることは知っていましたが、これまで聴いたことはありませんでした。「洋楽」という時代錯誤的な名前がどうにも胡散臭く感じていました。「新潟洋楽協会」というクラシック演奏家の団体のコンサートなのですが、「洋楽」と言われてもクラシックなのかポピュラーなのか見当が付きません。「夕べ」と冠しているのに昼間のコンサートですし、どうにも実態がつかめません。今年は美しい女性方が並んだチラシが目を引き、時間の空いた日曜日の午後、聴きに行きました。

 最初はソプラノの五十嵐さんとフルート、ヴァイオリン、ピアノからなる Ensemble MOOI というグループの共演です。うまいのか下手なのかよく分からないグループでしたが、ピアノだけよりは楽しめました。五十嵐さんはリリカルで可憐な歌声でした。日本の歌曲って好きじゃないのですが、なかなかいい曲を歌ってくれました。

 次は、今成さんのピアノです。小柄ながらも存在感のある美しさ。容姿に似合わないダイナミックな力強い演奏に感銘を受けました。こんな名演奏家が新潟に埋もれているなんてもったいないですね。白鳥も良かったです。

 休憩後は小黒さんのピアノ。東京音大を卒業したばかりの若手ですが、新潟県音楽コンクールで大賞を取った逸材です。ショパンの「24の前奏曲」から17曲演奏されました。聴き応えある力強い演奏でした。ヤマハの講師をしているようですが、使用したのはスタインウェイ。どうでもいいですけどね。

 次に、小林さんのソプラノで伴奏は遠藤さん。繊細さを感じた五十嵐さんとは違って朗々とした安定感ある歌声です。安心して聴いていられます。「落葉松」が特に良かったです。

 最後は渡辺さんのパイプオルガン演奏。最初に五十嵐さんが出てきてヘンデルをオルガン伴奏で歌いました。オルガン席で歌ったのですが、しっとりとして良かったです。
 続いてブクスデフーデとフランクを続けて演奏しました。音量豊かに、オルガンのすばらしさを堪能させてくれました。曲も聴きやすい曲で良かったです。

 演奏者も曲目も多彩で飽きませんでした。それぞれ単独のリサイタルはきついのかも知れませんが、こういう形式だと楽しめて良いと思います。多彩すぎておもちゃ箱をひっくり返したようでしたが、ガラコンサートみたいで、私としては良かったと思います。演奏の質も高かったと思います。1000円の入場料以上の価値があったことは間違いありません。
 

(客席:2階C4-31、自由席:1000円)